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第拾肆記 太陽神の閃き

第拾参記を見て追加でこの話も見に来て頂きありがとうございます!

それでは、お楽しみ下さい!

 第三層へと向かう一行。

 鳥居を眼前に、何故か後一歩を踏み出さない。

 次のきっかけはあーちゃんだった。


「待って、もしかして、あたし有能かもしれない」


 アニメや漫画で言うところの、名案を閃いた際に、頭の上にビックリマークが出る時のような、分かりやすい表情をあーちゃんはとる。


「おばちゃま、まーた変なこと考えておるのじゃろー」


「確かにこの流れから来るとそうなりますよね」


「まぁ、ちょっと見てなさいよ」


 おもむろに亜空間倉庫を開け、中をまさぐる。

 そして、中から切れ味の悪そうな両刃で三〇センチメートル程の小振りの剣を出した。


「あーちゃん、この剣は何?」


「あー、これ? 天叢雲剣あめのむらくものつるぎだけど」


「有能ってこの剣で何か見せてくれるってことなのかな?」


「うん、いくわね……ハッ!!」


 あーちゃんが神力を込めると黄色みを帯びた光が両刃をかたどるように纏った。


「従来の使い方だと、こんな感じで切れ味悪い部分をあたしの光で補完してたのよね。切れ味はお墨付きよ」


「切れ味を自身で補完してまで、どうしてそんな剣を使うの?」


「いい質問ね。答えは、見た目とは裏腹に重さがないんだよねー。だからずっと振り回していられるのよ」


「なるほどね。それが従来なら、現在の回答はどうなの?」


「あたしもまだ確証はないけど、ワンチャンあるかもってやつね……ハッ!」


 さらに神力を込めるあーちゃん。

 両刃を纏う光が拡張し刀身を伸ばす。

 そして、一メートル以上は確実にあろう大剣になった。


「やっぱ、できたわ」


「おー! おばちゃまそれ、カッコいいのじゃ!」


 目をキラキラと輝かすうーちゃん。

 明らかに重そうなそれを、あーちゃんはブンブンと振り回して動作確認に入る。

 しばらく振り回して手に馴染んだのかあーちゃんは告げる。


天叢雲剣あめのむらくものつるぎって名前は何か古いから、この状態の時の名前考えてみるわ」


 大地に剣を突き刺し、親が子供に名前を付ける時のように腕を組んで真剣に考えるあーちゃん。

 

「かなり出かかってるんだけど……うーーん……あ! これよ! これ!」


 太陽が雲から顔を出すように一気に表情が晴れる。

 先に結果を俺は告げよう。

 和神としてあるまじき問題発言をあーちゃんはする。





「今日からこいつを天叢雲剣(エクスカリバー)と呼ぶわ」





「それ完全にアウトだろぉぉぉぉぉおおおおお!!!!」


 あーちゃんのドヤ顔から放たれた一言は、俺の全力突っ込みを誘発させた。


「そーんなケチケチしてるとモテないわよ煌」


「いや、モテないも何も、あんたが別れさせたんだろ!」


「え? そうだっけ? 昔のことは一々覚えてないのよ。常に未来を向いて生きなきゃね。」


「そうじゃぞ煌。ウチらが和神だからといって、既存の枠組(フレーム)に囚われていては革新(イノベーション)なぞ起こせんぞ? 柔軟な思考(マインド)を持って事に当たらねば良い機会(オポチュニティ)を逃しかねないのじゃ」


「私も、うー様に賛成(アグリー)です。和神であるからと言って、和で統一しなければならないルールに、約束(コミット)しなくてはならないと誰が決めたのでしょう」


 確かにそうだがと内心どこか納得のいかない俺である。


「みんなから同意(コンセンサス)得られたみたいだし、あたしが革新者(イノベーター)としてでっかい風穴開けてやるわ!」


 あーちゃんは天叢雲剣(エクスカリバー)を後ろにまわす。

 刀身が陽光を受けギラギラと眩い輝きを放ち始める。

 そして、光が刀身から漏れ始めた。



「天津國から注がれし永遠の金光よ! 障壁を蹴散らし未来を照らせ! 陽光天滅斬サンライトワールズエンド!!」


 

 刀身に溜まった力を開放するように振り下ろす。

 光の斬撃は刀身から離れると拡大する。

 それは雷が落ちるかの如く速さで且つ大地を揺るがす轟音と共に直線上に放たれた。

 眼前の草原、木々、そしてグルりと俺たちを囲む山に風穴をブチ開けた。


「ふぅ、スッキリした!」


「スッキリしたじゃないよね?? 最高の景観を破壊する必要ないよね??」


「いい? 煌。この世は諸行無常よ」


 眩い笑顔で言われたらそりゃあぐうの音もでない。

 何も言えねぇとはまさにこのこと。


「お、おばちゃま! アホなのかの? 鳥居の一部壊してるのじゃ!」


 光斬の一部が鳥居をかすめていたようで鳥居内の空間の歪みが収まり始めていた。

 そして、三柱と一人は急いで中へと飛び込んだ。



 


