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日常VR生活!  作者: 秋白眼
第三陣!
174/219

学術都市 エア

投稿。

「いやー。さっきの写真、めっちゃ良かった〜。コーラル、ゲーム会社に勤めるんじゃなくてカメラマンになったらどうかな」


「私、さらっと仕事やめろって言われてますか?」


「やだなー、そんな酷いこと言わないよ〜・・・うん? あれは・・・」


山頂から山道に沿って下っていく。山はまだ続いていて、エアのある方向には谷がある。そこには大きくて立派な石橋が掛けられていて、城門の様な場所も。もしかしなくても、関所だね。


「身分証明とか大丈夫かな」


「うん?・・・あぁ、関所ですか。ギルドカードがあれば大丈夫ですよ。身元をギルドが保証してるので」


あー。なんか身分証明にも使えるみたいな事を聞いたような〜、聞いてないような〜。


「とりあえず素通りでおっけー?」


「問題ないかと」


ふむ。ならいいか〜。


イノセントに跨りながら、みんなに合わせてトロトロと移動する。その間にもうちょっとイノセントに関して弄り回していれば・・・。


「んぁ。イノセント〜こんな所にレバーがあるんだけど・・・」


『緊急時に用いる機体破壊スイッチ。起動すると10秒後に地属性上級破壊魔法メテオと同等の損害を撒き散らし爆発する』


「うん、何言ってるのかよく分かんないけど、めちゃくちゃ危ないものだって事は分かった。そりゃこんな目立たない所にあるよね」


前輪後輪の間、地面に接触スレスレの場所に窪みがあってその中にかなり倒しづらいレバーを見つけてしまった。やばい代物・・・。見つけない方が良かった。


「それよりもその状態でよくヴィークルの下を覗けるな。というか、早く姿勢を正してくれ。ベルの左手で目を押さえつけられてるから」


「案の定パンツ丸見えですしね」


「そうだった。ごめん、リョウ」


ばっと起き上がり、イノセントに座り直す。今度はホログラム、スイッチ関連を再び見ることに。


アクセル、ブレーキ。基本的な物は一番最初に設定してから一切変えてない。んー・・・。特に何も無いかな。

早くレベルを40まで上げたい所。タイミング的にはそこで《フィーア》に次ぐ5を冠する武器が開放される筈。気になりゅ。


「おっと。そう言えばこんなのあったね」


鞄から『UWExtクリスタル(水)』を取り出す。

どれどれ。


『UWExtクリスタル(水) 分類:エクステンドアイテム


ユニークウェポンを文字通りエクステンド・・・拡張強化するクリスタル。このクリスタルは水の力を新たに付与する事が出来る。既に水の力を持つ場合は強化される』


「えい」


アインにクリスタルを叩きつけ使用する。


「え、何を割ったんですか? アスカちゃん」


「んー? UWExtクリスタルって言うアイテムで・・・」


「文字通りユニークウェポンを強化するクリスタルですね。このゲームには現在全部で聖霊憑きを除いて100種類のユニークウェポンが存在するんですよ。有名どころで言えば、双翼の騎士団クランマスターのフュエルさんが、大きなハンマー・・・震天動地を使っていますね。彼の二つ名にもなってますし」


