10話
「さて、そろそろ行きますか」
この廃墟での生活が1年ほど経過し、ある程度魔法も実践で使えるようになり、また他の武器も制作し、魔物の討伐も行ってきた。
この世界にきてファルティマに言われたことだ。俺の魔力が他の生物に異常を引き起こし、異常な成長を見せたものが多数いると。
知らなかったこととはいえ、やはり自分が原因でなっていることだからある程度は討伐しておこうと思ったからだ。魔法の訓練や作った武器のテストも兼ねてるけど。
そんなこんなで1年が過ぎ、この周辺で確認したものは試作した武器で討伐済み。ただ、ずっと一人で暮らす気もない。なので少し旅をしてこの世界を堪能しようと思ったのだ。
「とりあえず去年通った街道っぽいところまで戻ろう。そのあとまた東に歩いてみてみよう」
家の中で発見したがこの国の地図が見つかったのでこの国で大きな町へとりあえず向かってみることにしている。
ブラブラ歩きながら歩くこと1時間。ここ最近住んでいた廃墟の方ではあまり見なかったイノシシ型の魔物を見つけた。まだ結構距離あるけどね。
ついでだし、遠距離武器でも久しぶりに使ってみよう。森の中だと遠距離武器って扱いづらいしね。
背負っていたリュックに手を突っ込んでごそごそと・・・
引っ張り出したのは、ライフル銃。まぁ完全になんちゃってライフルだし、金属加工ができなかったから、すべて木製。弾もね。
あっ、今「ショボッ!!」とか思ったでしょ!!
これでも加工・付与できる範囲で作った傑作品だよ?
銃身と弾には硬化魔法陣を事前に付与してあるし、射出するときのエネルギー源ももちろん魔法。弾の装填はボルトアクション方式を採用。ただ単発式なので、次装填まで少し時間がかかるのが問題かな。1撃で倒せれば問題ないけど。
町に着いたら鍛冶屋で色々部品を作ってほしいなぁ・・・
あっ、ちなみにボルトアクション方式にしたのは、小さく作った魔石を射出時に弾へ5mm程度の魔石を埋め込むため。そうしないと射出前に魔法陣と反応して魔石がすぐ消費されちゃうし。
そうそう、魔石に関して、もう一つ新技術。短時間ではあるけど空間魔法で空気と魔素を分離し、魔素を圧縮。その後、硬化魔法を使って魔石化してある。硬化魔法は位置の固定、つまりはそのままの形状で固定する魔法。だけど、自身の魔力を常時使って硬化魔法を発動しているから、魔法を解除すれば魔石化も解除され、また魔石化した魔力を消費した場合も解除される。しかも周囲の魔素を使用しているので魔力の感知が得意なものには感づかれてしまう。条件の厳しい魔石だ・・・
そんなことより目の前のイノシシ(魔物)だ。目の前といっても100m以上は離れてるけど。
腰を下ろしてゆっくりライフルを構える。今のライフルの精度だと100~150mが限界。
スコープもついてないから目印程度にライフルの先端と手前の中央部分に一つずつ突起をつけてある。
突起部を目印に、標的をその線状に入れる。あせらず、確実に。射出用魔法陣に手を置き、トリガーを引くがごとく魔力を流し、魔法を起動させる。
“シャッ”という音と共にイノシシに向かって木の弾丸が飛んでいく。
射出された弾丸は事前に描かれていた魔法陣の効果を発揮し、硬化と電撃の魔法を発動させる。だが魔石が小さい分、効果を発揮する時間は短いが効果を失う前には目標に到達しているので、問題ない。
体の側面に当たった直後、ビクッっと反応し硬直した後、そのまま横に倒れた。
うん。久々に使ったけど問題なしだな。ただ、弾を作るのに時間がかかるからあまり使いたくないところだが。
「数はそれなりにあるけど、やっぱ鉄の弾がほしいなぁ。硬化の魔法に魔力をとられてるから電撃の威力がいまいちだし・・・打ち込む魔石量増やすか?いやそれだと・・・」
改良案をぶつぶつと言いながらリュックにライフルを収め、先ほど倒したイノシシのところへ。
まれに耐電性が高いのか生きてるやつがいるからナイフを装備してとどめを刺しておく。
血抜きをしておきたいが、まぁリュックに入れておけば時間が止まってるし。ごはん食べた後にでもやろう。食糧はまだあるし。
倒したイノシシを回収し、また道なき道を歩くこと約1時間半。
途中に数匹魔物が出てきたが、雑魚ばかりだったので省略することにする。
他の装備もあるけど、弾は節約したいし安全最優先でライフル1撃にて仕留めてある。
「そろそろあの橋が見えてくると思うんだけど・・・ん?あれは・・・」
途中から川が見えてきていたので川沿いに進んでいたが、言葉が止まる。
悠樹の目に入ってきたのは完全に朽ちて落ちてしまっている橋の残骸だからだ。
「あぁ~やっぱ落ちてたか・・・これじゃぁ車の回収も難しそうだなぁ」
この1年間で体力の強化や魔法も上達はしてきているが、飛行魔法を覚えているわけではないので超えれそうにない。
「エンチャントしても対岸までは届きそうにないし・・・風の魔法でアシストして・・・いや無理か。仕方ない。最悪ずぶ濡れになるだけだし、飛べるとこまで飛んでみるか」
自分に筋力強化の魔法をエンチャントして、助走をつけてジャンプする。
風魔法を後方から発動、爆風を発生させる。
“バッシャーン”
「痛って~・・・さすがに無理があったな。飛行魔法にでも挑戦してみようかな・・・」
川の2/3ほどジャンプできたが、まぁ超えれるはずもなく、見事に川へダイブした。
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