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独白22 消滅伝令

宇宙にいる何者かへこのメッセージを送る。


我が名は魔王ヨクラトール。神によって生み出され、惑星テアトロンの支配者である。



目の前におる伝令から、予想もしない報告があった。


「すまぬが、もう一度申してみよ」


目の前で跪いている伝令は、呼吸も荒く、小さく震えておる。もし、報告の内容が真実であれば、無理からぬことだ。


「は。……レイク城、および、その周辺が消滅しました」


「消滅で間違いないか。その報告の意味、知らぬのではあるまい」


我が軍では「消滅」という報告は特別な意味を持つ。言葉通りの意味ではないのだ。もし、そうであれば、それは一大事を意味する。


「消滅…でございます。ミッシングゼロ…に、間違いありません」


「証拠は?」


「現場付近にてシンディ様を発見。シンディ様からの報告です」


シンディとは、レイク城の副官である。

副官の任務は、その城で起きた勇者と幹部の戦いを我に報告すること。

その任務のために、あらゆる努力が課せられておる。

シンディからの報告であれば、間違いないのではあろうが…


「そのシンディは、今何をしておる」


「その…シンディ様は、半身が消滅しており、現在魔王城へリリリス様が輸送中です」


「リリリスも生きておるのか?」


「シンディ様から、魔王様に詳細を聞かれたら伝えるように言われたことを申し上げます。『デストーン様がミッシングゼロを発動。ステラの魔法により、リリリス様、デスメロディ様、大魔法使いステラ、3名は無傷で生存。シンディ様は辛うじて生還。他は消滅。詳細は必ず戻って伝えます』とのことです」


「聞きたいことは色々あるが、お主が持っている情報はそこまでということでよいか?」


「は。申し訳ありません。消滅の報告は何よりも優先せよ、という掟に従い、最低限の情報のみとなります」


「うむ。消滅伝令、ご苦労であった」


伝令はふらふらと立ち上がると、部屋を出て行った。



何があったのだ?

少し前から、カメラコウモリが発動せず、レイク城での決戦の様子がわかっておらぬ。

全カメラコウモリの動作がストップしてしまったのだ。カモフラージュカメラコウモリも含めて、全てだ。

原因をデミデスタに探らせておったのだが…

この様子だと、何者かが故意に起こした事象かもしれぬな。


しかし…ミッシングゼロか。

ミッシングゼロとは、最強級の消滅魔法のことである。

ファクルタスの地に封印されていた古の大魔法。

半径数十キロ範囲の広さを破壊する、悪魔の消滅魔法なのだ。


封印を解いたのは、我だ。

かつて、ファクルタスを訪れたときに発見し、解読した。

そして試しに人間たちに放ってしまったのだ。

結果、人間だけでなく、我軍も、あらゆる生き物、地形までもが消滅してしまった。

そのあまりの威力に再度封印を施した、悪魔の魔法。それがミッシングゼロである。


しかし、その封印が解除されたときがあったのだ。

解除したのは、ステラ。あやつは我の封印を外し、ミッシングゼロを手にしてしまったのだ。

そして、軽い気持ちでレイク城にミッシングゼロを放った。

結果、レイク城は消滅。城の存在していた山もろとも消滅。我が軍は大変な被害を被った。


以降、ステラもこの魔法を封印したと記憶しておる。

しかし、ステラの魔法で無傷という報告が気になるところではある。あやつ、ミッシングゼロを防ぐ手立てを身に着けたということか。ミラリスの死後、ファクルタスに居たことと関係があるのやもしれぬな。


今のレイク城はそこに再建したものだったのだが…まさか再び消滅するとは。

ともかく、レイク城で何かあったことは間違いない。

カメラコウモリ断絶も、偶然ではないように思える。

暗躍している者がいる気配。

カリスか…その線もゼロではないが…


ともかく、状況がわからぬ。

自ら前線に立ち、指揮をしているというのは何とも楽なもので、こうして間接的に物事を動かしていると情報が足らぬことも多い。

そんな中、狼狽えてしまっては、大きな組織を指揮することはできぬ。全てを把握できぬ中で、どうにか情報を得る仕組みを作り、それを足がかりに判断することが求められる。

デミデスタやガストールのような、信頼できる者の情報を足がかりに、事態を掴んでいくしかないのだ。


四天王の副官も同じく信頼できる者。

今はシンディの到着を待つしかないか。



ふむ、今日はこんなものかな。


誰とも知れぬ者よ、また機会があれば聞くがよい。

それではな、何者かよ。

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