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転生した元魔王様の非日常的な学生生活  作者: haimret
第二章 異世界からの来訪者
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むすめがあらわれた

更新です。

もしかしたら、更新の速度が落ちるかもしれないです。

「くっ……」


 喫茶『ジーニアス』店内。2人の女子が楽しそうにパフェを注文する姿を正面に見ながら馬皇は水を飲んだ。


「あら? 注文しなかったの?」

「分かるか? そうすると足りないんだよ‼」


 真央の言葉に馬皇はつっこむ。ただでさえ今月のおこづかいが厳しいのに追い打ちをかけるように真央たちにパフェをおごるのである。それでぎりぎりであれば自分の分など頼めない。


「知ってるわ。だから言ったんじゃない」


 それを知ったうえで真央は涼しい顔をしていると注文していたパフェが到着。真央は馬皇を煽り由愛は来た直後に黙々とパフェを堪能し始める。


「わざとかよ‼ そのケンカ買った‼ 表に出ろよ‼」


 切れた馬皇は真央を外に出そうとする。


「いやよ。今日は申したでしょ? それにパフェとけちゃうじゃない」


 食べ物を粗末にするのは前世の経験も含めて絶対にしたくない馬皇はここはぐっと抑える。


「ぐっ‼ 確かにもったいないよな。感謝して食えよ、お前ら」

「感謝してるよ。馬皇君」

「感謝してるわ。10秒くらい」

「短けえよ‼ せめて、1日くらいにしとけよ‼」

「あーん♪ このアイスとリンゴの組み合わせおいしい♪」


 馬皇の言葉を無視して真央はパフェを食べ続ける。おいしそうに馬皇の前でスプーンに盛って見せてから食べるあたりに悪意を感じる。


「聞いてねえし……」


 呆れてジト目で真央を見る馬皇に対し黙々を食べ進んでいた由愛は途中でおずおずとパフェの一部をスプーンに乗せてこちらを向けて言った。


「あの……。よかったら一口食べますか?」

「……いいのか? 」


 馬皇は由愛に一度聞いた。しかし、すぐに思い直して頭を左右に振って言い直した。


「いいや駄目だ。今回は山田さんに気遣いが出来なかった俺の責任でもある。だから思う存分に楽しんでくれ」

「なら、私が施しをあげるわよ」


 真央は底の方に会ったコーンフレーク1枚をスプーンに乗せる。


「スプーンに乗せてるのコーンフレークだけじゃねえか。いらねえよ。つうか、食うの早ええな」


 由愛も真央と同じように横からアイスと果物を乗せたスプーンを差し出す。


「私1人だけじゃきついので一口だけ食べてください」


 男ならば一度は憧れるようなシチュエーションに馬皇は戸惑う。その状況に周りからのこの状況で断ればわかってるんだろうなと言っているような視線と女の子たちからあーんしてもらいやがってと言う嫉妬の視線が痛い。


「う、分かったよ」


 馬皇は覚悟を決めたようだ。由愛はスプーンを差し出す。それと同時になぜかコーンフレークを乗せたスプーンそのまま馬皇の口の方へ動かす。


「「はい、あーん」」


 2人の声に合わせて馬皇も口を開けて頭を動かす。


 そして、いざ口の中にスプーンが入ろうとした瞬間。


「お・と・う・さ・ま~」

「ぐぼっ‼」


 いきなり何かが馬皇の横腹に勢いよく突き刺さった。座っていてさらに不意打ち気味に来たそれに馬皇は衝撃をもろに受ける。痛みに悶絶しながらも横腹に突き刺さった物を見る。それは同年代よりも小さい女の子のようで、白く肩まであるストレートの長髪がなびき全体的に細い体で馬皇に抱き着いてその体を堪能していた。


