第五話 唐突すぎる出会い(???視点)
今日は、文官見習いから文官へ昇進したことで、祝いのパーティーが開かれる。
そんなパーティーに、僕ももれなく参加していて、同僚達に酒を飲まされて、随分とグッタリする羽目になっていた。
「うぅ……ぎぼぢわるい……」
片翼に憧れ続けて、早二十五年。まだまだ、片翼捜しに精を出すつもりだが、今日の祝いの席くらい、少しは羽目を外しても良いだろう。
……今日、飲ませてきた同僚には、今度、世界一苦いと言われる健康ドリンクを飲ませてやろうとは思っているが。
「そう、いえば……」
少しだけ落ち着いて、それでも酒の臭いから逃れるべくバルコニーに出たところで、僕は嘘か本当か分からない噂を思い出す。
「この場所に、激励のために上司が来る、なんてないよね?」
そう、呟いた直後だった。とても、美しい声が、会場の方から聞こえてきたのは。
「どうやら、随分と楽しんでいたようですね?」
本能的に、僕はそちらへと振り向いて、直後、その香りに呆然とする。
「……僕の、片翼……」
誰かは分からないが、そこにはラピスラズリの美しい女性が立っていた。いや、あの服装からすると、ただの文官ではない。あの服装は確か……。
「貴女は、まさかっ……」
「あぁ、そうでしたね。自己紹介が先でした」
酒臭い会場に佇む青い女神は、無表情のまま、その名を告げる。
「私の名は、オリアナ・リッシャール。最年少の宰相補佐、氷の女、といえばお分かりでしょうか? 本日は、文官に昇進されたあなた方を激励するために伺いました」
その名前は、特に上司の情報を知らない僕でも知っている名前だった。
異例づくめの宰相補佐。その表情は常に冷たく、氷のようで、恐ろしい女性魔族。
さすがに嘘だとは思うが、過去に片翼を拒絶したことがあるとも聞く。
そんな方が、僕の、片翼……。
酔った頭でも、それがどれだけ凄まじいことなのかは理解できた。そして、それと同時に……。
早く、彼女の側に……。
ここは、他の魔族があまりにも多い。大切な片翼を、こんなところに置いてはおけない。
そう思って、足を踏み出した直後、異様なまでの威圧感に襲われる。
「さて、激励とは申しましたが、私が知る激励というのは、戦い以外にありえません。ですので……私を倒すべく、今、この場の全員で立ち向かっていただきましょうか」
そう、彼女が言い放った直後、蹂躙は始まった。




