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幼馴染がいろいろおかしい  作者: てんまる99


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14/30

爆炎魔法もいろいろおかしい

ウチにお泊りに来た藍染と藤原さんを交え、皆で“ファンタズム・ワールド”をプレイする事になった。

俺の家にお泊りに来た藍染と藤原さんを交え、“ファンタズム・ワールド”をプレイする事に成った。


ダンジョンの入り口に転送された俺達をさっそく小型の獣人が取り囲んだ。

このダンジョンを根城にしているコボルト達の様だ。

各々粗末な武器を持ち、グルグルと威嚇音を鳴らしている。


美月と藍染さんは視線を交わした。

かなりの数だが、既に高レベルプレイヤーの2人にとってはものの数ではない。

「春香さん!」

「美月ちゃん!」

「「どっちが多く倒すか、勝負、だよ!」」

2人は掛け声と共に散開し、コボルト達を蹴散らしてゆく。


「わ、私もっ!」

一瞬遅れて駆け出そうとする藤原さんを慌てて制止した。

「藤原さんはここで呪文の詠唱をして」

「え? し、しかしお嬢様が闘っているのに‥」

「藍染のキャラならこれくらい大丈夫。どんな攻撃魔法使える?」

「えと、爆炎投下、氷槍発射、木精召喚‥」

「一番レベルの高いやつ、詠唱開始して」

「はい、分りました」


“ファンタズム・ワールド”の魔法は基本的に威力の高いものほど詠唱に時間が掛かる。

アイテムやキャラクターのレベル次第では高速化も可能だが、藤原さんのキャラはまだそこまで到達していない。


俺は詠唱中の藤原さんのキャラに近づくコボルト達を切り払い、護衛する。


呪文詠唱している藤原さんのエルフの周囲にキラキラとしたエフェクトが集まり始める。

エルフの種族固有スキル、“精霊の加護”だ。

無条件で魔法の威力を1.5倍に引き上げる権能を持つ。


詠唱中で攻撃できない藤原さんは、サイドステップで敵の攻撃を巧みに避けつつ詠唱を継続していた。


「3・2・1‥行けますっ!」

藤原さんが言うと同時に俺達は左右に分かれ、正面を開けた。


爆炎ファイヤーストーム投下ストライクっ!」


エルフの掛け声とともに俺達の前方数百メートル四方に、唸りを上げて巨大な火球が次々と降り注いだ。

まるで噴火の只中にいる程の圧倒的な炎の奔流がのたうつ。

コボルト達はおろか、樹木も岩も、あらゆる物が粉砕され、爆炎の中に消えていった。


十秒ほど経って炎が収まったあとには、あたり一面、ただただ焼け焦げた地面だけが広がっていた。


「こ‥コレは‥」

全員が言葉を失っていた。

もちろん、コボルト達は跡形も無い。

数十匹のコボルト相手には明らかにオーバーキルすぎた。


「藤原さん‥爆炎投下、今レベルいくつ‥?」

「えーと、68、です。一番強い攻撃魔法なので‥」

精霊の加護の補正を考慮するとほぼレベル100相当。

レイドボスに使えるレベルの攻撃魔法だった。

「ごめん、これほどとは思わなかった。次からはレベル30程の魔法で」

「わ、分かりました」


『ビロピロン〜』

軽快な音と共にエルフの頭上に経験値ポイントのカウントアップが表示され、コボルト数十匹分の経験値が一気に加算される。


続いてメッセージウィンドウが画面中央に表示された。

『ミスズは“コボルトスレイヤー”の称号を手に入れた』

どうやら今回の攻撃で隠し称号が解放されたようだ。


「なんですか、これは‥?」

戸惑う藤原さん‥というか藤原さん実名プレイなんだ‥。

「あだ名みたいなもの、だね」

「あまり嬉しく無いですね‥」


更にウィンドウが表示される。

『ミスズは“爆炎のエルフ”の称号を手に入れた』

「お、今度はちょっとかっこいい」

「せっかくなら可愛い称号の方が嬉しいのですが‥」

藤原さんはこれもあまり気に入らない様子だ。


更にメッセージは続く。

『爆炎投下のレベルが1上がった』

炎魔神召喚サモンイフリートの魔法を獲得した』


「おっ、これは凄い」

俺は思わず画面を見入った。

「そうなんですか?」

藤原さんはピンと来てない様だ。


炎魔神召喚の魔法は俺のキャラもまだ習得していない。

人間族の俺のキャラでは習得しても魔法力が不足して使えないからだ。


「今ところ、火炎系の最上位呪文だよ?」

