表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビの恋人  作者: 鳥原 麻生
56/61

天才ゾンビ漫才師

 公演の日がやってきた。

 佳治は激しい貧乏揺すりをしながら舞台袖に立っていた。

「落ち着けよ」

「チキンの優介にそんなことを言われるとはな」


「俺はもう、貧乏揺すりなんてやる生気も無いんだ。ゾンビになってマジよかった」

「ギャグは舞台で飛ばせ」

 漫才コンビ・インサイド紹介のアナウンスが終わると、二人は勢いよく舞台に飛

び出した。


 何百人もの生徒達の視線が一斉に集まる。

 優介の心臓は一瞬高鳴った――が、すぐに元に戻った。


 佳治のほうは――いつもより倍の速さでしゃべり出した。かなりテンパっている

ようだ。これほどの観衆を前に漫才をやった経験は無いのだから、当然と言えば当

然だった。

「はい、佳治君、落ち着いていきましょうねー」

 優介が猫背に半眼で注意した。


「お前が落ち着き過ぎているんだよ!」

「なにしろ、もう孫がいますから」

「ジジイか!」


「ジジイと言えば、元気なお年寄りが増えましたね」

 アドリブが発展しそうになり、優介は冷静にネタに戻した。


 緊張のあまり暴走しそうになる佳治を優介が上手にコントロールしながら話を

進める。

 初めて漫才をやった時とは月とスッポン、拾ってうれしい財布と悲しいキーホル

ダーほどの違いがあった。


 二人は確実に笑いを取りながら、しゃべり続けた。

 留奈はドキドキしながらも、目を輝かせて見守った。


 もう一人、憎悪の目をぎらつかせながら見ている者がいた。

 沙織だ。

(優介の漫才がうまくなったのは、私がゾンビにしてあげたからよ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