表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染がいろいろおかしい 【ファンタジックラブコメ】全編完結  作者: てんまる99
えくすとらラプソディ:番外編のお話。短いのでお手軽に読めます

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/56

えくすとら 美月Days

本編に入れるタイミングが無くて外伝に成っちゃいましたが、この話は最初から考えていたお話です。

本当は美月が家を出ようとする理由はもう一つ考えてあったのですが、今回のストーリーでは不採用と成りました。

伏線はメインストーリーの中にちょくちょく書いて有りました。

激しい雨が轟々と窓に打ち付けていた。

電線がひゅんひゅんと唸っている。

街路樹の枝が暴風にしなり、今にも折れそうだ。


「台風か」

「うん、台風⋯」

ホテルのロビーで美月と窓の外を見ていた。


「これじゃ…今日帰るのは無理だな」

「家には連絡しておいたよ」

「やれやれ、夏休みで良かった」


ロビーに置かれたTVには、暴風雨警報が発令されている旨のニュースが映っていた。

台風が近づいているらしい。

諦めて延泊するしか無さそうだ。


「どしよ」

「外には出れないしなぁ⋯」

「ゲームでもする?」

「そうするか」

もちろん、俺も美月も携帯ゲームは持ってきていた。



俺達が部屋でゲーム機の電源を入れ、ゲームを立ち上げた直後だった。


『ガガがドーーーン』

「きゃっ」

「うおっ?」


突然、ひときわ激しい雷と共に部屋の明かりが落ちた。

どうやら停電のようだ。

昼間だから真っ暗ではないが⋯。



手に持ったゲーム機の画面に『ネットワークに接続できません』の表示。

ホテル内のWiFiも落ちてしまったらしい。


ベッドに倒れ込んだ俺を、柔らかく締め付けるような感触。

首筋に柔らかい髪が当たり、くすぐったい。

美月が必死に俺にしがみついていた。


「⋯高校生に成っても雷、駄目か?」

「怖いものは怖いもん」


『ガガガーーン』

「いやぁっ!」


美月は再びの雷鳴に、さらに腕に力を込める。柔らかな体が押し付けられた。


「落ち着けって」

「ヤダヤダヤダ、あ兄ぃ、助けて助けて⋯」

「大丈夫だって。ほら」


そう言って、俺も美月の背中に手を回し、抱き締める。

少しづつ美月の体の震えが収まってゆくのが分かった。


「あ兄ぃ⋯」

美月は両目いっぱいに涙を溜めて、俺を見上げた。


「仕方ない⋯おまじないするか?」

「うん、してして」

美月はせがむように顔を近づけてくる。


「ほら⋯」

『チュッ』

俺は美月の前髪を手で上げると、おでこに軽くキスした。


「ん⋯」

美月はピクリと一瞬身体を震わす。


「もっと」

「はいよ」

『チュッ』

今度は左の頬に、チークキス。


「こっちも」

「はいはい」

『チュッ』

今度は右の頬に。


子供の頃、2人で嵐の夜を過ごしたあの時の事を思い出しながら、美月の目尻に浮かんだ涙を拭った。

あの時もこうして美月をなだめたな⋯。


「おまじない、効いてきた⋯」

美月が溜め息混じりに呟く。


『ガガガーーーッ』


再びの雷鳴でも、美月はパニックにならなかった。


「落ち着いたか?」

言いながら美月の髪を指ですく。

「ん⋯気持ちい」

美月はうっとりとした表情を浮かべた。



「あのね⋯」

少しして美月が口を開いた。


「ん、どうした?」

「私、本当は近々家を出ようと思ってた」

「ええっ!」

さすがに驚いた。


「家を出て、籍も戻して⋯」

それでは元々血の繋がっていない美月は他人になる。

俺の家族じゃ⋯妹じゃなくなる。