 今度のワープ体感時間は三〇秒程だろうか。

 一層からの時よりも長く感じた。


 結論から言おう。

 開けた眼前には何もない。

 地面? と言っていいのか分からない白いもやのかかった大地がどこまでも広がる。

 空も白で太陽はおろか月や雲すらない。

 ただただ白い。

 今は俺以外にもいるからまだ大丈夫だが、この空間に一人でいたら気が狂いそうになりそうだ。


「あーちゃん、ここは何なの?」


「ここからは神域ね。第三層以降はランダムで神が召喚されるシステムなの。大抵の相手は烙か曝が処理してくれるのだけど、ここまで上がってくるのは相当の妖魔か悪神だから戦った時の被害を地上に及ぼさないために特別空間をこしらえてるわけ。あー、説明だるい」


 影響及ぼさないようにって言ってるけど、さっき地図書き換えなきゃならないくらい相当な被害を及ぼしたよねと突っ込むのはやめることにした。


「ってことはここからが神と神の対決ってわけなんだね。いつ次の神が来るか分かるの?」


「トヨにパース」


「はい、空間の歪みが生じてそこから現れます。こちらまで召喚するのに少々時間差がありますので、しばしお待ちしましょう」






「これを待っておった。八切りじゃ! そして、ダブル七渡しでおばちゃまに押し付けてウチの上りじゃ!」


「ウカァァァァアアアアア! そ・れ・は空気読めてない。無能。ホント無能。ゴミ押し付けんなし。九の縛りダブル出すわ」


「フフ、なら私は鬼縛り十捨てです」


「俺パス」


「トヨも中々やるわね」


「では、私のターンですね。五で革命。これで五飛ばしで順番が一周しますので私のターンです。六のダブルで上がりです。」


「は? トヨ。あんたも無能なのかしら。煌は空気読めるわよね? ここパスよね?」


「三のダブル。JQK一の階段革命からの四のシングルで上がり」


「あんた達さ、ぜーーーーったいグルでやってるわ! こんなのイカサマよ、イカサマ!」



「……ってかさ、来なくね?」



 あれからどのくらい待ったのか。

 俺たちは例のレジャーシートを広げて大富豪に興じていた。

 時計の無い部屋に長時間いると時間の感覚が狂うのと似た感覚があるせいで分からない。


 突然耳がピクピクするうーちゃん。


「来るのじゃ」


 空間が渦を巻く。

 次第にシルエットがあらわになってくる。

 しかし、今の俺らにそれを見届ける暇は無い。


「はよ! 片付け、はよ!」


「おばちゃまが癇癪(かんしゃく)起こしてトランプぶちまけるからじゃろ!」


「フフフ、他の神々に地上の娯楽に興じているところは、あー様見せたくないですものね」


「あー! もう! ごちゃごちゃ色んなモノ出すし! みんな無能!」


「菓子類出してずーーっとボリボリしてたメインおばちゃまじゃからな?」


「ウカも食べてたから同罪! ってかマジ来ちゃうどうしよ。ちょっとみんなどいて」


 指示通りに全員、トランプや菓子類が散乱したレジャーシートから退避する。

 あーちゃんは手をレジャーシートへとかざす。

 亜空間の入り口を二メートルくらいにレジャーシート上に展開した。


「ほい!」


 指を上にくいッと上げると亜空間内に全て吸い込まれた。


「え? 吸う機能なんかもあるの?」


「いえ、あー様にしか今の芸当はできません」


「よっちゃん、それってどういうこと?」


「あれは引力です。天体を司る神々にのみ許される能力で、有名どころな神様ですと、あー様の弟にあたる月読(つくよみ)様も同様のことができます」


「へぇ~」


 シルエットが完全にオープンになる前に何とか間に合った。

 それがあらわになった時、あーちゃんの様子が変わった。

 明るいが似合うその顔に闇が差す。


天手力雄(あめのたぢからお)……あんたは消す。復活なんてさせない。魂ごと滅してやる」


 天手力雄(あめのたぢからお)と呼ばれるそいつは正直異形だ。

 身長は一七〇センチくらいだろうか。

 手は四本、それも超絶ムキムキだ。

 だが、足はガリガリで上半身の主に腕力に全ての努力を捧げたような風貌である。

 こう言っちゃ失礼だが、シンプルにキモイ。


「天照様ぁ。お久しぶりなんだなぁ。おらぁ、また会いたかっただよぉ」


「大丈夫よ、天手力雄(あめのたぢからお)


 あーちゃんの体が白い光に包まれる。

 この流れで行くと変身なのだろう。

 そのベールが剥がれる前にあーちゃんは静かに告げる。


「二度と会えなくなるから」

最後までご覧になって頂きありがとうございました!

また、次回もよろしくお願いします!

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