2ー6
「すごいすごいっ!!」
陽希が騒ぎ立てる。僕もこんなピンポイントで会えるなんてほんとにすごいと思う。
「人間って大きくなるのが早いんだね」
はしゃぐ陽希を微笑ましそうに見ながらマルは言った。
マルの表情は人間じゃないけどわりとわかりやすい。
今だって「これどうなってんのっ!!」とマルの三本指しかない手?を握りながら質問攻めをする陽希に対して目を細めて優しそうな顔で見ている。多分微笑んでいるんだ。
「お兄ちゃんにそっくりだね」
そう言うとマルはクスリと笑った。
「そうですかね?こんなにおしゃべりでしたか?」
僕はちょっと不本意に思いながら返した。敬語とは言え、宇宙人とこんなに親しく話しているなんて変わった状況だ。
「そうだよ」
自覚ないの?と笑いながら陽希の頭を撫でる。
ーふわっ
マルが触れた瞬間、陽希が急に眠りついたように倒れた。
「陽希っ!!」
僕はいきなりの出来事で驚いた。
急いで駆け寄りしゃがみ込む。顔はしんどそうじゃない、むしろ心地よく眠っているみたいだ。良かった。
「大丈夫だよ。眠っているだけだから。」
後ろを見ると優しく微笑むマルがいた。
「でもなんでっ
ーペタっ
言葉を続けようとした僕の額にマルの2本の触手(指)が当てられる。もしかして、
「ごめんね」
悲しそうにマルがそう言った。
それを最後に僕の意識は遠のいていった。