「り、理由を聞いていいか?」

動揺で声が震えた。


「あ兄ぃの⋯女に成りたいの。妹のままじゃ駄目だから⋯」

「そ、それは」


美月はわざわざ“女”と言った。

つまり、美月は俺と⋯。


「でも、やっぱり無理!」

「え?」

「だって3日も離れたら辛くて⋯何もできなく成っちゃった」


これは、先日のライブツアーの事だろうか⋯。


「今だってそう。あ兄いが居なかったら⋯」

「そんな事ない。美月はもう一人でもやっていけるだろ」

「その言葉も⋯あ兄ぃの言葉じゃなきゃ駄目なの‥」

「⋯分かったよ⋯今はそれでいい」


その姿に、俺はある約束をした子供の頃を思い出した。



美月の両親が離婚した夜。

家を逃げ出した美月を俺は廃屋で見つけた。

そこは俺達2人の隠れ家だった。

激しく雨が降っていた。


『誰?』

『俺だよ。家に行ったら、どこに居るか分からないって聞いて⋯』

『律斗兄ぃ⋯血が出てる⋯』


美月を探して⋯高い所なら見つけられるかもって、木に登って⋯足を滑らせて落ちた。

凄く痛い⋯けどおかげでここに辿り着けた。

美月を見つける事ができた。


『ちょっと痛いけど⋯大丈夫。それよりどうした?』

俺は美月の隣に座って話しかけた。


『お父さんが⋯お父さんを辞めるって。もう美月のお父さんじゃ無くなるって』

『なんだよそれ。ふざけてるな』

『昨日、遊園地に行くって。お弁当作るって約束したのに⋯もう⋯もう違うって。なんで? 美月が悪い子だからなの?』

美月は俺にすがりついて涙を流した。


『そんな事あるか。美月が悪いわけない』

『⋯そのうち母さんも居なくなって⋯美月1人に成っちゃう⋯きっとみんな居なくなっちゃう⋯』

『違う! 絶対にそんな事、俺がさせない。俺は美月を一人になんて、絶対にしない』

そう言って俺は美月を抱きしめた。


『でも⋯そんなの分からないよ⋯』

『約束する⋯そうだ、約束のおまじないをしよう。これなら絶対に離れない』

『ホントに? 約束?』

『ああ、絶対に約束だ』

そう言って、俺は美月の額にキスをした。


雨が激しくなり、雷が鳴った。

俺は真っ暗な中で、翌朝両親が俺達を見つけるまで、ずっと美月を抱き締め続けた。


以来、美月は俺が居ないと不安定に成ってしまう時がある。

それを依存と言うのは簡単だ。

でも、何にも依存しないで生きている人間がどれだけいるだろう。


「美月が必要と言うなら⋯約束は守るよ」

俺は子供の頃交わした約束はまだ有効だと思っている。

美月がもう大丈夫、と言うその時までは。


「うん‥あ兄ぃ⋯大好き⋯」

美月は軽くキスをしてきた。

まるで小鳥がついばむような短い口づけだった。



少し待って、美月も大分落ち着いたようだ。


「そう言えば、藍染達は大丈夫か⋯」

気になってベッドから身を起こそうとするが、美月が離さない。


「おい、そろそろ⋯」

「ヤダ。あと5年位このままがいい」

美月はイヤイヤをする。


「確実に死ぬが?」

「出前頼もう」

「風呂やトイレはどうする⋯」

「あ兄ぃが連れてって」

「抱っこオバケか」

「うん」

ウチの妹は抱っこオバケらしかった⋯。


「ほら、手繋いでてやるから」

「抱っこが良い」

「無茶いうな」

さすがにホテル内を美月を抱っこしてうろついたら、色々な物を失ってしまいそうだ。


「じゃあ、おんぶで我慢する」

「⋯仕方ない」

それなら、ちょっと具合が悪くなった、とか言い訳も立つだろう。


「ほら、乗りな」

美月に背を向けしゃがむ。

「ん⋯」

美月が背中に身体を預けてくる。


こんなふうに美月をおんぶするなんて、何年ぶりだろう⋯。

俺としては少し懐かしい位の気持ちでいた。


だが、俺も美月もそれなりに成長している訳で。