「まぁこれで役に立つなら‥良いですが」

藤原さんは冷静にそう言った。


それからも俺が藤原さんを護衛、美月と藍染さんが前衛というフォーメーションでダンジョンを攻略する。


藤原さんの強力な攻撃魔法のおかげでパーティーはほぼ無傷で最終ボスの部屋まで到達できた。



「ボスキャラはサイクロプス、部屋にコンフュージョントラップ有り‥か」

俺は閉ざされたボス部屋の扉を“調べる”スキルで確認し、ボスの概要を表示させた。


サイクロプスは1つ目の巨人だ。主にハンマーを使って攻撃してくる。

威力は大きいが、回避に注意すれば対応は難しく無い。

ボス部屋のお約束として雑魚キャラが無限に湧いてくるので、一旦劣勢に回ると厳しいかも知れないが‥まぁ何とか成りそう。

それより厄介なのは‥。


「うわー、グルグルトラップだぁ」

美月があからさまに嫌そうな顔をする。

「これは‥厳しいね‥」

藍染さんも苦い顔をした。


「あの、コンフュージョントラップと言うのは‥?」

藤原さんが尋ねる。

「画面が揺れたり、コントローラーの操作が左右入れ替わったりして、物理的に操作が難しくなるトラップなんだ」


説明はしたが、あれの厳しさは実際に体験してみないと分からないだろう。

嵐の中で小舟に乗っている様な感じ、と言えば近いだろうか。


他のトラップがあくまでゲームキャラへ影響を与えるのに対し、コンフュージョンは実際のプレイヤーに悪影響を与えるという点でも特異なトラップと言える。


「私、あれやってると目が回ってくるんだよね」

「移動も難しくなるから、雑魚キャラへの対応も難しいね」

美月と藍染さんも、不安を漏らした。


当然だが、敵キャラはトラップの影響を受けない。

そのため一方的に攻撃を受けてしまう事も有りうる。


「どうしますか?」

「トラップが発動したら藍染さんの絶対防御で‥」

「はるちゃん、だよ」

藍染さんが遮り、頬を膨らませて俺に詰め寄る。

そこは譲れないポイントらしかった。


「‥はるちゃんの魔法で凌ぐ」

「了解、だよ」

はるちゃんは笑顔で頷いた。


「んで、時間を稼いで藤原さんの“炎魔神召喚”を使う」

「なるほど、召喚獣はトラップの影響受けないからね」

「しかし、詠唱にはかなり時間が必要なのでは‥?」

藤原さんが不安そうに尋ねた。

初めて使う魔法だ。

不確定要素は確かにある。


「その間は俺が守るよ」

「そ、そうですか‥ではお願いします」

ペコリと頭を下げる藤原さん。


「ふーーん、あ兄ぃ、カッコイイじゃん」

今度は美月が頬を膨らます。

なんかこの2人は行動が似てるな‥。


「私にはそんな事、一度も言ってくれないのに‥」

「いや、お前は上級レベルだろ‥護衛必要ないじゃないか」

「それでも、護って欲しい時もあるのっ!」

「分かる〜」

藍染‥もといはるちゃんも相槌を打つ。


状況を見て藤原さんが口を開いた。

「わ、私は大丈夫ですので、お二人を‥」

「いやいや、そうは行かないでしょ。藤原さんが作戦の要なんだよ?」


「あ兄ぃ〜?」

「りっくん?」

「な、なんだ?」

「やけに藤原さんを大事にするじゃん」

2人にからかわれ、肘で突かれる。


「そ、そんな事は無いぞ」

「ふーん、そう?」

疑いの視線を向ける美月。


「ねね、藤原はどう? 大切にされちゃうのは? ちょっと嬉しかったり?」

藤原さんに絡む藍染さん。

「おっ、お嬢様! 私はそんな考えは‥っ」

言いながら藤原さんの顔がみるみる真っ赤になってゆく。

藤原さん、けっこう純情なんじゃ‥。


「おいおい、そんな事言ってないで‥扉が開くぞ!」

「あ、誤魔化した〜」

「後でキッチリ確認するかんね〜」


既にボス部屋の扉が開き始めているのに‥どうして女子はこんなに恋愛話が好きなんだ‥。


俺は溜め息をつきつつ武器を構えた。

モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。

気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。

感想書いて下さる人には本当に感謝です。


また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。


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