第30話 一生分の視線
朝から授業を受け続け、ようやくお昼休みの時間帯がやってきた。同級生達にとっては間違いなくどの授業に関しても新しく習う内容だが、人生が二周目の俺にとっては既に一度勉強した内容となっているため復習の要素が強い。
だから現時点の授業内容については大体理解出来ており、たまに忘れている部分を思い出しているような感じだ。一年生の今の時期の内容はそれほど難しくないが、入試にも出てくるような問題も普通にあるため、授業についてはめちゃくちゃ真面目に受けている。
「やっとお昼休みね!」
「天音って昼休みになった途端、めちゃくちゃ元気になるよな」
「昼休みは誰でも元気になるでしょ」
「授業中との落差があまりに激し過ぎるような気がするのは気のせいか?」
「それは気のせいだと思うわ」
そう口にしていたが絶対に気のせいとは思えない。後ろの席から見た授業中の天音は退屈そうに見えることがたまにある。
まあ、俺も真面目に授業を受けているとはいえ苦手科目に関しては多分似たような感じになっている可能性があるため、あまり人のことは言えないが。
「じゃあ早速お昼ごはんにしましょう、今日も頑張って作ったんだから感想を聞かせなさいよね」
「いつも悪いな」
「いいのよ、私が好きでやってるんだから」
そんな会話をしながら差し出されたお弁当を受け取る。家族旅行が終わってから天音はたびたびお弁当を作ってくるようになった。曰く、本当に料理ができることを俺に見せつけたかったらしい。女子からお弁当を作って貰えるような日が来るなんて夢にも思っていなかった。
そんなことを考えながら俺はお弁当箱を開ける。中を見ると唐揚げやだし巻き卵など手間がかかるおかずも入っていたため、もはや料理ができるかどうかについては疑いようがない。俺達は席をくっつけると二人でお弁当を食べ始める。
「うん、今日もしっかり美味しいぞ」
「でしょ、我ながら結構良い出来だと思ってるわ」
お弁当については本当に大満足であり、また食べたいと思えるようなクオリティだ。だが、その一方で問題も起こっていた。
「……それにしても周りからの視線が相変わらず凄いな」
「それだけ私達がみんなから注目されてるってことね」
そう、クラスメイト達からめちゃくちゃ見られていたのだ。ぶっちゃけ中身が同じお弁当を教室で食べている時点でこうなりそうな気はしていたし、実際に予想通りの結果になっていた。
だからクラスメイトの目があるここではなく中庭などで食べたかったのだが、教室の外に出ることに天音的にあまり乗り気ではなかったのだ。かと言ってせっかくお弁当を貰っておいて別々に食べることも出来ない。それによって今の現状が生み出されている。
「今までの人生はあまり目立たないようにひっそりと生きてきたから、ここ最近だけで過去最高を更新し続けてるような気がするんだけど……」
「私的にはこのくらいは別に大したことがレベルよ」
「俺と天音を比べようとするのがそもそもの間違いだから」
天音と俺では容姿のスペックがあまりにも違い過ぎるため、普段周りから向けられる視線の量は全くと言って良いほど違う。そもそも今回の注目は主に天音がきっかけで引き起こされているだろうし、あくまで俺は巻き込まれて注目されているだけに過ぎない。
「それなら瑛人も人気者の気分が味わえたんだし、良かったんじゃない?」
「人気者がこんな感じならあんまりなりたいとは思えないな」
それが俺の正直な感想だった。それに今回は悪目立ちという要素が強いため、人気者に向けられる視線とは全然種類が違うと思う。だからお弁当の味は美味しかったが周りからの目が気になり過ぎて落ち着かない昼休みを過ごすことになった。
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