「あぁ・・・あのごついオッサンね〜」


アップデート前。セリアの脱退を許してくれたフュエルさん。一度顔を合わせたいとセリアから伝えられ、エースを引き抜いてしまった負い目もあるから、承諾。

いざ、訪問して顔を合わせればゴッリゴリのごついオッサン。爺ちゃん並の風格を感じたもんね。

そうか・・・あの背中にあったカッコイイ大槌はユニークウェポンだったんだ。納得。見蕩れたもんね。


「ごついオッサンって・・・。言い方酷いわね」

「別に貶してないんだけど。・・・ガンテツの進化系?」

「ぶふぉぁ!? が、ガンテツのしん、進化系? ぷはっ! くくくく・・・!」


もう、あれと比較しちゃうとガンテツがまだ二十代って言うのが嫌というほど感じた。それほど貫禄が違う。

そんな事を言ってたら、リョウのツボにクリーンヒットしたみたいで、噴き出してしまう。ありゃりゃ・・・。


「後、セリアさんもアスカちゃんと同じくユニークウェポンを最初に貰ってるんじゃないですか? 流石に武器の詳細は分かりませんが・・・」


まぁ多分そうだよね。というか、リョウの爆笑には触れないんだね。一人で爆笑して、わたしとベルは真顔で、ハルとコーラルは何が何だかよく分かってない様子。

うん、まぁ・・・いいか。


話しながら関所まで辿り着く。みんなが国境門を潜る中、イノセントを仕舞って最後列で通り過ぎようとしたその時。二人の兵士が槍を交差して道を塞ぐ。


「・・・?」


「貴様、精霊様を騙ってるな! 不敬であるぞ!」


不敬? 不敬・・・あぁ。確かこの国には精霊信仰の本山があるんだよね。


「わたしはちゃんと精霊ですよ?」


「戯言を・・・!」


何がこの人たちの逆鱗に触れたのか、槍を振るってくる。え、もしかして羽根で判断してたり・・・するの?


「うわわ。危ないなぁ」


───《ハルバード》


攻撃速度はそこまで速くないから下から斧槍を出現させ、かち上げる。


「このっ・・・!」


「えぇ・・・」


無詠唱で魔法を使ったのに気にする様子もなくもう一人の兵士が攻撃してくる。避けようとした所で間にリョウが割り込んで、槍を剣で受け止めてくれる。


「邪魔するなっ!」


「おいおい、落ち着けって。気付いてないのかよ。今コイツは無詠唱で魔法を放ったんだぞ?」


「だからなんだっ! 精霊じゃなくとも無詠唱で魔法を使うやつ位、いるに決まってるだろ!」


あ、そうなんだ。なら仕方ないか。うーんと、この場を切り抜けるには・・・と考えた所で、リプカ達が顕現してくれる。


「兵士さん、この方はちゃんと精霊ですよ」

「そうそう。しかも精霊姫だよ〜?」

「はっ。不敬なのはどっちなのか、分かってない様だな?」


「なっ・・・水と火と雷の精霊様・・・! そ、それは本当なのでしょうかっ!?」


三人が現れた事で、急にかしこまった兵士達。反応の差がトップアイドルとそのバックダンサー位の開きを感じる。いや・・・完全に羽根で判断してるよ。妖精を見たら精霊だと思いそうだね。


