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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第三章 海だ‼ 孤島だ‼ 異能者だ‼ 後編
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速攻でケリをつけてやる

更新しました。

キメラ戦です。あっさりケリが付きますがそう簡単には行かないのが戦闘の訳で……。

うまく描写出来ていればいいなぁ。

「うおぉぉぉ‼」

『ぐああぁぁぁaaaあアァァぁあ‼』


 馬皇は時に縦横無尽に駆け回わっていた。反撃の隙を見つけるために。なによりも短い時間でけりをつけるために。


 キメラは巨体である。その腕を大きく振うだけでも攻撃の範囲は広く充分な威力がある。が、それ以上に読めない攻撃が襲い掛かってくるのである。


 腕が伸びるのだ。明らかに骨など存在しないというような腕が鞭のように馬皇を追う。躱していくと今度はその腕が触手のように分かれて腕が増える。別れた腕同士がぶつかるように馬皇が動いても勢いは衰えない。ぶつかり合った腕は絡まり合う訳でもなく同化して元の腕に戻る上に切り落としても焼き払うなどしなければ即座に再生である。


 それを対処するために馬皇も反撃するが潰した先から再生して馬皇を捕まえようとするのだ。


「っ‼」


 不意に頭に痛みが走る。後ろを見ると腕の一部が石を掴み投げていた。


「そんなこともできるのかよっ‼ マジでどうするかだな」


 馬皇は必死に考えていた。面倒な再生力を持った相手に対してどうにかして一撃で葬り去る事の出来る魔力を溜めなければならない方法を。そうこう考えている内に馬皇はキメラの腕たちに囲まれる。


「ちっ。クラウ」


 馬皇はクラウを抜き出すと言った。


『はい‼ 旦那様‼ やっと出番ですね‼ あの時以外いつまでも放置されていたのでそう言う趣向なのかと思いとても興奮しました‼ このまま人気のない山奥で旅館でしっぽりとシチャいましょう‼ 』


 剣なのに万年お花畑な思考をペラペラと喋りだしたクラウに馬皇は頭が痛くなる。馬皇は乱暴に魔力を注ぎ込む。


「状況考えろ‼ 急いでるんだ‼ 行くぞ‼」

『あ、あああぁぁぁぁぁん‼ 旦那様‼ ヒャウ‼ 久しぶりの全力なのにちょっと乱暴すぎませんか‼ うひぃ‼ なんだか興奮してきました‼ そこ‼ いいえちょっと違います‼ そこです‼ キタ‼ キタキタキタキタァァァ‼ 旦那様のが入ってくりゅうぅぅぅ‼ *%$&#“%‘?>$”*‼』


 危ないことを口ずさみ最終的に何を言っているのか分からない駄剣を無視して魔力を込め続ける。クラウの刀身からは余剰魔力によって炎が噴き出す。その炎で刃を形作ると馬皇は襲い掛かってくるキメラの腕を薙ぎ払う。腕は何の抵抗もなく焼き切れると千切れた方の腕は勢いよく燃えて塵も残さずに消え去った。


 本体に繋がっている方の腕は焼けた箇所の横から新しい腕が2本生えて一本は馬皇をそのまま追う。それを迎撃しながら観察するともう一本の腕はなんと焼けた部分をちぎり取った。ちぎり取った先からはまた腕が再生して増えた腕でさらに馬皇に襲い掛かる。


「よし。炎で再生できないくらい焼き切った問題ないか。駄目だったら再生が追い付かない速度で殺し続けることになるからだいぶ楽になるな」


 馬皇は前世でしていた驚異的な再生力を持った魔獣の駆除法と同じ方法を試していた。塵も残さないように焼き尽くすか再生能力を超える攻撃を浴びせ続けるかというものである。その読みが当たり馬皇は目の前のそれを倒すための方法を考えていく。


 しかし、敵の攻撃の手が緩まない以上馬皇は一撃で完全に殺し切るための力を溜め込めないでいた。学習しているのか最初よりもうまい具合のタイミングで死角から襲い掛かってくる。回避や防御に専念すれば何とかなるのだが反撃しようとするとクラウの刃には触れないように避けていく。また、本体の方には近づこうとすると腕を地面にたたきつけてくる。その衝撃で一瞬足が止まりそこを狙って押し戻す。


「やっぱあの腕は厄介だな」


 現状馬皇はジリ貧だった。急いでいるのもあるが決定打を喰らわせようにも近づくことすらできないのである。キメラの腕の対処に追われていると不意に後ろ何かが動く音がした。咄嗟に反応して後ろを向くとそこにはキメラの腕が石を転がしていた。


「なっ‼ しまった‼ ぐあああぁぁぁ‼」


 一瞬。そう。気を取られた間の出来事である。正面に向き直ると腕が馬皇を絡め取り力強く締め上げる。抵抗を試みるが馬皇の力で持っても腕はびくともしない。クラウの刀身だけ避けて馬皇の腕ごと掴みとられているために剣で切り裂くことも出来ない。掴まれている箇所から鈍い嫌な音が鳴る。馬皇は痛みに声を上げながらも拘束から抜け出す方法を考えていると目の前を複数の光が馬皇の横から通り抜けた。


 それはキメラの腕に当たると貫通し焼ける。そして焼けた先から氷が広がり凍る。


「何してんのよ? 爆発に巻き込まれていつまでたっても出てこないから由愛を安全そうな場所に置いて、その護衛にサライラを置いて探しに来たら。よくわかんなにのに捕まってるし。しかも、やられそうになってるとか情けないわね」

