表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はるか傍らの少女  作者: つづら日和
第二章 転校生
38/63

11ー4

「そっかー」

 セレナは意外とあっさり諦め、私に銃を投げてきた。

 慌てて受け取り中身をスライドして確認すると、中には黒色の石が入っていた。ジェットだ。

 銃はセットする石によって効果が変わる。

 この銃にセットしてある石はジェット…だからこれは瞬間銃といって記憶を抜き取る銃だ。

 でもなんで?

 

「それはあなたの妹用。実は私達ここに来る途中であなたの妹にあっちゃってさぁ。あんたの銃じゃ不便でしょ?」


 これは…妹に使う銃? 

 たしかに抜き取った記憶は星で管理されるため何に使ったのか、誰の記憶を取ったのかすぐにバレてしまう。そのため命令されたときにだけしか使えないが…。なぜ妹に…


「…っ!?」

 そう考えていると、私はある可能性に思い当たった。

 自殺だ。妹はふだん感情を表に出さないがあの方のことになるとあらわにすることがある。あの方への信仰心だけは強いのだ。

 そんな妹が裏切り者と捕獲対象者を逃してその行動に移さないわけがない。


「大丈夫だって、まだ死んでないよ。」

 青ざめた私に対し、セレナは拍子抜けするぐらい明るい声で返した。


「陽希くんに感謝しなよー。陽希くんが止めに入ってなかったら私は遠慮なく壊すつもりだったんだから。」

 壊すという言葉に引っかかり、何か言おうとしたがいちいち突っかかってもいられない。妹は彼のおかげで生きているのだから。

 私は佐竹陽希の方を向く。

 そこでは泣きやんで、嬉々とした表情で兄と話す姿があった。本当に切り替えが早い。私はあの子に助けられたんだな。

「妹はどこにいるの?」

「ただでは教えない。」

 …やはり、何か目的があるのだろうか?


「…何をすればいい?」

 慎重に伺う。

「今すぐに上に報告しないこと。指定した場所に後日くること。それができれば大丈夫よ。」

 あまりに簡単な内容に驚きつつ、私は「分かった。」と一言返した。

 ここで上に報告しなくとも、きっとすぐにバレる。私がバラさなかったすきにできる一瞬の時間で雲隠れする策でも用意してるんだろう。


「あなたの妹は第八ゲートの近くに放置してある。後日集まる場所は近いうちに指定する。」

 ニコニコ笑いながら彼女は手をふった。

 伝えると言ってもどうやって伝えるんだろう?…まぁそんなのどうでもいいか。早く、妹のもとへ行かないと。


 私は走り出そうとする前に陽希のもとへと向かった。

 マルは私を警戒しながら見つめ、祐希は私を睨んできた。まぁ…当然か。私は陽希の目の前で止まった。陽希はというと私を見てキョトンとしている。…警戒とか疑うということを覚えたほうがいいかもしれない。


 私は陽希の前にしゃがみこむ。

「妹を助けてくれてありがとう。」

 私がそういうと陽希がしばらく呆然とした後、ニコッと笑いかけてくれた。そんな様子に少し驚き、心の何処かで救われた気がした。

 もし次に上からこの子を捕まえることを命じられれば、私はためらうことなく捕まえにいく。私にも大事なものがあるから。そんな私が願うのもおかしな話だけど、捕まらないことを祈ってる。

「今度は、相手を警戒して、疑って…バレないようにするんだよ。」

 私は陽希の頭をなでた。

 祐希は何とも言えないような顔をしていた。なんだか面白い。


 普通に会えれば、きっと妹とも仲良く過ごせたんだろう。そんな想像をして少し表情が緩んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