第43話 「またなの?」
しばらく魔物を相手に戦っていたんだけど。
その時、ふと思った。
あれ?
なんかおかしい。
動きが妙に統率されている。
普通の魔物って、もっとこう……バラバラというか、野生というか。
なのに。
今、目の前で襲ってきている連中は、まるで誰かの指示で動いているみたいだった。
嫌な予感しかしない。
そして——
的中。
森の奥。
空気が歪んだ。
「……下がってください!」
ユリアンの声。
次の瞬間。
黒い魔力の渦の中から、現れた。
上位魔族。
しかも、ただの上位魔族じゃない。
背後には巨大な影。
飛龍。
そして周囲には、使い魔の群れ。
……ちょっと待って。
多くない?
「くくく……」
上位魔族が笑う。
「人間どもめ。今日はよい収穫だ」
その瞬間。
護衛の騎士団が動いた。
「殿下を守れ!」
突撃。
剣と魔法が一斉に放たれる。
——が。
次の瞬間。
総崩れ。
早すぎる。
上位魔族の一撃で、騎士たちが次々と吹き飛ばされる。
「なっ……!」
ユリアンが前に出る。
「聖光よ——」
光の魔法。
強い。
いつものユリアンなら、それで大抵の敵は終わる。
だけど。
上位魔族は、軽く身体を傾けただけで——
避けた。
「……っ!」
ユリアンの顔が強張る。
その様子を見ていたプーチンチンたちは、
「や、やばい!」
「撤退だ!」
速攻で逃げた。
……判断早いな、おい。
そして現場には緊張が走る。
「総員退避!!」
騎士団長が叫ぶ。
学生たちが一斉に後退する。
その中で——
私は前に出た。
まあ、ポーターだしね。
荷物置いて逃げるのも大事な仕事だし。
……でも。
上位魔族の視線が、こっちに向いた。
「ほう」
嫌な笑い。
「貴様は逃げぬのか」
仕方ない。
私は通常武装のまま、剣を構えた。
突っ込む。
縮地。
斬撃。
通じない。
軽く弾かれる。
そして。
上位魔族が、指を向けた。
「消えよ」
魔法。
黒い閃光。
直撃。
爆発。
土煙。
周囲が静まり返る。
「……終わりか」
上位魔族がつぶやいた、その時。
煙の中から声がした。
「はぁ……」
ため息。
「やっぱりこうなるよね」
煙が晴れる。
そこに立っていたのは——
白い装甲。
“レンポウの白い悪魔”。
そして。
どこからともなく。
ファンファーレ。
♪デデデデーン デデデデーン♪
……いやこれ完全にアレだよね。
あのロボットアニメの出撃BGMみたいなやつ。
誰だ流してるの。
「な、なんだあれは……!」
魔族が驚く。
その瞬間。
私の頭部装甲が、カシャンと開く。
「マジガン」
発射。
頭部から弾丸に上位魔族の使い魔が一体が撃ち落とされた。
「頭から攻撃だと!?」
魔族が驚愕する。
私は肩をすくめた。やっぱり、マシンガンじゃここまでか
そして。
ビームライフルを構える。
「行けぇぇえ!!」
発射 ぱしゅー!!
上位魔族は慌てて回避した。
だが。
ドン!!
片腕が吹き飛ぶ。
地面に落ちる。
「ぐああああ!!」
絶叫。
私は首をかしげた。
「……あれ?」
「外した?」
本当は頭狙ったんだけど。
すると。
上位魔族の目が血走る。
「この……!!」
突進。
ものすごいプレッシャー。
正直言うと。
ちょっと楽しい。
「ほう……」
私は思わず笑った。
「この私に、ここまでプレッシャーをかけるとは」
ビームライフルを構える。
発射。
だが。
上位魔族の前に、
飛龍が割り込んだ。
直撃。
次の瞬間。
爆発。
飛龍、消滅。
さすがビームライフル、マゼ○ン級戦艦の主砲と同等、火力がえぐい。
そのまま。
私は次々と撃つ。
ドン。
ドン。
ドン。
上位魔族の配下が、
次々と消える。
さらに——
「聖光よ!」
後方からユリアンの魔法。
聖属性の光が降り注ぐ。
魔族たちは完全に追い詰められていた。
上位魔族の顔が歪む。
「……まずい」
そして。
奴は、最後の手段を取った。
魔力を解放する。
森全体が震える。
地面が揺れる。
遠くから。
無数の咆哮。
「まさか……」
騎士団長が青ざめる。
上位魔族が叫んだ。
「来い!!」
森の奥から。
大量の魔物が押し寄せてくる。
スタンピード。
暴走した魔物の大群。
森が、黒い波のように動き出した。
……うん。
これはさすがに。
面倒くさい。
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