第2-30話 再会
蓮翔名義での「ハッピーエンドを求めて」という作品の連載を行っていたハストと申します。蓮翔名義で執筆していたアカウントの端末がとても執筆できる状態になく、新しい端末でログインすることも叶わないため、別の端末とアカウントで連載を再開させるというかたちになってしまいました。読者の皆様に混乱を招いてしまうことを深くお詫び申し上げます。蓮翔がハストという作者名に転生したと受け取り、引き続きhappyエンドを求めてという作品を楽しんでいただければ幸いです。
花城如音「わかった。しかし、俺たちからも一つ条件がある。」
オーナー「何だ?」
花城如音「bの会場だけでいい。そこにいるお前の部下も30分待機していていくれ。」
オーナー「いいだろう。」
交渉を終えたオーナーは自身の腕時計に向かってなにやら操作を始めそこに部下たちに対して待機の命令を出している様子が伺えた。それをみた花城と伍代は佐藤と木崎のもとへ合流に向かう。佐藤と木崎は先ほどまで戦っていた伊美が突如として撤退したことに対して疑問を溢しながらも花城が話そうとする姿勢に黙って従い彼の言葉を待つことにした。
花城如音「俺と佐藤は極楽へ、木崎と伍代はaへ向かってもらう。」
花城如音はbの攻略をあきらめた。花城の言葉にその真意が含まれていることを気付けるものもまたいなかった。
伊敷季毎伽「何のつもりだ?榎宮優。」
榎宮優「答える必要があるのか?君と私は敵同士。それでいいじゃないか。」
伊敷季毎伽「他の管理者もお前みたいに裏切ったのか?」
答えるつもりはないと答えた榎宮優に対して伊敷季は変わらず問いを重ねる。少し困惑しながらも榎宮はまた同じような返答を出そうとした。
榎宮優「…聞いていたか。私は答えるつもりは…」
伊敷季毎伽「聞いてたよ。でも答えてもらわなきゃおれの気が済まねえ。」
伊敷季は右手を拳に変え、それを近くの壁へと激突させる。怒りがぶつかったその壁には亀裂が生じ破片がボロボロと床に崩れ落ちていた。
榎宮優「悪いが答えられない。私にその力はないからな。」
含みのある言い方を終えたのち、榎宮優は攻撃へ出た。伊敷季のもとへ神速とも呼べる速度で近づき右手に持つ剣を伊敷季の首にめがけて切り裂こうとする。伊敷季はその剣をしゃがむことでかわし、それと同時に戦闘の覚悟を固めた。
伊敷季毎伽「セカンド」
伊敷季の両手にそれぞれ剣と斧が投影される。右手に投影された斧を榎宮優めがけて投げつける。それを榎宮優は剣を空振りさせたのちに弾き飛ばす。伊敷季はそれをわかっていたかのように既に次の攻撃へ移行しており残りの左手にある剣で榎宮優の持つ剣を弾き飛ばそうとする。榎宮優もまた斧の投擲だけで終わるとは思っておらず、伊敷季の左手を自身の左足に激突させることでその衝撃で伊敷季の左手から剣を放させる。丸腰になった伊敷季の状態をついて榎宮優は右手に持つ剣を伊敷季の首めがけて再度切り裂こうとする。伊敷季は足を地面から離し、体勢を自ら倒すことによって榎宮優の剣の軌道の先に自身の首がある状態を回避させ再度榎宮優の剣は空振りとなる。受け身をとり地面に全身をつけた伊敷季はすぐさま身体を起こし、榎宮優の出方を伺う。榎宮優は伊敷季の身体が倒れたところも攻撃に出るわけではなく、円を描くように歩き榎宮優もまた伊敷季の出方を伺っていた。この一連の攻防を終え、ようやくもう一度2人は会話という概念を思い出すかのように再開させる。
榎宮優「伊敷季、君がなぜ管理者ナンバー1になることができないのか教えてあげよう。」
伊敷季毎伽「お前だってナンバー1といえるかは怪しいけどな。」
そんな伊敷季の挑発には耳も貸さず榎宮優は自由に続ける。攻撃を再開させながら。
榎宮優「君は持ち前のセンスと恵まれた能力に頼りすぎている。」
