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第21場 別れの朝
別れの日、早朝。まだ薄暗い中
たくさんの縁のある人が集まっていた。
ミゲルと千鶴は言葉を交わさず、ただ見つめ合っていた。
ミゲルは身につけていたクロスを外し
千鶴の手に握らせる。
千鶴は昨日の横笛が入った箱をミゲルに渡す。
「サヨナラ」とミゲルがいい
「チャオ」と千鶴が呟く。
山口の民達は
「気をつけて」
「忘れんでね!」
「またきいや!」
それぞれ別れの言葉をつげる。
2人はゆっくりと歩を進める。
千鶴は2人の背中を見送る。
ただ一度だけミゲルが振り返った。
山口の町には太陽が昇ろうとしていた。
ミゲルの背中に千鶴は心の中で声をかける
あなたの事を決して忘れません
どんな日が来ようとも
空を見上れば同じ月を見ていると
あなたの愛を思う事が出来るのだから
エピローグ
「この当時生きてきた人も、別れや出会いがあったんだろうな」
「私達と同じ思いをしたんかね〜。」
一人の少女が鼻をすする
「えっあんた。泣いてるの?」
「何かいろいろ考えたら泣けてきた。」
月を見上げて言う
「あの月は変わらず、そこにあって全て見ていたんだろうな。」
「ヤバっ」
「月が出てるじゃん!」
「かえろ。かえろ」
少女達は笑いながらそれぞれの家路につく
一人の少女だけが、ふと立ち止まり
振り返った。
山口の空にはあの日と変わらぬ月が静かに
輝いていた。
幕