「え。精霊を疑うの? 君たちの信仰心ってそんなもんなんだ・・・」

「正直言って、失望しました。我らが主を侮辱するだなんて」

「事もあろうか、攻撃までしてきおったしな」


おぉう・・・なんか不穏な空気。リョウも三人の表情を見てから、わたしを見る。とりあえず首を横に振っておく。わたしは指示なんかしてないよ・・・と。


「そん、そんなことは・・・。 わ、分かりました、通っていいですから・・・!」


「通って、いいですから? 嘗めてるの?」

「間違って通行を妨害した上に攻撃までしているというのにな」

「上から目線とは。いい度胸ですね」


「あ、あの・・・えっと・・・」


仕方ない。助け舟を出してあげようか。


「はいはい、三人とも落ち着いて。仕方ないよ、羽根が無いから見分けがつかなかったんでしょ? ね、門番さん」


「は、はい。羽根だけで判断をしてしまい・・・申し訳ございませんでした・・・!」


「いいのいいの。でもちゃんと精霊だって知りたいよね? 証拠を見たいんだよね?」


「え? あ、は、はい?」


「じゃあ、リプカ」


───《霊装:焔騎士》


兵士さんの目の前で、姿を変えて大剣を振るう。


「よいしょっ! どうかな、兵士さん。進化以外でこんな見た目が思い切り変わる種族は無いんじゃない?」


「あ、えっと・・・そう、ですね」


「お。じゃあ通っていいですか?」


「・・・・・・分かりました。精霊である事を認めます。一応ギルドへと問い合わせますが宜しいでしょうか?」


「それくらい全然大丈夫ですよー」


「では・・・」


サッと道を開けてくれる。


「はーい。ウチの子達が脅すような真似してごめんなさい」


「いえ、此方も冷静さを欠かしていました。この国は精霊信仰が盛んなので・・・どうか、気を悪くしないでください」


「分かりました〜。ほら、ユラとプラミアも謝って」


「すみませんでした・・・。私達も大人げなかったです」

「・・・すまない」


ちゃんと二人にも兵士さんに謝ってもらえば、兵士さんは慌てて


「あ、いえいえ! 頭をお上げください! 私共が悪いのです! どうぞ、お通りください!」


「あ、あはは・・・じゃあ通りますね。また何かあったらギルドを通して呼び出してください」


「はい。足止めして申し訳ございません」


兵士さんに軽く頭を下げてから、通り過ぎる。予想外の足止めだったけど・・・精霊の事になると、ギルドの保証とか関係無いんだね。この国について、早速一つ学んだよ。


ーーーー☆



学術都市エア。デストロイヤーで残りの下り道を一気に飛び降り、そのまま走行し辿り着く。


「とぅ! 着きましたねぇ。学術都市!」


「ほわぁ・・・日本風、というより東方風と言った方がしっくりきますね」


「確かにね」


街中に入るや否や、真っ赤な道という印象。よくある中国とか韓国とかの伝統的な建物が並んでるイメージと言えば、分かるだろうか。その建物が主にメインとなって、この街を形作っているみたいだ。それと、少数ではあるけど揺り籠のクランハウスやギルドの様に背の高い建物も見える。


んー。いい雰囲気。瓦屋根とか見ると何となく安心するよね。


「んじゃ、こっから休憩ね。集まるのは現実一時間後・・・十時くらいかな。コーラルも大丈夫?」


「はい、大丈夫ですよ〜。それくらいあれば余裕で家帰れるんで〜」


「まだ会社なんだ・・・。あまり無理はしないようにね?」


「アスカちゃんが私の事を心配してる・・・? 帰り道に突然槍が降ってきたりしないよね・・・」


「今すぐに斧槍の雨を降らせてあげようか?」


「すみませんでしたっ! 一足先にログアウトしまっす!」


謝った直後にパシュンッ!と姿を消すコーラル。


「ったくもー、失礼しちゃうよ。三人も休憩していいからね。街を回るのもいいし、ログアウトして他の用事を済ませるのもいいよ」


「ま、折角だから軽く見て回るとするかね」

「私も回ってみるわ。良さげなホームオブジェクト見つけたら、あーちゃんにメール送るわね?」


二人並んで、街中へと溶け込んでいく。ふむ・・・え、あれって付き合ってるまでは行かなくても好きあってるよね? それとも、わたしのように友達を愛してるとかそういうノリですか?


勘違いとかじゃないですよね?・・・まぁいっか。


「宜しく〜。さて、ハルはどうする?」

「わたしは・・・」


顔を俯かせ、きゅっと胸の前で握り拳を作るハル。

えっと・・・?


「一緒に街、回りませんか?」

「っ・・・・・・」


勇気を振り絞って言った。そんな目で、顔で、伝えられる。そんな感情を向けられて、何故か少し言葉が詰まってしまう。


「ダメ、ですか?」


返事が無いから、不安にさせたみたい。一気にハルの顔が曇る。そんな顔、しないでよ。


「ううん。いいよ。一緒に回ろうか」


手を差し伸べて、笑顔を向ける。わざわざ勇気なんて出さなくても断らないのに。・・・少しビックリしちゃったよ。


「っ! はい!」


ハルの手を掴んで、一緒に歩き始める。・・・手を繋ぐ必要あったかな。・・・まぁいいか。



ーーーー☆



「ふむ。大通りだけ回ってみたけど結構いっぱいお店があるね」


「ですね。プレイヤー店もいっぱいありましたし・・・」


ちょっと調べてみようか。アゼルの作った武器以外もその内見てみたいし。


「うん・・・・・・あ。なんか生産職クランがこういう営業をやってるみたいだね」


「生産職のクランですか?」


「そうそう。エアを拠点として、各生産スキルを持った人達がお店を持ってる訳だね。どうやら他のオンラインゲームで知り合った人達がクランを結成してこうなった訳だね。メンバー募集はしてないみたい」


