第十一章 過去
あれから一週間後。
裕の誘いもあって、溜まりば来た。
「りかこ―携帯鳴ってるで!!」
見ると非通知だ。
誰だろうと思いながら、電話に出る。
「もしもし」
「あたし玲。健の元カノだけど…健の彼女のりかこちゃんだよね??」
「はい」
何で、利佳子の名前を知ってるの??
それに、何で、利佳子の携帯番号まで、知ってるの??
「健のもので、渡したいものがあるから…今から会えない??」
「はい。大丈夫ですけど…」
「じゃあ、18時に新宿駅の西口で」
「分かりました」
渡したいもの??
何だろう??
「誰からだった??」
「何か、健の元カノの玲って言う人から…知ってる??」
「嘘だろ!?」
「まぢかよ!!」
みんなの顔が変わった。
「りかこに渡したいものがあるんだって!!」
「行くな!!」
裕が怒鳴った。
「えっ!!どうしたの??」
「怒鳴ったりしてゴメンな」
首を横に振った。
裕が利佳子に怒鳴った理由はこうだった。
昔、玲のお腹の中に健との子供が居て、
でも、健は産む事に賛成はしなくて…。
そんな時に、文化祭で利佳子と健が出会って。
玲と健は前から、上手くいってなかったみたいで、
健から玲に別れを告げた。
玲は、健に子供を産む事を反対された事も、別れた事も全部…。
利佳子のせいだと思っている。
あいつは利佳子の事を恨んでいる。
行ったら、また、傷つけられる。
だから、裕は利佳子の事を心配してくれて「行くな」と言ってくれた。
裕の優しいは、とっても嬉しいかった。
でもね、ちゃんと会って言わなきゃ、
だって、利佳子には、「赤ちゃん産もう」って言ってくれた。
どんなことがあっても、「別れよう」何て、言わなかった。
だから、健が産むことを反対したのも、
健から別れようと言ったのも、他の理由があるはず。
玲は誤解している。
本当は、ものすごく怖いよ。
利佳子の事恨んでるわけだし、何されるか分からないし…。
でも、行かなきゃいけないような気がしたから…。
「大丈夫!!渡したいものを貰って、すぐ戻ってくるから…。」
「じゃあ、俺らも着いて行くわ!!」
海斗だ。
「でも…。」
「お前の事は、俺らが守るし、俺が守るって言っただろ??」
そう言ってくれたのは裕。
みんなありがとう。
車に乗り、待ち合わせ場所の新宿へと向かう。
新宿駅に着いた。
「送ってくれてありがとう。行ってくるね」
「本当に、1人で大丈夫か??」
「うん」
「ここで待ってるからな!!」
「行ってくるね」
待ち合わせ場所へと向かう。
健の元カノって、どんな人だろう??
待ち合わせ場所には、まだ、それらしい人は居なかった。
「利佳子さんですか??」
声をかけてきたのは、スーツを来て、サングラスをかけ、
完全に顔が分からない、2人の男性だった。
「そうですけど…」
2人の男は顔を見合わせ頷いた。
その瞬間、タオルで口を押さえられ、
近くに止まっていた車のドアが開き、その中に強引に運びこまれた。
車が動きだす。
抵抗もしたが、身動きが取れる状態ではない。
目もガムテープで覆われていて、どこにいるかも分からない。
これは、全部…玲が指示しているということぐらい、すぐに分かった。
車が止まった。
ドアが開いた。
「降りろ」誰かが、利佳子の背中を押す。
言われるがまま、車から…降りた。
ここがどこだか、分からない。
ガラガラガラ。
何か、倉庫みたいのを開ける音が聞こえた。
一歩づつ歩き入る。
その場にしゃがみこんだ。
目と口を隠していた、ガムテープが外された。
しかし、手と足を縛っている、紐はとられることはなかった。
利佳子の目の前に、女の人が立っている。
上から、利佳子の事を睨みつけている。
もしかして、玲…。
電話をかけて来た人とは、まるでべつにのようだった。
怖い…。
でも、誤解はちゃんと解く。
その為に、怖い思いをして、ここまで来た。
「人殺し!!健を…健を…。返して」
一瞬理解出来なかった。
「人の恋愛をぶち壊して、健を奪って、
平気で外に出て、ニコニコしてんじゃねよ―!!」
圧倒されて、何も言えない。
「やっちゃいな!!」
玲はどっかに行ってその代わりに、
3・4人の男の人たちが利佳子の方に来る。
「何すんのよ!!」
1人の男が利佳子の服のボタンを外す。
「やめて!!」
ガラガラガラ。
誰かが入って来た。
最初は、夕日の光で、誰だか分からなかった。
でも、すぐ分かったよ。
裕や海斗達が後を追っかけて来てくれたんだ…って。
「お前ら、それ以上手出すんじゃね―!!」
「何で、お前らがここに居んだよ」
玲が邪魔されたかのような言い方で言った。
「ふざけんじゃねょ!!」
海斗が玲の胸ぐらを掴んだ。
「もう二度とあいつの前に現れんじゃね!!」
あんなに、怖い海斗を始めて見たような気がする。
「大丈夫か??遅くなってゴメンな」
裕だ。
「ありがとう」
手と足を縛っていた紐を取ってくれた。
ずっと、縛り付けられていたので、紐の跡がくっきりついている。
「怪我は??」
「大丈夫!!」
「頑張ったな!!偉い偉い!!」
裕は利佳子の頭を2回ポンポンと撫でた。
「立てるか??」
「うん」
裕の手に掴まって立った。
反対側では、海斗の怒鳴り声が聞こえる。
「謝れや!!」
海斗が玲の髪を掴み、利佳子の方に来る。
「やだ…怖い。」
裕が利佳子を、ぎゅっと抱きしめた。
どんどん、利佳子の方へ玲が近づいてくる。
体が自然に震える。
裕はもっと強く抱きしめた。
海斗に髪を掴まれた玲が利佳子の目の前に来た。
「早く謝れや!!」
「ゴメン!!」
「聞こえねぇよ!!」
「ゴメン…なさい」
「もう…もう…良いから…。こんな事しても、健は喜ばないよ」
玲を残して、海斗達が乗って来た車に戻った。
車に揺られながら、考えた。
もし、ちゃんと健の事を受け止めて上げられていたら、
ちゃんと、理解して上げられていたら…。
玲は、きっと…まだ、健の事が好き。
たくさん苦しんで、悩んで、泣いて、玲だって辛いよね。
利佳子だけじゃないんだね。
そんな事を思っていると、涙が溢れた。




