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第参記  陽狐の交わり

第弐記を見て追加でこの話も見に来て頂きありがとうございます!


それでは、お楽しみ下さい!

 うーちゃんが鎮座されてから数日が経った。

 あーちゃんのジャージに対してうーちゃんは着ぐるみパジャマだ。

 あーちゃんがうーちゃんとの接触を嫌がっていた理由も分からなくもない。


「おばちゃま! ウチも動画を見るのじゃ!」


「じゃあ、ウカが見てる間にあたしはアニメの消化でも……」


「おばちゃま! くりっく? しても動かないのじゃ!」


「あーー、それは右クリック。左だよこうやってやるの」


「おばちゃま、流石なのじゃ!」


「おばちゃまおばちゃまうるせぇよ! アマテラスかあーちゃんとお呼び」


「だってのう……父上はスサノオノミコトで、その姉上は天照大御神なのじゃから……おばちゃまじゃろう?」


 困った表情を見せつつ、最後は煽るうーちゃん。


「そうだけどさぁ……」


 手のかかる妹を見るような呆れ顔のあーちゃん。

 でも、姪っ子うーちゃんを本気で嫌っている訳ではなさそうで俺としては安心している。

 おばちゃんというより、面倒見の良い姉ちゃんだ。

 姉気質が気疲れの原因だから避けていたんだろう。


 ゲームを通して2人の特徴も最近分かってきた。


「あれぇ? ウカァ、落とし穴で動けないねぇ?」


「メーーーーリケンッ!!」


「ああああああああ! おばちゃまやめるのじゃ!! 待つのじゃぁぁぁぁぁああああああ!!!」


「戦に待ったはないでしょ」


「パーーーーーーンチ!!!!」


「嫌じゃぁぁぁぁぁああああああああ!!!!」


 ズドン!と画面外まで吹っ飛ばされる2Pうーちゃん。

 格闘系ゲームは苦手な模様。

 まずメリケンパンチを正面から当たるやついるんだなと己の常識という檻から救いだしてくれるうーちゃんである。

 あーちゃんはというと……正直俺より強い。


 うーちゃんは戦略ゲームのほうが得意だ。


「ウカァ? あたしのレベル100の伝説のうちもんに勝てるわけ?」


「おばちゃま、一対一のうちもんタイマンするかの?」


「あたしはレベル100の叔父2よ」


「ウチはレベル1曾祖母じゃ」


 これでも昔は生配信で実況者をしていたことがある俺である。

 昔の血が騒ぐので心の中で実況を始めた。


 うちもんバトルーーースタート!!


 先手は青コーナーあーちゃん。


「叔父2! テラ進化! テラワロス叔父2!」


 おおっと、ここでテラ進化だ!

 出るのかあの最強の専用技が!


「テラワロス叔父2! 実家から金を搾取する攻撃!」


 搾取の矛先がレベル1の、そう、まさに家族内ヒエラルキー最下位の曾祖母に向かっていくぅ!


 効果は抜群だぁ!!

 甘過ぎる曾祖母は通帳、つまりは己のライフポイントをテラワロス叔父2に引き渡してしまう!!


 勝利を確信したあーちゃん。

 それを尻目に不適にニヤリと笑うはうーちゃん。


「ウカは舐めプし過ぎなのよ。これで分からせて行くから……ってライフポイントが1残ってる!?」


「ニヒヒ! おばちゃまぁ、引っ掛かったのう。曾祖母には孫からの支援があったのじゃ!」


「でも、どうするのよ? ライフポイントは1なのに」


「曾祖母! それでもあなたが愛しい攻撃!」


 テラワロス叔父2の精神に響いたぁぁぁあああ!!

 体は立派でも己の過ちを省みて精神的にきているう!!

 おおっと、ライフポイントが1になったぞ!!


「ちょっと、テラワロス叔父2! 省みることはないわ! あなたはもうクズじゃない! 省みないでよおおおお!」


 あーちゃんの神様らしからぬ全力発言に思わず吹き出す俺。


 さぁ、お互いライフポイント1だ!

 先手はどっちがとるのか!

