31.フラグがたった
皆様の応援のおかげで月間総合一位になれました!
これからもがんばって更新します!
次の日の朝、この日も引き続き埋蔵金の発掘をしていた。
使用人達が発掘している横で、俺はオノドリムと一緒に見守っている。
その俺の周りで、エヴァがまるで子犬の様に野外ではしゃいでいる。
「あまりはしゃぎすぎないようにね、後でお仕事があるんだから」
「みゅー」
エヴァは興奮したまま応じた。
俺の言葉に、オノドリムが小首を傾げた。
「お仕事ってなに?」
「うん、埋蔵金をね、エヴァに運んでもらうの。レッドドラゴンの元の姿に戻ってもらって」
そう言いながら、俺は少し離れている所に積み上げられている壺の数々を見た。
掘り出した埋蔵金は、一旦離れた場所にまとめている。
「いいの?」
「うん、レイズデッドの効果は大分分かったから、今日からは普通に魔力が使える様になったんだ」
「あの子を元に戻すのって結構魔力使う?」
「戻すだけならそんなに使わないけど、維持するのに延々と使っちゃうから、そっちの方が大きいかな、最終的には」
「そうなんだ」
他愛もない雑談に、納得するオノドリム。
「でも、そのおかげでいいこともあったよ」
「いいこと?」
「エヴァがドラゴンの姿に戻ってる時ってずっと魔力を使うから、魔力の効果的な使い方が体で分かってきたっていうか。いきなり猛ダッシュじゃなくて、ゆっくり長く走るやり方って言うか」
「すごい! あたしには出来ないやり方だ」
「うん、だからオノドリムのおかげでもあるんだ」
「あたしの?」
「大地の精霊は一気に使っちゃうから、それを知ってからは意識して長く続けるやり方をするようになったんだ。物事には必ず二面性があるから」
「……」
「だから、オノドリムのおかげ。ありがとう」
「ああん! すごく嬉しい!」
オノドリムは俺に抱きついた。
むぎゅう! って感じで柔らかいおっぱいを感じる。
「く、くるしいよ……」
俺が苦しいって言うと、オノドリムはすぐに慌てて俺を解放した。
「ごめんね! 大丈夫」
「うん、大丈夫」
ちょっと幸せだったし――おっぱいむぎゅうだったから。
それを言わないでいると、ふと、遠くに居るエヴァが地面をペロペロしているのが見えた。
「エヴァ? 何をしてるの?」
「みゅみゅっ」
エヴァは顔を上げて一鳴きしたけど、すぐにまた地面ペロペロに戻った。
「美味しい? どういうことだ?」
エヴァの言葉を理解できるが、状況は理解できなかった。
不思議に思って近づいてみると、地面から湧き水があって、エヴァがそれを舐めている。
すごく綺麗な水だ。
ものすごく透明で、「ある事すらよく見えない」くらい透明で綺麗な水だ。
「綺麗な水だね。僕もちょっと――」
「あっ、それはだめ!」
オノドリムに止められた。
「ダメって、どうして?」
「それは毒だから」
「毒? こんなに綺麗なのに? っていうかエヴァは普通に飲んでるけど」
「人間には毒なの。それ、魔法に使った魔力のゴミだから」
「魔力のゴミ……超純水か」
俺はハッとした。
魔法を覚えてから、それ関連の本をより多く読むようになって、それで覚えた言葉だ。
「かな? 人間の呼び方はよく知らないけど」
「魔法を使った後の魔力の残り、薪と燃やした後の炭みたいな関係のやつ」
「うん、それであってる」
オノドリムは俺の説明と例えに頷いてくれた。
「そっか、これがそうなんだ……」
俺はものすごく綺麗な水をじっと見つめた。
「エヴァが飲んで大丈夫なの?」
超純水の存在は本で読んだけど、それがレッドドラゴンとどうか――というのは本には書かれてなかった。
「ドラゴンなら大丈夫、というか、ほとんどのモンスターには大丈夫だし、大地にもいいものだから」
「そうなんだ」
「なんというか……肥料?」
「あはは、今のでよく分かった」
人間が口に入れるとまずいけど、大地にはいい。
超純水と肥料は、なるほどよく似てるのかもしれないね。
「これでちょっとだけ魔法を使えるんだよ。あたしも」
「そうなの? でもそっか、魔法を使った後だから、白と黒が両方入ってるんだもんね」
「うん!」