そういいながら榎宮優は即座に伊敷季の背後をとる。それに気づいた伊敷季は慌てて振り返るやいなや、榎宮優が振るい始めた剣を真剣白羽取りのように受け止めその剣を両手の圧力でへし折る。それを知っていたかのように榎宮優は剣を振るっていた左手とはもう片方の右手を伊敷季の死角から忍ばせ伊敷季が剣をへし折った瞬間に彼の首を右手で掴む。
榎宮優「感覚とは正反対のもの。それは論理だ。感覚的に生きている君とは反対に私は論理性と計画性を持って戦っている。私の攻撃をなくとなくで予測しているようでは何億年経っても私には届かない。」
伊敷季毎伽「くっ、、いっ、てろ。お前の、戦い方だって、完璧でも、正解でもない。」
首を絞められながらも言葉を絞りだし、せめてもの抵抗を試みていた。榎宮優は伊敷季は放り投げ再度自身の右手に剣を投影される。
榎宮優「ファースト」
剣を右手に持った榎宮優は伊敷季へ一歩一歩、歩み寄る。
榎宮優「戦い方に正解も完璧もない。同感だ。実際、花城如音も君と似たような戦い方をしているが彼の強さは冥界全体でも5本指に入る。」
伊敷季毎伽「結局、何がいいたいんだよ。」
榎宮優「独自の戦い方、これこそが強さの本質だ。」
伊敷季毎伽「……」
伊敷季は立ち上がり、目の前にはもうすぐそこに榎宮優がいる。彼は右手に剣を持ち、自身は丸腰。伊敷季は榎宮の顔全体を見続けたのち、攻撃を始めた。榎宮の剣を当たり前かのように難なく避けたと思えば伊敷季は周りの机や椅子、自分で作ったともいえる壁の破片など、とにかく近くに転がっているものを榎宮優に投げつける。目眩ましとして。伊敷季は榎宮優と距離を離しながら桝田結城のもとへ駆け寄り、彼の腕を自身の肩に載せ徹底を示していた。
榎宮優「悪いがそれは許されない。」
榎宮優はすぐさま伊敷季のもとへ向かう。右手の剣で伊敷季の首を切り裂こうとする。
伊敷季毎伽「後ろ、よくみろ。」
榎宮優「?」
榎宮優が背後を振り向くやいなや榎宮優の眼前に斧が飛来してくるところだった。榎宮優は慌ててそれを弾き飛ばし斧と床の激突の爆音を奏でたのち、再度伊敷季の方へ目をやる。そのときにはもう伊敷季も桝田の姿もなくこのときに榎宮優は伊敷季の行動の意図を理解した。
榎宮優「あのとき、、やみくもに机や椅子を投げたのは伊敷季が自身の斧を拾いそれを投げつけることに気付かれないための目眩ましだったのか。」
少し感心し、僅かな笑みを浮かべたのち榎宮優は自身の腕時計に向かってあるものへ語りかけた。
榎宮優「石井様、申し訳ございません。伊敷季毎伽を取り逃がしました。」
~a会場にて~
この八次の幸奪戦争は明らかに前回、それ以前とは異質で異常だった。あまりに多い参加者の数、突如とした現れた少年、なぜか参加者が全く減らなかったあの一時。そんな複数の謎が絡み訳も分からないまま我殺狂助たちは坂縞樹たちの存在を救うためにある少年とのゲームに挑んだ。結果、彼らは負けた。我殺狂助たちもまた坂縞樹と同じように地下鉄で拘束されている。
村重飯嶌「ち、、くそ!!」
柱へ身体をくくりつけられた一同は何もできずただやり場のない怒りを声に出すことしかできなかった。我殺たちがなぜ拘束されたのか、それは少年がゲームを始めたときに遡る。
少年が見せた映像から推察するに坂縞たちが捕らえられている場所が地下鉄だと判断した我殺たちは地下へ向かい、捜索を始めた。それぞれが分かれて捜索し、一人が見事坂縞のもとへ辿り着くことに成功した。
桐生亜衣「はぁ、はぁ、」
柳原敬太「おぉ!!すごい!!!5分残して見事到着~!!」
坂縞樹「桐生…」
息を切らし、坂縞樹やその仲間喜村牟礼や迦楼羅雅がそれぞれ柱にくくりつけられその四隅の中心に少年が堂々と確かに存在していた。
柳原敬太「あれ?お兄さんたちはどこ?」
桐生亜衣「樹くんたちを解放したら教えてあげるよ。」
ゲームには勝ったからまず、報酬を渡せ。そんな当たり前の要求をかざすが少年は報酬を与えるつもりは微塵もなかった。