「うるせぇ。ちょっとミスっただけだ」


 真央の軽口に短く返す。馬皇が素直に感謝の言葉を告げようとしたらこれである。しかし、馬皇も急いでいるのためかキメラを見つめたままチャンスとばかりに魔力をクラウに溜め込む。尋常ではない魔力を剣に注ぎ込んでいる馬皇を見て真央も馬皇が焦っていることを察して言った。


「何? 急いでるの?」

「ああ。向こうに鉄先生が戦ってる。あれだ。少し前に襲われた時があっただろ。由愛を殺しかけた時の実行犯の1人だ。屋久島って言う男だ。あいつには俺も煮え湯を飲まされた」

「そう」


 馬皇がそう言うと真央は目を細める。馬皇も魔力を溜め終えたのかクラウにの魔力を維持して真央に言った。


「一撃を叩きこむからその間のあいつの腕をどうにかしてほしい。頼む」


 馬皇はキメラに目を向けたまま真剣な声で真央に頼んだ。敵の前でよそ見するのは危険であるのは当たり前である。そのために本来は土下座でもした手伝ってやろうかと考えていた真央は不意打ち気味の馬皇のいつも聞くような声よりも低い声に驚いて思わず素直に言葉を返してしまう。


「も、もう‼ 仕方ないわね。それに由愛を殺そうとしたのは許せないわ。それでもってあんたを倒すのはこの私なんだからね。サポートするんだからきっちり決めなさいよ‼」


 馬皇と真央に迫りくる複数のキメラの腕。真央は魔法陣を即座に展開するとキメラの腕の一本一本に寸分たがわず当てて膠着状態を作り出す。


「さっきは悪かったなクラウ。焦ってた。まずはあいつを焼き尽くすぞ‼」

『はい‼ 旦那様‼』


 絶頂一歩手前だった先程とは打って変わって力の入った声で同意するとその炎はオレンジ色だったのが蒼く変わる。蒼炎は穏やかな動きでクラウの刀身を覆う。


 馬皇自身は熱さを全く感じていないが真央の魔法を抜けてきた腕が近くまで来ては触れる前に燃え出す。馬皇の魔力を十全に吸収してクラウ自身が合わせた時に発生する熱量が大きく上がったというよりは馬皇が前世で使っていた状態に戻ったというのが正しい。その熱によって馬皇を中心として引き寄せるように強い風が吹き荒れる。


「速攻でケリをつけてやる‼ 行くぞ‼」

『魔力のチャージ完了です‼ 行きますよ旦那様‼』

「おう‼」


 馬皇は力強く地面を蹴りキメラに肉薄する。真央の魔法に対応している最中で馬皇が懐に入っていることに気付き体の根元からさらに腕を出して接近していた馬皇に叩きつける。 馬皇は接近するキメラの腕に器用に飛び乗りキメラの頭に向かって跳躍した。


「おせぇよ」


 襲い掛かってくるキメラの腕が馬皇に触れる前に馬皇が切り払い燃え尽きる。そして、その勢いのままクラウの刀身がキメラの額に突き刺さった。それと同時に一瞬キメラの動きが止まるとキメラの身体全体が蒼い炎に包まれる。


「屋久島にいいように使われてたんだろうが同情はしねぇ。俺のために死んでくれ」


 刀身を突き刺して数秒。それだけの時間でキメラは跡形もなく燃え尽き馬皇はきれいに着地する。


「―ありがとう―」

「ん?」


 言葉が聞こえた気がした。しかし、周りにはそんな存在はなく。空耳かと馬皇は首を振ると真央の所へと戻る。


「悪いな。付き合わせちまって」

「ふん‼そう思うんだったら貸し1ね。鉄先生がまだ戦ってるんでしょ。急ぐわよ」


 真央はつっけんどんな態度でそう言うと馬皇はまだ戦いが終わっていないことを一瞬忘れていたことにばつの悪い顔をする。


「いやはや、遅かったですか……」


 鉄の所へ向かおうとした矢先に馬皇たちの背後から声がした。その声に馬皇と真央は怖気が走り思わず振り返った。勢いよく振り返った先には仮面をかぶった男がキメラのいた所に立っていた。黒のローブにマントと体形が分かり辛い服装に目の穴も口の穴も何もない表情のない銀の仮面をかぶっていた。馬皇たちが振り向く前には確かにいなかったはずの男がこちらを向くと抑揚のない声で言った。


「キメラが死んでしまったのは残念ですがあの方からの依頼ですからね。せいぜい時間を稼がせて貰いますよ」


 仮面の男はお手玉ぐらいの何かを込められた玉が浮いて周りに漂う。敵意を感じて馬皇も臨戦態勢を取る。


「なんで? 何であいつと重なるの?」


 真央は何かに動揺して小さく呟く。馬皇は気の抜けない相手に気を取られていたために真央の呟きには気が付かずに真央に言った。


「さっさと倒して援護に行くぞ‼」

「……え? ええ」


 真央が馬皇に対して返事をしたと同時に仮面の男は玉を大量に作り出して馬皇たち目がけて飛ばしてくれる。馬皇は向かってくるものを片っ端から切っていく。真央も最初は動揺していたが今はそれどころではない気持ちを切り替えて反撃のための魔法を放つための魔力を練っていく。


 キメラを倒した馬皇たちは焦る中で仮面の男との戦闘を開始したのであった。

キメラを速攻で倒して鉄先生の所へ向かおうとしたけれどまた新たな敵‼

一難去ってまた一難。今度の相手はキメラの比じゃないくらいヤバそうだったわ。でもなんでだろう。あの戦い方と雰囲気。どうしてもあれが私の知っている人物と重なってしまう。仮面を剥げば分かるんだから確認しなきゃ

次回「仮面の男」

お楽しみに


いつも読んで下さりありがとうございます。

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これからもよろしくお願いします。

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