「この魔力の感じ、醸し出している仕草や雰囲気、そして芳醇な魂の匂い。姿は変わっていてもお父様ですわぁ」


 真央と由愛の女子コンビをそっちのけで大はしゃぎしている女の子。周りの席からざわめきが起こっていた。


「3人目……だと‼」

「これはおもしろくなってきたわね」

「うそ‼ 3股‼」

「羨ましい」

「恨めしい……」

「これが格差だというの?」

「くそ‼ あんな強面な感じなのになんでモテるんだ‼」


 周りからは好き勝手に言われているようだった。馬皇に抱き着いて離そうとしない少女に2人は話しかけた。


「あの? あなたは誰ですか?」

「お父様ということだけど、あなたはこいつの知り合いなの?」


 まだ、若干混乱しているのか似たようなことを質問してしまっていた。


「あら? お父様また新しい女作っていますの? お父様。女を作るのは構いませんが私が一番。お父様の1番は私ですよ」


 気絶したままの馬皇を前後に振り馬皇に話しかける少女。なんというか、馬皇にぞっこんだった。馬皇の彼女扱いされるのに不服なのか真央は憤慨気味に言った。


「だれが新しい女よ‼ そういうのじゃないわよ」


 由愛は顔が赤くなった。もじもじして真央に続いて言った。


「そんな、馬皇さんの彼女なんて」

「あらら? 違いますの? ならいいです。今のお父様の家に行ってお父様を婿にもらわないといけませんので連れて行きますわよ」


 そのままの勢いで店から出ていこうとする少女。このまま出て行ったら何か問題を起こしそうであった。


「それは、あの、その」


 由愛は何か言って少女を止めようとする。


「なければ、さっさと行きたいのですけど」


 引き止められてイライラした声で言った。2人のやり取りに見かねたのか真央は間に入って少女に言った。


「馬皇が起きるまで少し待ちなさい。あなた馬皇の家知らないでしょ」


 少女は少し考えるとそれもそうだと言わんばかりにうなづいた。


「それもそうですわね。ところであなた方は何者?」


 今更な質問に彼女たちは脱力してしまった。よっぽど馬皇の事しか目に入っていなかったのだろう。真央は聞き返した。


「こっちが聞きたいわよ」

「失礼。私から名乗りますわね。私の名はサライラ・イズバルド。馬皇様の前世の娘ですわ」

「ご丁寧にどうも。私は真田真央。馬皇とはライバルよ」

「敵? ですか?」


 サライラの一言に店の中の温度が急激に下がっていき、店中の人たちが冷や汗を流し始める。真央も殺気に当てられて臨戦態勢に入ろうとする。


「殺気を放つのをやめな。サライラ」


 気絶から立ち直ったのだろう。馬皇は真央とサライラの間に割って入る。


「お父様‼」


 さっきまでの殺気が嘘であったかのように空気が元に戻った。むしろ起きた馬皇に抱き着いて顔をうずめているサライラを見ると無性に苦いコーヒーを頼みたくなってくるくらいに甘い空気が広がる。


「それで……どうやってここまで来たんだ?」


 馬皇はサライラにやりたいようにやらせたままで聞く。


「はいっ♪ ルートは一方通行でしたがここまで来ることが出来ました」


 要領を得ないというか答えになっていない答えが返ってきた。サライラはそれだけ言うと馬皇の膝の上に座る。同じくらいの年の男女がすると少し無理があるように見えるが、馬皇が大きいこととサライラが小さいために今の状態でも十分に父娘のような状態だった


「どうやってきたのか教えてくれないか?」


 馬皇が優しい声音でサライラに囁く。サライラは馬皇に座っている感触を楽しみながら振り向いて馬皇を見る。


「関係ありませんわ。お父様と一緒ですもの」


 それだけ言うと満足そうに前を向く。他の事はどうでも良いのかサライラは答えてくれなかったものの後々話してくれるだろうと楽観的に考える馬皇。その一方で話についていけていない真央は馬皇に質問する。


「それで説明してくれる。娘? お父様? 何が何だか?」

「ああ。もうちょっとサライラが落ち着くまで待ってくれ。後で説明する」


 馬皇は真央に向かってそう言い放つと。サライラの方に顔を向ける。


「それで、どうして来たんだ?」

「お父様に会いたかったからですわ。それ以外に理由なんてありません」


 きっぱりと馬皇に会いたかっただけというサライラ。馬皇は眉をひそめる。あの時の夢から成長したときに「父のためなら何でもする」と公言して構って貰えないからという理由だけで敵国を全滅させたサライラならありえない話ではないと思ってしまった。


「えっと、馬皇さんの娘さんで馬皇さんはお父様で……」


 馬皇が前を向くと目をグルグルさせて混乱の極みの由愛がいた。完全に考えすぎて顔を真っ赤にしている。


「やっべぇ……。由愛まで混乱してる」


 馬皇は由愛から真央を見て夢を落ち着かせてくれとアイコンタクトしてみる。


「分かったわよ。後この手の話は他の人に聞かれたくないから認識阻害も張っておくわ」

「そうだな……。助かる」


 馬皇たちはもう一度前世が魔王であるところから由愛に説明し始める。あの時にも軽く説明したのだがどうやら信じていなかったらしい。サライラという娘がいる中でこの説明をすることを考えると馬皇は暗鬱な気持ちになった。


「なんなのです? なんなのですか?」


 由愛は未だ混乱しているようだった。とりあえず、由愛が落ち着くまで二人の魔王+1は待つことにした。

次回は説明会?

そして、真央の方にも?

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