校内放送もいろいろおかしい
ついうっかり妹の美月とゲーム中に眠り込んでしまった主人公。
そこで‥
俺は温かい海の様な場所を漂っていた。
暗く、辺りは見渡せない。
それでも、恐怖感は無かった。
ただ、全身を包み込む、その温もりに身を任せていれば幸せだった‥。
どれ位そうして居ただろう。
ふと見ると、遥か彼方から一筋の眩しい光が差し込んで来る。
あまりの眩しさに思わず光を手で遮ろうとして、それがカーテンの隙間から差し込む、朝の日差しだと気がついた。
「あれ‥ここ‥」
見渡せば、ここは自分の部屋だった。
傍らに自分の携帯ゲーム機が有り‥‥。
俺はガバッと起きた。
そうだ! 美月を部屋に‥って、居ない。
美月のコロンの香りだけがシーツに残っている。
机の上の時計を見れば、時刻は午前6時。
いつも起きる時刻よりは少し早い。
昨晩はいつの間にか俺も眠ってしまったようだった。
少し伸びをして立ち上がる。
昨日は身体を動かすとあちこちに鈍痛が走ったが、今はほとんど無い。
ほぼ回復しようだ。
寝汗をかいた様なので、シャワーを浴びることにした。
階下に降りると、廊下で風呂場から出た美月とばったり会った。
シャワーを浴びた直後なのか、Tシャツから覗く肌が微かに紅潮していた。
「あ、あ兄ぃ‥おはよ」
タオルで髪を拭きながら、少し照れくさそうに美月は言った。
「ああ、いつの間にか部屋に戻ったんだな‥」
俺が起こすまでも無かったか。
うんうん、関心な妹だ。
「え? あ、う、うん、そう。あのさ、途中で起きたりしなかった?」
何故か美月は動揺したような言い方をした。
「ん‥さっきまで完全に寝てたよ‥」
俺は瞼を擦りながら言う。
「なら良かった」
何故か安堵の表情を浮かべる美月。
「ん? なぜ?」
「あ、いや‥その‥起こしちゃったかと思って」
「それは、全然大丈夫」
「そ、そう? んじゃ先行くね」
そそくさと部屋へ戻る美月。
どうも、よそよそしい気がする。
普段だったら、
“あ兄ぃのイビキで全然寝れなかった!”
くらい言いそうだが。
‥俺の部屋で寝てしまったこと、照れているのかも知れない。
入れ替わりに風呂場でシャワーを浴びた。
腕に昨日の痣がいくつか薄っすらと残っているが‥あと1日有れば消えそうだ。
と、肩に一つだけ随分くっきりとした痣が残っていた。
が、痛みもなく服に隠れる場所なので気にしない事にした。
そのまま、朝食を済ませ登校する。
美月は先に登校し、今日は宏にも会わなかったので、何事もなく教室に到着した。
だが、どうも教室の様子がおかしい。
昨日とはまた違う視線を感じた。
何か期待の様な困惑の様な‥?
何か有ったのだろうか?
そこへ、教室のスピーカーが校内放送のメロディーを鳴らした。
教室の始業前のざわめきが一斉に収まる。
“皆さん、生徒会長の藍染春香です。始業前のお時間を少しだけ使わせて頂きました”
流れて来たのは藍染の声だった。
緊張しているのか、トーンが固い。
“一昨日から私のお友達に関して、良くない噂が流れて居ると聞きました”
“まず断言しておきますが、私は誰かから脅迫や要求を受けている事は一切有りません”
どうやら藍染は俺に関する誤解を解いてくれようとしている様だ。
“悪い噂を流された律斗君‥いえ須藤君は昔からの友人です。いわゆる幼馴染と言う事ですから、交際するとか、しないとかの関係では無いのです”
うん‥幼馴染とバレるのは気まずいが‥これで皆も納得をするだろう。
“むしろ、個人的期待としては、それ以上と言いますか、 その、将来も考えて‥”
ん?
藍染は何を言っているんだ??
“バタバタ”
“‥お待ちください、お嬢様! それ以上はいけません!”
あれ、これは藤原さんの声では?
“ドタ、ガタン”
“いえ、ですが‥”
“駄目です駄目です!”
“春香ちゃん‥ちゃえ”
“あなたは一体どちらの‥は、早‥確認も‥”
“ドカン! ザーーー”
突然、放送はノイズ音になった。
な、なんだ今のカオスな放送は‥。
暫くして‥。
“あーあー、校内放送、終了致します”
今のは宏?
‥そう言えばあいつは放送委員だったな。
一体、放送室で何が起こっているんだ‥。
気になったので藍染にメッセージしてみたが、返信は無かった。
その後、宏は始業ギリギリに教室に戻ってきた。
後ろの席に座る宏に声をかける。
「おい、さっきの放送は一体なんだ?」
「あー、昼休みに説明するよ。藍染さんも一緒に」
「いや、しかし」
「まぁまぁ、落ち着けって。悪い話じゃ無いんだからさ」
「? なんだそれ?」
宏は話は終わりだとばかりに、大げさに手をすくめて見せる。
そこで授業が始まったので、話は打ち切りになった。
昼休み。
俺は宏と共に放送準備室に向かった。
準備室と名前は付いているが、要は放送委員の使う打ち合わせスペースだ。
準備室のドアを開け入ると、正面の席、椅子に座った藍染と傍らに立つ藤原さんが居た。
藍染は珍しく落ち込んで居るようで、俯いている。
「お待ちどうさま!」
宏が重い空気を和ませようと明るく声をかける。
藍染が顔を上げ、答える。
「あ、大前君、須藤君‥その、今朝は‥」
そこへ宏が声をかける。
「その前に、俺は律斗に謝る事がある」
「宏? なんだ?」
「律斗、今まですまん! あのな、俺は‥俺は藍染のスパイなんだ」
宏は真剣な表情で俺に頭を下げた。
モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。
気に入った部分だけでは無く、ここが“読みにくかった”“分かりにくかった”も、とても参考に成ります。
感想書いて下さる人には本当に感謝です。
また、連載形式で数日ごとアップしますので、読み逃し無いようお気に入り登録も宜しくです。
他にも小説家になろうに色々作品アップしてますので、良かったら見てみて下さい。
ファンタジーからSFまで色々揃えてます。
ミステリー探偵物語「ファインド・アイズ」
https://ncode.syosetu.com/n3869lm/
ファンタジーラブコメ「ウチの弟が弟じゃない」
https://ncode.syosetu.com/n4758lk/
SF未来アイドル「えれくとろんあーく」
https://ncode.syosetu.com/n6524ld/
ファンタジーバトル「冥界送人」
https://ncode.syosetu.com/n1995lg/




