ゲームの結末
ク〇ゲーのEDです…ここでブツ切ります。これぞク〇ゲー、おいっ!( ゜Д゜)
カッフェベルガ王太子殿下とリヴィエラは王族の方々なので忙しいと思っていたのだが、レイファが別荘行こうよ、と誘うとあっさりと了承していた。シエナとサエバートも大丈夫かな…と思っていたがあっさりと了承した。
さて…という訳でレイファのご実家ヴィッツハンバー家所有の島の別荘へお出かけだ。島への移動は船を使い船上クルージングの予定だ。
当たり前だが、学生の6人だけの旅行ではなくて護衛のお兄様達やメイド、料理長などが随行しての結構大所帯な旅行だ。
孤島に取り残されて…1人1人殺人鬼の餌食に…なんて恐怖感を煽られることもない。ある意味サスペンスな情緒は無い。
そんな船の上で海を見ていると、例の主人公達が収監されているアルカトラ島が薄っすらと見えている。ああ、あの島か…とジッと見ていると、私の隣にレイファがやって来た。
「ちょうど、航路にあたっていたな。あの島からうちの別荘は離れているよ」
「うん…」
レイファに後ろから抱き締められて頭や肩口にキスをされた。
私が心配しているのは主人公達が今、アルカトラ島に収監されているのはもしかしたら、シナリオ通りじゃないかということなのだ。
つまり、これは主人公の紆余曲折の中のシナリオの一部で、実際のゲームもこの難局がゲーム内で本当に起こっていて、主人公はそれを乗り越えるシナリオが存在しているのじゃないかと思い立ったのだ。
何故か殿下達と一緒に別荘に遊びに行けることがあっさりと了承されたことによって私は別の不安に襲われた。
私から見れば主人公達がシナリオを離脱しているように見えるけれど、実は主人公達を中心にゲームが進行しているのじゃないかと…そう考えれば私達がここにいるのも何か意味があるのか?まさかマリンとリーナがこの島に来る?
アルカトラ島からの脱出…もろパクリだけど、クソゲーならではで、やってしまっている気がする。
だがしかし、このクソゲーの良い所はハッピーエンドなのだ。私が好んで購入していたゲーム達は途中に紆余曲折があっても基本、ハッピーエンドに終わるゲームだった…はずだ。登場人物(私を含む)が胸糞展開で死亡…は無かったはずだ…そう思いたい。言い切るには憶えていないし若干自信がないけどね。どーーしてもエンディングまでが思い出せないんだよね、クソゲー過ぎて脳が拒絶しているのかも?
不安が募るけど、今のレイファを見ていたら幸せで彼が好きで…このままずっといつまでも、という気持ちを抱いている。ここから悲劇が…という気持ちも少しは考えたりもしたけれど、ゲームの中だって現実だって何が起こるか分からないよね?
クヨクヨしたって仕方がない。私の肩に置かれたレイファの手に手を重ねた。
「……やだ」
「あはは…」
レイファの肩越しに声がした甲板の辺りをチラリと見た。
船首の所でカッフェベルガ王太子殿下とリヴィエラがイチャイチャしている。
「綺麗ね~」
「海なんて久しぶりだよ」
シエナとサエバートも甲板の後ろの方でイチャイチャしている。(付き合ってるのかな?)
私から見ていると少なくともこの3人にリーナやマリンが付け入る隙は無いと思う。後は…リヴィエラのお兄様のリスファンテ皇太子殿下と近衛騎士団のリエイガ団長とリヴィエラの護衛のフォーさんだと思うのだが…。私の長年のゲームユーザー歴から考えるともう1人や2人は攻略対象キャラが居る様に思うのだが…誰なんだろう?
判断基準としては、やたらと美形(これ重要)そして声が有名人。
しかしなぁ…私だって声オタでは無いし、全部の中の人の声が聞き分けられるとは思えないしね。
そんなことを考えている間に、島に到着した。割と大きな島だ…島の中央にドーーーンと大きな洋館が見える。孤島…洋館…連続殺人事件…。
気になる要素が詰め込まれている気もするが、偶々だろう…うん。
よしっ泳ぐか!皆で洋館に荷物を置いてから、浜辺近くのコテージに移動して、そこで水着に着替えてから海に入った。あのね~レイファがどうしてもこの水着がいい!と騒いだので…着用してみたのだが…近衛のお兄様達の視線がね…怖いわ。
「ミルマイア!最高っエロイ!」
「エロくする為に着たんじゃないからっ!レイファがこれがいいって言ったからだよっ」
レイファ大興奮の黒のビキニ……私の胸がブルンブルン揺れてます。私、結構巨乳なのよ、リヴィエラには負けるけど。リヴィエラさんは白のビキニです。多分アレもカッフェベルガ王太子殿下のご推薦だと思われます。
「リヴィエラも大変ね~」
「ミルマイアもね~。でも似合っているわよ」
「複雑だけどありがとー」
男性陣が激しいビーチバレーを繰り広げている間に私達女子は、パラソルの下でトロピカルドリンクを頂いている。因みにシエナの水着は可愛いオレンジ色のセパレート水着でなんとも清楚で可愛い。
「サエバートの好みが純真で良かった…」
シエナの可愛い水着姿を見て私が心からそう言うと、リヴィエラも大きく頷いた。
「サエバートの嗜好が可憐で清楚な女子だということが判明したわね」
「や…っもう、リヴィエラったら」
シエナはそう言って体をくねらせているけど、やっぱり可愛い。
「あ~あ、私もピンク色のワンピース水着にすれば良かったー!」
「私もワンピースがいいって言ったのだけど、殿下が白のビキニを推してきて…」
「カッフェ殿下ムッツリだ」
私がそう言うとリヴィエラは顔を赤くした。
「レイファも…好みが凄いね」
シエナに言われるまでもなく、エロエロ黒ビキニ姿の私は近衛のお兄様達の視線を釘付けにしております。
「私、ちょっとお手洗いに行ってくるね」
そう言ってビーチから直接入れるバンガローの中の洗面所に向かった。お兄様達の視線が怖いしビキニの上から羽織れるシャツでも着ようかな…。
そして洗面所までの廊下を歩いていると、何かゴトガタと音が聞こえたので、扉が開いている部屋を覗いて見た。
部屋の中には男の人が2人いた。
どこかで見たことのあるストライプ柄の上下セットの服を着ていた。その2人は室内に置いているミニ冷蔵庫の中を漁っていた。2人は同時に振り向いた。
同じ顔…双子?