『むにゅにゅ』


背中に感じる美月の柔らかい物や腕を回した太腿とか⋯。

とりあえず青少年の煩悩を刺激するには、あまりに充分過ぎた。


「柔っ!」

「どうしたの?」

「な、何でもない。とりあえず急いで行くぞ」

「うん」


美月をおんぶして藍染達の部屋に向った。

ドアをノックするが、返事がない。


美月がスマホで連絡してみると、買い物で外出し、帰る途中で道路が冠水、戻れなく成っているらしい。

とりあえず無事の様なので安心した。


「部屋に戻るか⋯」

「うん」


『ガチャッ』


そのまま部屋に戻ろうとした時、背後の藍染達の部屋の扉が僅かに開いた。

あれ⋯藍染達は外出中なハズ⋯。


『キィィィ』

癇に触る音を立てて、少しづつ扉が開く。


「だ、誰⋯」

振り向いた俺達が見たのは⋯ドアを開けるミツキ熊だった。


「お、お兄ちゃん〜」

熊は涙声で俺の足にしがみつく。


「お、おう、どうした?」

「雷怖い〜」


え、そんな所まで美月と同じ?

「抱っこして〜」

涙こそ浮かべないが、かなり怖がっている様子だ。


「仕方ない」

ミツキ熊を抱き上げた。

バッテリー内蔵の熊は予想外に重い。


「重っ」

「ちょ、レディに失礼だよ、お兄ちゃん」

「熊なんだが」

「抱っこいいなー」

おんぶした美月が言う。


「と、とりあえず部屋に戻るぞ」

「「はーい」」

2人が声を揃えて答える。


廊下を戻りかけた時、明かりが付いた。

停電が復旧したらしい。


そう言えば、窓の外の嵐も大分収まっている。

これなら明日には天気も回復しそうだ。


「よ、良かった。ほら、もう大丈夫だぞ」

しゃがんで美月を下ろそうとしたが。


「ん⋯部屋まで」

美月は背中から降りようとしない。


「部屋まで」

熊も腕にしがみついたまま。


「あーもうっ!」


俺は背中に美月、胸に熊と言う珍妙な格好で廊下を歩くハメに成ったのだった。

ミツキと主人公の2人ドラマも一度書いてみたいですね〜


作者のやる気は イイね や 感想 で出来てます(笑)

ここまで読んだらもうひと手間、評価をポチっと!

宜しくお願いします。


ぜひぜひ御意見、お聞かせ下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。


他にも小説家になろうに色々作品アップしてますので、良かったら見てみて下さい。

ファンタジーからSFまで色々揃えてます。


ちょっと不思議なラブコメ「幼馴染がいろいろおかしい」

https://ncode.syosetu.com/n2628lw/


ドタバタ異世界転生「社畜リタイア求職中が異世界転生はしたいけど条件が厳しくて転生先が見つからない」

https://ncode.syosetu.com/n2774mh/


ミステリー探偵物語「ファインド・アイズ」

https://ncode.syosetu.com/n3869lm/


ファンタジーラブコメ「ウチの弟が弟じゃない」

https://ncode.syosetu.com/n4758lk/


近未来アイドル「えれくとろんあーく」

https://ncode.syosetu.com/n6524ld/


近未来アイドル第二弾「神崎涼花の逆襲 〜えれくとろんあーく2〜」

https://ncode.syosetu.com/n7959li/


ファンタジーバトル「リサイクルショップで手に入れた杖がとんでもない魔道具だったせいで魔導争奪戦に巻き込まれた(冥界送人改題)」

https://ncode.syosetu.com/n1995lg/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