出会い
初めての投稿で読みにくい所も多々あると思います。申し訳ございません。ぜひ読んでいただけると幸いです。
何かが過ぎ去るのを確認すると少女は音を立てないよう、素早く下る。この階には何かがいる。本能があれを拒絶する。この階にいたらもう一度出会ってしまうかもしれない。少女は迷わず階段でもうひとつ下の階へ行く。階段をおりた先は木製の壁や床から、石で作られた壁や床に変わる。そして扉がひとつあった。鉄の扉だ。少女はドアノブに手をかけて、開けようとする。すぐには開かなかったが、力を込めるとバキッという音と共に扉が開いた。少女が扉の先に進むとそこには四角い部屋がいくつもありそのどれもが同じ作りだった。扉とその周りの壁が細長い鉄の棒が少しの隙間を開けて立っており、部屋の中が見えるようになっていた。少女はこの室内に入ってすぐ強烈な悪臭がして、手で鼻と口を覆う。その時ふと思い出す。少女はこの匂いに覚えがある。
森で遊んでいると少女は鹿が倒れていることに気づく。その鹿は赤い液体が付着しており、ピクリとも動かず目を見開いたままでいた。少女は見てすぐに鹿から魂が抜けていることを感じる。すると母様が少女の肩に手をのせて喋り始める。
「この鹿は既に亡くなっているみたいね。魂がもうこの世にないわ。手を合わせましょう。鹿の魂が無事にあの世に行けるように。」
少女と母様は手を合わせ、無事をねがう。
少女は思い出した。この香りは死臭だ。生き物の体から魂が消えた時出る匂いだ。その匂いは沢山ある部屋の中からいくつも発している。少女は匂いを我慢し部屋の一つ一つに手を合わせる。一つ一つ手を合わせているとふと気づく。鉄の棒の先、小さな子供が身を丸めて倒れている。少女は扉を開けて子供に近づく。子供は髪が長く、体が細く酷く衰弱しているようだ。子供はこちらに気がつくと小さな声で水とご飯が欲しいと言う。少女は困る。水もご飯も持っていない。子供は歩くことも出来ない様子だ。このままにしておけば死んでしまうかもしれない。ご飯とお水。必要なものはたったそれだけ。少女は本をその場に置き、走り出す。急いで持ってこよう。階段を上り、走り出そうとした時思い出す。黒い何かのことを。あれに見つかってはいけない。だが、早くしないとあの子供が死んでしまうかもしれない。少女は走り出すなるべく音を立てないように。一つ一つ部屋を確認する。するとふたつ扉がついている部屋を両手で開けると、その中はキッチンだった。机の上にはカゴに入っているパンがあった。少女は棚からコップを取り出し、蛇口をひねり水を出す。早く子供のところへ戻らなければ。出口の方へ意識を向けると突然ダン、ダン、ダンと足音が聞こえることに気づく。その足音は確実にこちらに近づいている。少女は咄嗟にパンと水を持って棚の中に隠れる。そして足音の正体。黒い何かが部屋の中に入ってきた。隠れた棚にある小さな穴から少女は様子を伺う。黒い何かは部屋の中を徘徊する。少女が穴を覗いていると足に何かが当たった。それは少女の親指と同じくらい大きな虫だった。少女は驚いて棚の中にあった鍋に当たって音を立ててしまった。黒い何かはこちらに気づき向かってくる。少女が急いで逃げようと棚を出ようとすると突然ネズミがチューチューと鳴き声をあげ部屋の中を駆け回った。黒い何かはそちらに目線を向けた。そしてガシャン!!!と大きな音を立てて黒い何かがネズミに向かって腕をおろす。それは一瞬の出来事だった。ネズミと周りの物は一瞬で砕け散り、跡形も残っていない。少女は震えながら必死に音を立てないようにする。黒い何かは腕を持ち上げ、部屋を出ていった。少女は足音が遠くにいったことを確認して、棚から出てネズミに手を合わせる。そして急いで子供の所へ向かった。
読んでくださりありがとうございます。読みにくかったり面白くなかったらすみません。少しでも読んでくださった方が喜んでいただけると嬉しいです。ゆっくり書いていくつもりです。次の話はゆっくりお待ちください。