「…!」
悲鳴を上げる前に双子に組み敷かれてしまった。口を手で押さえられた。
「兄貴、見られたよ」
「なんだこれ、めっちゃエロイ女」
組み敷いている兄?の方が私の胸を触ろうとしてきた。
「…ぐぐぐぁっ!」
悲鳴を上げたけれど、くぐもった声になった。その時、私の体の上に居た双子達が真横に吹っ飛んだ。
誰かに体を抱き込まれて、そして私を背に庇い、前に立っているのは
「レイファ…カッフェ殿下!」
「大事無いな?」
カッフェ殿下…!確かめっちゃ強かったよね~良かったあ。レイファの腕に抱き込まれながら廊下から走り込んできた近衛のお兄様達とリヴィエラとシエナの姿を見付けてホッとしていた。
「お前達…ギューデ兄弟!アルカトラ島に収監されていただろう!?どういうことだ!」
カッフェ殿下の言葉に近衛のお兄様達が少しざわついている。
アルカトラ島に収監?ということはあのベタな服装は囚人服か…なるほど。ギューデ兄弟と呼ばれた双子はニヤニヤしながらカッフェ殿下を見ている。
「何かよ~新しく送られて来た女達が島で暴れてさ、囚人達が隙を見て逃げ出してるんだぜ?」
「何だとっ!」
「!」
新しく来た女達…まさか?
「マリン=ステージアとリーナ=ピュリーサか?」
カッフェ殿下が双子にそう聞くと、双子は同時に首を捻った。
「そんな名前だった?」
「何だか煩く騒ぐ女だったのは憶えてる」
双子達がそう言って笑った瞬間、彼らは同時に床に倒れた。え?と思っていると双子の後ろにフォーさんが立っていた。
「フォーご苦労」
フォーさんはカッフェ殿下に一度頷いてから双子を後ろ手に縛っている。私は気を失っている双子を覗き込んで見たが、双子は結構なイケメンだった。
もしかしてこの人達も攻略対象だったのかな。そうか…アルカトラ島に収監されて、そこで巡り合う攻略キャラもいたのかも…本当はマリンとリーナは彼らと手に手を取って脱出…と行くはずだったはずだが、そのマリンやリーナはどこにいるんだろうか?
その後、目が覚めた双子にリーナとマリンはどうしたのか?とカッフェ殿下が問い詰めたらしい。すると双子達が島から逃げ出した時に、彼女達はついて来ようとしていたが、面倒くさいので兄弟は気にせずに勝手に海を渡って来たらしい。
「あいつら途中まで小舟でついて来てたっけ?」
「そうだったかな?途中でサメの大群がいたから、こっちはそれの退治に忙しかったし。その後は知らね」
その双子の証言を聞いてゾッとした。マリンとリーナは大海で双子を追いかけていたが、はぐれたんだ。
カッフェ殿下はアルカトラ島の囚人が逃げ出したことを処理する為に、旅行を中断して軍を動かしたりして夏の間は囚人捕獲に忙しそうにしていた。
その後の捜索の結果、アルカトラ島にリーナの家族とマリンの家族は全員留まっていたが、リーナとマリンの2人は結局、行方不明のままだった。双子の証言が正しければ海で彷徨い、サメの餌食になったか…どこかの島に流れ着いたかは分からないままだった。
いくらクソゲーでもこんなエンディングの訳はない…と思う。もしかしたら大人しく島にいたらこんな結末になっていなかったのではないか…ひょっとしたら双子と恋愛イベントがあの島で起こるはずだったのかもしれない。
全部、もしかしたらの仮定ばかりだけど今はそれしか言えない。私がシナリオの全貌を思い出していれば良かったのか?とも思うが、結局悪い方悪い方に転がしているのは主人公達だからどうしようもない。
あれから数年が経った今でも、アルカトラ島の方を見て私は想いを馳せている…。
FIN
ご読了ありがとうございました<(_ _)>改めて申し上げると、私は恋愛シミュレーションゲームが大好きですので、ツッコミどころ満載のゲームも含めて愛おしく思っております。
世の中の恋愛シミュレーションゲーム達に愛を込めて☆彡