武器鍛冶、防具鍛冶、彫金師、木工師、錬金術師、裁縫師などなど。数ある中の様々なスキルを使ってお店を経営してるんだね。


「ほぇ〜・・・わたし達のクランと少し似てますね」


「ん。確かにね。元々DiceTableで集まってたメンバーだしね〜。そこにリアルの友達を呼んだだけ。それ以外のメンツはハナサキとコーラルだけだね。顔合わせもしてないし」


「そうなんですね。うーん、それにしても、見事に女性ばかりですよね」


「そだね〜。男はわたしとリョウだけ・・・周りから見れば、リョウのハーレムみたいに映るんじゃないかな〜」


まぁ、イベントの時からちらほらリョウに向かって視線を感じたし、既にそういう目で見られててもおかしくはないけど。


「あはは・・・それは確かにそうですね。リョウさんも大変ですね」


「苦労かける位が丁度いいよ。さて、最後に大本命。大図書館だね。学園も兼ねた施設らしいけど・・・中を見て回ってみたいよね」


大通りの先。一際大きい建物を目指して歩く。


「ギルドに置いてある本は少ないですもんね」


「そうそう。その中でも有用なのは魔物図鑑くらいだよ〜」


その魔物図鑑でさえ、置いてあるギルドの近辺にいる魔物しか記されてなかったりする。

・・・かなり役立たずだよっ! 地味に苛立つけど、直ぐに抑える。キレた所でどうしようもない。むしろそういう仕様なんだろう。こういう所でやっぱりゲームを意識させられる。


「っと・・・でっかぁ〜」


「でかいですね・・・!」


ギルドに引けを取らない高さ、そしてギルドさえ超える大きさ。これが大図書館・・・。

だけど、なんだろ。周りと合ってないというか・・・ちょっと違和感がある。と言っても、どこに違和感を感じたのか分からないんだけど・・・。

ぱっと見、周りと一緒なのにね。


「んし。中に入ろう〜」


ハルの手を引いて、大図書館の入口に近付いて・・・


『誠に勝手ながら暫く休館いたします』


簡潔に書かれた張り紙が入口の扉に貼ってある事に気付く。


「っ・・・まじかぁ」


思わず息を吸って・・・深くため息をつくように言う。かなりショック。本の山が目の前にあるのに・・・!


「これは・・・ちょっと予想外ですね」


「だね。開いてないなら仕方ないかな・・・。何かありそうではあるけど、一旦ログアウトしちゃおっか」


「はい。それじゃあ・・・また後で会いましょう!」


「うん。ここで集合予定だからね〜」


その言葉に頷いてからハルがログアウトする。

ふむ。・・・ちょっと気になるし、図書館にお邪魔しちゃおうかな? どう思う〜?


《面白そうだから、僕は賛成!》

《あまり面倒事は避けてほしいが・・・主様に任せる》

《私もあまりそういうのは・・・反対です》

《うー。眠い・・・》


マグナが眠いならやめよっか。賛成反対一票ずつだしね。わざわざ出てきてくれたみんなを抱きしめて、癒されてから・・・やっぱり少し寂しい。二人が居ないだけで、本当にぽっかりと心に穴が空いた感じだよ。・・・。


「時間はいっぱいあるから一狩り行くよ、みんな。マグナは寝ててもいいよ」


《うん・・・お母さん、おやすみ》


抱えあげて、頭を撫でてからマグナがわたしの身体の中に入るのを見てから、街の外へと向かう。

今回も楽しんで読んでいただければ幸い。


もう少しなんですけどね・・・道筋は見えてるんですが、そこまでの文面が詰まってます。もう少しお待ちください。


追記:リョウの行動と周りの反応が流石に無理があるので、手直し。すみません。これによるストーリーへの影響はありませんのでお許しくださいっ!

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