番外編1 今昔恋物語④
ようやく宗介達は庵に見つかり女将の前に連れて来られたが、宗介に対する女将の説教は長かった。
「サボらなければよかった」
トボトボ通路を歩いていると庵が後から急に現れた。
「坊ちゃん」
「うわあ、庵!脅かすなよ」
全く持って庵は神出鬼没なところがある昔から犬屋敷に仕えてる抜け目がない使いだ。
「そうだ庵、あの子は?女の子は家族に会えたんだよな?」
そう聞くと庵はどこか気まずい顔をした。
何かあった証拠だ。
「何があったんだ?」
教えてくれとしつこく彼に宗介は聞く。
「確かにお会いできました」
「ーーならよかった」
ほっと安堵のため息をしたのも束の間
「しかし、酷くあの子は叱られておりました。
可哀想に。私が見るからにあの子は本当にあの客人達の子なのでしょうか?」
「え?」
そうして次の日の朝、障子の隙間から頬を家族から打たれたのか片方の頬を赤くはらした女の子を見て宗介はとてつもない怒りを感じた。
「俺のせいだ」
(俺があの子を引き止めなければあの子は家族にあそこまで怒られずに済んだかもしれない)
そうして女の子達一家が帰っていく時、宗介はそうっと遠くから彼女を見送る事しかできなかった。
「どうすればあの子を助けられるようになるんだろう?」
隣にいた庵に問う。
「そうしたいのであれば、たくさん手伝いをして立派になりなさい。
それがあの子を笑顔にする近道だと庵は思います」
「そっか」
実家が旅館なんて相変わらずあまり好きじゃない。
古臭いし若い子には流行らない。
だけど、だけど
次にもし、あの子に会う事になったら
今度こそ俺が彼女をたくさん笑顔にするんだ!