「だったらそれを使えばお腹ペコペコにならずにすんだんじゃないの?」
「これを湖まるまる満たして、やっとファイヤーボール1回分くらいだから」
「それは逆に悲しいね」
使えることは使えるけど、その効率? 分量? じゃどうしようもないな。
超純水、か。
☆
午後、屋敷に戻って来た俺。
庭でメイド達に黄金を磨かせて、それを見守っている。
俺の横に元の姿に戻ったエヴァが寝そべっている。
埋蔵金は長く埋められていたせいですごく汚れてたけど、そこはさすが黄金。
少し磨いただけで、元の輝きを取り戻した。
鉄とかと違って、錆びることのない、永遠に輝きをはなつ黄金。
人類の永き歴史に渡って、ずっと高い価値を保ち続けてきた理由を体感した。
そんな事を
「ここにおったのかマテオ――って、何事じゃこれは」
「あ、おじい様」
じいさんがやって来た。
いつものように話し掛けてきたが、磨いた後、ひとまず広げられていた埋蔵金――金貨とか金塊を見て驚いた。
「また小童が送ってきたのか? もしそうなら負けてられぬ」
「ううん、これはオノドリム」
「大地の精霊が? 精霊がなぜこのような物を?」
「人間が埋めていった埋蔵金の場所が全部分かるんだって。それで持ち主の居ない埋蔵金の場所を僕に教えてくれたんだ」
「おおっ、なるほどじゃ!」
じいさんは手をポンと叩いた。
「精霊がマテオに与えられるのは、せいぜい知識と魔力程度だと思っていたが、それがあったとはな。なかなかにやるではないか」
じいさんはオノドリムに感心して、彼女を褒める言葉を口にした。
「ふむ、となると」
「え?」
「世界中の埋蔵金を考えればまだまだこの程度ではないな」
「うん、そうだね。多分、全部掘り出せば、帝国の年間予算の何年分かになるんじゃないかな」
「そうじゃろうな。うむうむ、良いことじゃ」
じいさんはますますご満悦って顔をした。
皇帝とはめちゃくちゃ張り合う感じだけど、オノドリムとは張り合わないのかな。
と、そんな事を思っていたら。
「して、なぜレッドドラゴンが元の姿なのじゃ?」
じいさんは横で寝そべっているエヴァの姿を見て、聞いてきた。
「うん、ちょっと実験」
「実験?」
「おじい様は超純水の事を知ってる?」
「超純水? 魔力のゴミのことか?」
「うん、それ」
俺は頷いた。
「魔法を使って出したゴミだけど、それ、オノドリムが再利用できるみたいなんだ」
「なんじゃ、肥料みたいな話じゃのう」
俺はくすっと笑った。
似たような連想になったのがちょっとおかしい。
「それで考えたんだけど、その魔力のゴミって、人間でも再利用できないのかな、って」
「人間でも?」
「うん。僕はさっき、魔力を全部使い切ってエヴァを大きくした。そして今、エヴァは元の姿で居るからどんどん魔力を消費していて、魔力のゴミを出している」
「ふむ」
「それで――」
そう言って手の平を上向きにして差し出す。
手の平の上に、ロウソクの様な火を灯した。
「……できた」
「おお、魔力を使い切っても魔法が使えるのか」
「うん、でも、この程度の事しか出来ないけど」
「いやいや、それでもすごいのじゃ! やはり魔法の天才じゃマテオ」
「ありがとう、おじい様」
「ふははは、やはりマテオは最高じゃ――むむ?」
「どうしたのおじい様」
「マテオよ、マテオは大地の精霊から加護を受けて、大地の魔力を使えるのじゃったな」
「うん」
「だったら、この技法は意味ないと思うのじゃが」
「そうだけど、大地の無い所にいつか行くかもしれないからね」
俺はにこっと笑った。
「海とか」
「先を見据えて動く! さすがマテオじゃ!」
じいさんは、ものすごい勢いで納得した。
いや、空と大地の次は海かも……っていう冗談なんだけど。
「陸海空制覇するのも時間の問題じゃな」
いや冗談……。
冗談……で、すむよな。
「面白い!」
「続きが気になる!」
「海がどうなるか期待してる」
と思ったら
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、素直に感じた気持ちでまったく構いません!
何卒よろしくお願いいたします。




