7.協力者
「あ…えーと。」
あの後浅草が、駅の近くに知り合いがいるんだと言って、誰かに電話をかけた。
しばらく立つと、でっかいキャンピングカーに乗った明るめのグリーンの口紅をつけたマッチョなおじさんが来た。
そして、現在に至るのだが…。
このおじさん、ツッコミどころが満載すぎてどこをどう聞けばいいのか分からない。
とりあえず、
「よろしくお願いします。」
と頭を下げる。
どれを質問してもヤブヘビを突きそうだ。
「こちらこそ、よろしくぅ〜♪」
野太い声でオネェ口調で話す彼は、僕にウインクする。
見た目のまんまの人だ。
僕は引きつった笑みを浮かべた。
後ろに乗ってみるとかなり広い。
さすがキャンピングカーだ。
後部座席の席が向かい合わせになっている。折りたたむとベットとかになるんだろうか?
こんな車初めて乗った、何だか高級車のようだ。
僕は浅草に促されて座る。
そして、
「すいません!えっとっ…
僕は目的地を言おうとして、ふと気づいた。…ずっと山だ山だ言っていたあそこの正式名所を、僕は知らない。
やばい…。
僕は言葉に詰まる。
「バリュースショッピングモールまで行って!」
向かいの席から声が聞こえた。
浅草だ。
バリュースショッピングモール?
…あっ!山の近くのショッピングモールだっ!!
えっ…でも…
「何で知っ
「はいよっ!!」
僕の言葉をおじさんが遮った。
運転が開始される。
荒い、かなり荒い。
警察に見つからないといいな…間違いなく高速違反だ。
しばらくして…
[…あんたが連絡するなんて珍しいなと思ったけど。」
おじさんは前を向いたまま語りだした。
浅草に向けてだ。
僕はこの二人の関係がすごく気になる。
「…はぁ…行けばいいのね?私は行きたくないけど。」
おじさんは憂鬱そうにため息をついた。
「ありがとう。」
浅草はにっこり笑った。
沈黙が続く。
「なぁ…どういう関係?」
僕は浅草に耳打ちした。
どうやったら巨漢でオネェ口調でいかつくて、パステルの水色とピンクの髪を三つ編みでツインテールした人とつながりが持てるのだろうか?
ずっと気になって仕方がない。
それに、会話の内容からも気になる。
「友達…かな?」
考えながら、浅草は言う。
「へ!?」
「…お父さんの。」
あぁ、そっちの。
浅草の父さん、こんな変わった人と友達なのか…。
「ねぇ…」
おじさんは僕に話しかけてきた。
「はいっ!」
僕は少しビクッとしてかしこまった。
「えーと…あの」
言葉につまり、申し訳なさそうに口を開く。
「…名前なんだったかしら?」
「え…あっ。佐竹祐希です!」
「そう…ユウキ…。」
しばらくおじさんは何か考えたあとに、
「頼んだわよ!あのこを。」
おじさんはそう言った。
「……はい」
あのこ、とは浅草のことだろう。
彼氏でもないのに、急にそんな事を言われると変な感じがする。
「ねぇ…おじさん。」
浅草が話しかける。
おじさんと言われたことに少し不機嫌になりながら何よっ!と返す。その声はそこらへんにいるおじさんよりも怖いぞ。
「あんた、とか、あの子とか、私の名前覚えてないでしょっ!!」
浅草はプクと頬を膨らました。
おじさんは無言で目をそらして運転しだす。
え、本当に?
お父さんの友達なら娘の名前くらい知っとけよっ!
浅草は、はぁ…と呆れながら、
「私…浅草百笑。」
と言った。
「そうそうっ!百笑ちゃんだったわね!私、最近記憶力が低下してるのよぉ♪やだわぁ〜。」
浅草はそう言うおじさんに、冷ややかな視線を浴びせる。
「ねぇ、許してこの通りだから。」
おじさんは、振り替えると片手でゴメンと言うポーズをとった。
軽いな。
そう思いながら僕はふとボンネットを見る。
「前っ!前っっ!」
そこでは信号機で止まっている車にぶつかりそうになっていた。
おじさんは急いでキューブレーキをかける。
…頼むから運転中は振り返らないでくれ。