パーティープレイもいろいろおかしい
藍染春香が急遽、家に泊まりに来る事に成った。
が、帰宅してみると母親が居ない。
とりあえず家を掃除して藍染の来訪を待つことにするが‥。
自宅に帰ると、何故か母親が不在だった。
試しにスマホでメッセージを送ってみるが、返事が無い。
とは言え、母親は結構平気で既読スルーするので、何か外で用事をしている所なのかも知れなかった。
「そのうち帰ってくるだろ。とりあえず散らかっているの片付けるぞ」
「りょー」
美月がリビングを片付け始めたので、俺は洗面台や風呂場を片付ける事にした。
「んじゃ、俺は風呂場を」
「うん、分かっ‥だ、駄目!」
突然、美月は素頓狂な声を上げた。
「ん? どした?」
「ふ、風呂場は私がやるから、あ兄ぃはこっちやって」
「? 風呂場のが大変だぞ?」
「いいから! 平気だからっ!」
美月は慌てて風呂場に向った。
「?? 変な奴だな‥?」
仕方ないのでリビングを片付けたり、掃除機をかけたりしていると、あっと言う間に時間が経ってしまった。
おおかた片付いた所で呼び鈴が鳴った。
藍染達が来たようだ。
美月と玄関で迎える。
藍染はフリルのついた黒のワンピースに豪華な花束を持っていた。
藤原さんは上下ダークグレーのスーツ姿。
そんな2人の姿はどこかの映画のワンシーンのようにキマっていて、思わず息を呑んだ。
「こんにちは。お邪魔します」
藍染はかるくお辞儀をすると、美月に花束を渡す。
「これ、プレゼントです」
「凄い。豪華でキレイっ!」
「ケーキも少し持ってきました。後で食べましょう」
「ありがと!ささ、上がって上がって」
美月は藍染をリビングに案内する。
一方の藤原さんは軽く会釈をするとそのまま玄関から立ち去ろうとする。
俺は慌てて呼び止めた。
「藤原さんも上がってよ」
「いえ、私は‥」
俺は遠慮しようとする藤原さんの耳元で囁いた。
「ちょっと相談したい事があるんだ。大したことじゃないけど‥」
藤原さんは事情を察したのか頷く。
「では、少しだけ‥」
その後、リビングで一息ついた所で美月がゲーム機のコントローラーを持ち出して来た。
「皆で“ファンタズム・ワールド”やろうよ! 藍染さん、結構やり込んでるって聞いたよ」
「ふふふっ、こんな事もあろうかと、持ってきました!」
藍染は、持ってきた鞄から携帯ゲーム機を取り出して見せた。
藍染はゲームを起動し、キャラクターのステータスを表示してみせる。
「これが、ピョンちゃん、ですっ!」
「おおっ?」
「見せて、見せてー!」
美月と俺が左右から画面を覗く。
藍染のキャラクターは兎人タイプ。と言っても外見はほぼ人間の女の子だ。
比較的運動能力が高く、また回復魔法も使えるので、ソロプレイヤーには向いたタイプだ。
よく見ると、ピョンちゃんにはキラキラとしたアクセサリーが各所に装備されている。
「このチャームは去年の限定イベントのやつ?」
「うん、メチャメチャ大変だったよ」
藍染は照れながら言った。
アクセサリーを装備することでキャラクターのパラメーターを底上げする事ができ、特に限定アクセサリーは入手が難しい代わりにパラメーターのボーナスも大きい。
見るとレベルは上限の120。
つまり俺と同じレベルだ。
「お主、なかなかやるのう」
「御代官様程では〜」
藍染が戯けて答えた。
「早くやろうよ〜」
いつの間にか、美月は自分の携帯ゲーム機を持ち出していた。
流れ的に俺と藤原さんがリビングのゲーム機、藍染と美月が自分の携帯ゲーム機を使ってのチームプレイをする事に成った。
「藤原さんは“ファンタズム・ワールド”は?」
「実はあまりゲームというものが得意ではなくて‥」
「それじゃ、俺がフォローするよ。キャラクターは持ってる?」
「お嬢様と遊んだ時に作成したのが‥」
藤原さんはスマホをコントローラーにタッチしてNFCログインし、キャラクターを表示した。
「こ、これは」
藤原さんのキャラを見て思わず声が出た。
「お嬢様に勧められまして‥」
藤原さんのキャラクターはいわゆるエルフだった。
サラサラとした金髪がなびき、スラリとした体躯に整った顔立ち。
体力が幾分低い代わりに強力な魔法が使える、アウトレンジからの魔法攻撃を主体とした後衛キャラだ。
ランダム付与の種族中でエルフは一番珍しい種族に成っている。
「お嬢様が絶対これにするべきだと‥」
「初期エルフなんて奇跡なのに、藤原はドワーフとか選ぼうとするんだよ」
藍染が笑いながら言った。
2人の会話からその時の様子が容易に想像出来る。
藤原さんがエルフより屈強なドワーフを選ぼうとしたのも納得だし、藍染がそれを慌てて制止するのも間違いない。
それに‥。
「藤原さんに合ってるよ」
俺は、画面のキャラクターを見て言った。
「そ、そうでしょうか??」
「だよね!」
藍染も頷く。
エルフの少女はどこか孤高な雰囲気が藤原さんと似ている気がした。
「んじゃ、始めるよ〜」
全員のログインを確認した美月がパーティープレイのメニューを選択し、俺達はダンジョンのスタート地点に転送された。
いよいよ、皆での初プレイの開始だ。
モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。
気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。
感想書いて下さる人には本当に感謝です。
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