柳原敬太「え?なんで??」
桐生亜衣「いや、ゲームに勝ったじゃん。」
柳原敬太「【お姉ちゃん、参加していないでしょ?】」
桐生亜衣「え?」
このときに桐生は柳原との会話を思い出す。この少年はたしかに「2vs1で勝負」、「お姉ちゃんは後」と明確に発言しており、桐生がこの場へ辿り着いたところで何の意味もない。そして仮に桐生が参加していたとしてもまだ勝利条件を満たしていないことにも気がつく。
柳原敬太「それに僕を倒さないと勝ちにはならないよ。」
この場所へ辿りついた達成感と坂縞樹に再会できたという安堵によって明確な勝利条件を失念しており、同時に現状の危機をようやく認識する。5分残してこの場所へ辿りついた。それは5分以内にこの少年を倒せなければならないことを意味する。
坂縞樹「桐生、、逃げろ。お前はあとがないんだ。お前がこのガキと何のゲームもしていないならここから逃げてもお前に何の影響もない。」
桐生亜衣「うるさい!!あとがないのは樹くんもでしょ!それに喜村くんも迦楼羅ちゃんもここで訳もわからず消えたくないでしょ!」
少しずつ涙目になりながら抗議する桐生は坂縞に対しての説得を助けさせるかのように喜村と迦楼羅に話を振った。しかし、、
喜村牟礼「桐生さん、、あなたも参加してたんっすね。正直幸奪戦争って何なのか今でもよくわかんないっすけど、最近思ってたんすよ。地獄で永遠にあんな労働させられるくらいならもう何も考えず無でありたいって。」
喜村の答えもまた、言いたいことが坂縞と同じだった。もう消えても構わない。それに追い討ちをかけるように迦楼羅も話し始める。
迦楼羅雅「同感ですね。私もそろそろこの身体がこの身体であることに疲弊してきました。坂縞さんや喜村も一緒ならまぁ悪くない末路でしょう。」
完全に消えるつもりでいる3人の表情は目の色を失い虚ろと化していた。3人にはもう幸せを求める気力はもうないのだろう。喜村も迦楼羅も最初は訳もわからず連れていかれ、消されることに強い抵抗を覚え幸奪戦争を勝ち残ろうとしていた。坂縞もまた極楽へ行って母親に会う、同じ会場にいる桐生の手助けをしたいという思いもあった。この3人が柳原へ遭遇し、襲撃に遭った際も3人は可能な限り抵抗し、逃亡も視野に入れながら戦闘を試みた。坂縞樹も出し惜しみはせず、クラインドも使用したがそれでもなぜかこの少年は倒せなかった。そして消滅の危機に晒され死線ならぬ消線に立たされ抵抗する気力すら失せたのだ。少年さえ倒せないのであれば、この先戦えるわけがない。そもそもこんなとこに来たのが間違いだったのだ。そうネガティブな連想ゲームが勝手に行われついには自分の身の消滅を半ば受け入れるかたちとなってしまった。桐生は拳を握り、肩を振るわせている。この3人の心情を理解していないわけではない。しかし、それでもなお、なぜか許せない。許す許さないの問題とは少し違うことはわかっていても。怒りが止まらない。槍の持ち手でみぞおちを刺してやろうかと心の中で仕置きの欲が出始める。そしてそれが言葉に出ようとしたときだった。
白崎糊塗「いい気味だね~。なんかそこまでくると笑えてくるわ。」
桐生の背後に徐々に近づく謎の少女がそこにはあった。
柳原敬太「お姉ちゃんがまた来た~~!」
桐生亜衣「えっとー、誰?」
白崎糊塗「白崎糊塗。私の先輩らしきものがいたから連れてきちゃった。」
白崎の横には黒く、人のかたちではない何かがいた。
桐生はその異形なものに対して嫌悪感というよりも謎の親近感がかすかに存在していた。
白崎糊塗「あんたも知ってるんじゃない。こいつ、第七次の参加者だし。」
悪魔「が、さ、いさん…」
その悪魔の言葉に桐生は戦慄した。坂縞もまた驚愕で目が大きく開かれた。もう名は覚えていない。顔や声さえも。しかし2人にはたしかにこの悪魔と会ったことがある、そんな確信を得ていた。