 圧倒的にテラワロス叔父2が有利だぞ!


「ウカ、あたしが先制技入れてないとでも思ったわけ?」


 うーちゃんの表情が曇る。

 先制技があれば速さのステータスを無視に先手が取れるのだ。


「ウカの作戦負けね! テラワロス叔父2! はや飲みして缶を投げつける攻撃!」


 テラワロス叔父2は、はや飲みを始めたぞ!

 絶体絶命の曾祖母はどうする!?


「おばちゃま、資質ってご存じかの?」


 うーちゃんは静かに告げる。


「勿論、生まれつきの性質で曾祖母なら……まったりでしょ」


「通常の資質ならそうじゃのう。悟り資質は知らんのかの?」


「あ……。」


 あーちゃんの顔色がすこぶる悪くなる。

 うーちゃんはまさにゲス顔。


「曾祖母! 悟り資質、ゆっくりゆっくり! せっかちさんを封じるのじゃ!」


 悟り資質、ゆっくりゆっくりとは。

 相手の先制技を無効化できる最強の資質の一つ。


 テラワロス叔父2は曾祖母のゆっくり飲みなさいの発言を真に受けて先制技が発動できない!

 ここで曾祖母のターンだ!!


「曾祖母とどめじゃぁぁああ! 過ちを許す攻撃!」


 テラワロス叔父2に効果は抜群だぁ!

 精神的に完全に落ちてしまった!

 勝者は赤コーナー、うーちゃーーん!!


「おばちゃま? ウチに何を分からせてくれるのかの?」


「あたし、うちもんもうしない」


「ニシシ! 愉快なのじゃ!」


 そんなゲームでいがみ合う2人も唯一息の合うゲームがある。

 FPSゲームだ。

 2人の特徴からして協力したら絶対強い確信はあった。

 故に、やらせてみた。


「おばちゃま、ウチがサブマシンガンで突っ込むからスナイパーでサポートするのじゃ。ウチは正面しかやらないから他はよろしくなのじゃ」


「りょーかいー」


「そろそろ、回り込まれる可能性あるのじゃ。罠のセット忘れるでないぞ」


「はいはい、ウカも正面油断しない」


 不意討ちでスライディングショットをかまそうとしてきた敵を役割担当外のあーちゃんが針の穴に糸を通すかのような華麗なクイックショットで頭蓋を砕く。


「流石はおばちゃまなのじゃ!」


「そろそろ戦車の来る頃ね。ウカ、下がってサポートする」


「了解じゃ」


 うーちゃんは戦場を全力で後退。

 敵は一斉にうーちゃんに照準を合わす。

 敵に背を向けてるのだから、まさに的、当然である。

 だが、うーちゃんを的にした輩は全てあーちゃんにキルされる。

 まさに神のご加護状態だ。


 撤退したうーちゃんの元に敵戦車が全速力で向かう。

 ちょこちょこ動かすうーちゃんのプレイに敵戦車も火を吹けない。

 スナイパーの射程圏で威力最大の場所まで引き付けたうーちゃんにあーちゃんは告げる。


「ウカ! 高くジャンプ!」


 飛び上がった隙だらけのうーちゃんに敵戦車は素早く照準を合わす。

 うーちゃんは空中でひらりと身をひねると敵戦車の照準とあーちゃんの眼光が点と点を結ぶ一つの線を書く。

 あーちゃんは静かに引き金を引く。

 地鳴りがするほどの爆風と轟音を響かせ木っ端微塵にデカブツは吹っ飛んだ。

 あーちゃんの精密なショットは戦車の銃口を撃ち抜き暴発させた。


 勿論、2人共一度も死ぬことなくクリア。

 成績は同時に参加してた顔も知らぬ同胞の倍以上だ。

 シナジーという言葉はこの2人を指すのでは? と、考えさせらる。


 2人の息の相性が良い風に活かされれば良いのだが……と、心配な反面、仲が良くて見ているこっちが和む俺であった。


――あーちゃんとうーちゃんの相性に磨きがかかった!――

最後までご覧になって頂きありがとうございました!


また、次回もよろしくお願いします!

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