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ゾンビの恋人  作者: 鳥原 麻生
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金縛り

 留奈は胸苦しさを覚え、目を覚ました。

 部屋は真っ暗だ。

 掛け時計を見ようとしたが、首が全く動かせない。寝違えたのだろうか。


 いや、違う。

(金縛りだ)

 初めての体験だったので、留奈は戸惑った。そして心の底から恐怖が湧いてきた。


 声を出そうとしたが、全く駄目だった。

 唯一動かせる眼球でベッドの横を見た。

 黒い影が立っている。


 留奈は心の中で叫び声を上げた。

(泥棒! 強盗! ストーカー!)

 三つのうちのどれかだろう。


 見開いた目で凝視したが、部屋が暗いせいか目鼻立ちがよく分からない。

 パンストでもかぶっているのだろうか。

 その顔の無い黒い影は、留奈に向かってゆっくり手を伸ばした。そして胸のあた

りに手をかざした。心臓が圧迫されたようになり、苦しくなってきた。


 焦った留奈は眉間に念を集中させると全力で金縛りを解き、黒い影に向かって叫ん

だ。

「痴漢!」

 黒い影は驚いたようにのけぞると、一瞬で消えた。

 留奈はその時、今の黒い影が痴漢でも強盗でもなく、亡霊だったことを知った。


 翌朝、留奈は頭痛で目が覚めた。

 昨夜の恐ろしい体験がすぐによみがえり、パジャマのまま部屋を飛び出した。

(私は誰かに狙われている)

 アメリカの大統領でもないのに。


 洗面所の鏡を見ると、いつもより顔色が悪い。

 そうだ、昨日の霊は、胸の上に手をかざした。自分は痴漢だと思ったが、よく考え

ると、あれはおっぱいを触ろうとしたのではない。

 心臓を止めようとしたのだ。

 思わず留奈の口から叫び声が漏れた。


「どうしたの!」

 母親が走ってきた。

「あああ」

 留奈は呂律が回らない。


「ゴキブリが出たの!?」

「違うよ!」

「それじゃ、どうして」

「えっと」

 話しても信じてもらえそうもない。


「発声練習」

 留奈はコーラス部だった。

「朝っぱらから、やめてよ! 学校でやって」

「ごめん」

 留奈はトーストを食べず、ミルクだけ飲むと家を出た。


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