第26話 思いの重さ
軽く準備運動をした後、俺と天音はアスレチックのコースを進み始める。ネットを登ったり、ロープで吊り下がったグラグラとした足場を渡ったり、ボルダリングをしたりと、小学校にあった遊具で遊んでいた頃を思い出すようなコースだった。
「コースを進んでると小さい子供だった頃を思い出すわね」
「ああ、中学校からは校庭に遊具なんて無かったもんな。小学校を卒業してからはわざわざ遊具で遊ぶようなことも全然なかったし、こういうことをするのは本当に久々な気がするぞ」
「そうよね、うんていなんて最後にやったのがいつだったのかすら思い出せないわ」
どうやら天音も俺と同じような気持ちになっていたようで、そんな感じの会話をしながら盛り上がっている。ちなみに父さんと母さんはまだ後ろの方にいるため、俺と天音が先行をしている感じだ。
母さんは運動音痴な父さんのペースに合わせゆっくり進んでいることを考えると、間違いなく俺と天音が先にゴールすることになるだろう。
「それにしても大人でも楽しめるっていうのは本当みたいね」
「確かにちょいちょい子供にはキツそうなアスレチックも混ざってるよな」
現在俺達の目の前にそびえ立っているそりたつ壁なんかまさにそうだ。子供の体格だと結構厳しそうに見えるため、明らかに大人向けだと思う。ひとまず俺は助走をつけて壁を一気に駆け上る。
もしかしたら一度では登れないかもしれないと思っていたが、そんな心配は裏腹に一発でクリア出来た。続いて天音が挑戦する姿を俺は壁の上から見守る。天音であれば難なくクリア出来ると思っていたが、助走距離が足りなかったようで登りきれなかった。
そのまますぐに二回目の挑戦を始め、右手で壁の上を掴む。だが、片手だけで体を支えきれなかったらしく力尽きそうになっていた。だから俺は天音の手を掴んで壁の上に引き上げる。
「ありがとう、ナイスタイミングだったわ」
「これが連携プレイってやつだな」
俺が手助けする形にはなったが天音も無事にクリアだ。そんなことを考えていると天音は少し心配そうな表情を浮かべる。
「……ところで重くはなかったかしら?」
「全然、むしろ身長の割にはかなり軽かった気がするぞ」
「そっか、それなら安心だわ」
俺の言葉を聞いた天音は明らかに安心したような表情になった。その辺りが気になってしまったことを考えると、やはり天音もしっかりと年頃の女の子なのだろう。そしてナチュラルに手を掴んでしまったが、キモがられなくて本当に良かった。
その後も俺と天音は二人でアスレチックを進んでいく。先程のそりたつ壁と同じように難易度の高いアスレチックがコースの途中にいくつかあったが、問題なくクリアすることができた。それからいよいよゴールが間近になったところでトラブルが発生する。
「うおっ!?」
一本橋の上を進んでいた俺だったが、うっかり足を踏み外してしまったのだ。そのまま地面に倒れそうになるが、天音が後ろから服を掴んできたことによって少しだけ勢いが弱まる。しかし、その巻き添えで天音も一緒に一本橋から落ちることになってしまった。
「巻き込んでごめんな」
「大丈夫よ、むしろ瑛人に怪我がなさそうで良かったわ」
「下は芝生で柔らかったから多分大したことはなかっただろうし、無理に助けようとしてくれなくても良かったんだぞ?」
俺を助けようとしたせいで天音まで落下するはめになってしまったため本当に申し訳なさしかない。すると天音は真剣な表情になる。
「前も言ったと思うけど、私だけが助かるのは絶対に嫌なのよ。瑛人が一人で苦しむくらいなら私も一緒に苦しんでその分負担を減らすわ」
そう口にした天音はめちゃくちゃ迫力があった。もし俺が命に関わるような何かに巻き込まれたとしても、天音は今と同じような行動を取るに違いない。特に根拠はなかったが、とにかくそんな気がした。
なお、体重は軽くても気持ちは床が抜けそうなくらい激重な模様
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