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第十章 ありがとう


一ヵ月後、みんなで健の家に来た。


「みんな、来てくれてありがとうね」


健のお母さんだ。


「あっ!!りかこちゃんもありがとうね」


軽く会釈をした。


健に会いに来た事を報告する。


「りかこから良いよ」


「りかこは最後で良いよ」


みんな、健に最近の事とかを報告する。


一歩前に出て、手を合わせる。


今にも溢れだしそうな涙をこらえながら、健に話しかけた。



…健。元気ですか??


あなたと会えなくなって、1ヵ月が経ちました。


まだ、どこかであなたが居るような気がします。


それでも、毎日、毎日、頑張って休む事なく、学校に行っています。


でも、どこに居ても、どんな事をしていても、


あなたのことを思い出すと涙が止まりません。


あなたが居なくなった今でも、りかこはあなたの事が大好きです。


これからもずっと…。


それから、学校のこととか、海斗たちのこととか、


時間も忘れるくらい…いっぱい、いっぱい話した。


話が終わっても、その場を動くことはなかった。



「りかこ!!健のお母さんが俺たちにお昼を用意してくれたで…」


裕が言いに来てくれた。


「すぐ行く!!」


みんなが居る、リビングに行く。


「大丈夫か??」


「うん」


「りかこちゃんもお昼食べてね」


「ありがとうございます」


「あっ!!そういえば、健のもので何か、


欲しいものがあれば、持って行ってね!!


みんなに持っていってもらった方がきっと、


あの子も喜ぶと思うから」


「はい。後で見てみます」


海斗が返事をした。


ご飯も食べ終わり、健の部屋に行く。


「りかこ何か、持っとくか??」


「コレだけ持っとく」


健がいつも付けていた、ネックレスをもらった。


「じゃあ、俺らは帰るか!!」


「うん」


健…また来るからね。


「お邪魔しました」


「また、たまり場戻るけど…りかこはどうする??」


「行かない」


「そっかぁ!!じゃあ、俺が送る」


そう言ってくれたのは、裕。


「でも、悪いよ」


「良いって!!」


「俺ん家の鍵…勝手に入っていて良いから」


裕が鍵を投げ海斗に渡す。


「じゃあ、後でな」


「おぅ!!」


2つに別れ、みんなは…たまり場に行った。


「りかこん家どっちだっけ??」


「あっちだよ」


「寒いから、マフラーちゃんと巻いとけ…」


「うん」


正直、今のりかこに優しくして欲しくはなかった。


それに、何か違う…。


りかこの隣は健が居て、いつも、健が送ってくれてた。


でも、誰か一緒に居て欲しい気持ちもあった。


裕…ありがとうね。


「今日は、送ってくれてありがとう」


「おぅ!!」


「じゃあね」


「りかこ―!!」


「えっ!!何!!」


「あいつが居なくなっても、お前が忘れない限りずっと…


お前の中に居るし、それに、俺がついてるから…


だから、休まず明日も明後日も学校行けよ!!」


「うん」


「約束な」


「分かった」


「辛くなったら、いつでもたまり場来いよ」


「うん」


「じゃあな」


「バイバーイ」


正直、学校には行きたくない…けど、健の悲しむ顔も見たくない、


だから、利佳子は…学校にはちゃんと行っている。


辛くなる時もあるけど、辛くなったら、たまり場来いよって言ってくれたし、


健はりかこの中で生きてるから…。


でも、健の笑顔はもう二度と、見れないんだね。


そう考えるといつも、涙が止まらない。


「もしもし」


海斗だ。


「も…しも…し…」


「大丈夫か??」


「うん。」


「泣いてると思ったけど、やっぱり、泣いてたか!!泣きたい時は我慢しないで、いっぱい泣けよ」


「うん」


「寒いな―!!」


「うん」


「ちゃんと布団被って寝ろよ」


「うん」


「お休み!!」


「ありがとうね」


「おぅ」


「おやすみ」


次の日の朝、目も腫れてるし、やっぱり、学校には行きたくない。

学校行っても、笑顔で笑えない。

その時、誰かから電話が来た。

裕だ。


「おはよう!!もう、起きた??」


「うん」


「窓開けて外見てみ!!」


「えっ…うん。」


カーテンを開け外を見ると、裕が居た。


「今日は特別に学校まで送ってあげる!!」


裕が来ていなければ、怖くて学校には行ってなかったと思う。


裕だって、みんな…。


辛いはずなのに、心配してくれて、本当に、ありがとう。


来てくれてありがとう。


裕の自転車の後ろに乗る。


背中にしっかり掴まった。


「着いたで!!」


学校は自転車では来ては行けない、だから、近くで下ろしてもらい歩く。


「ありがとうね」


「学校終わったら、みんな待ってるから、たまり場来いよ」


「うん」


「頑張って行って来い」


「うん」


「じゃあな」


「ありがとう」


そして、学校に行った、やっぱり、健のことは誰にも言えない。


それに、学校来ても上の空になる事が多い。


学校が終わり、たまり場に行くはずだったけど、


やっぱり、一人で居たかったから、家に戻る。


そんな、毎日の繰り返し。


まだまだ、分からない事いっぱいある。


現実をを受け入れられない事もいっぱいある。


怖くて1人になると毎日…泣いちゃう。


健が居ればって、何度も思った。


けど、いつか、いつか、本当の笑顔で健に笑うから。


それが、5年後、10年後だとしても…。


必ず…本当の笑顔で…。





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