12話 愛情奴隷の義務違反
ボクは、ゆきお。
愛情奴隷のマミカが高い熱を出して寝込んでいる。
ボクは、おかゆを作って、粉ガツオと卵を入れた。
リンゴの皮をむいて、一口サイズに切った。
自然冷ましの麦茶も用意した。
ボクは、寝ているマミカから少し離れた場所に置いたテーブルの上に、持って来たトレイを静かに置いた。おかゆが跳ねたら、マミカに火傷をさせてしまうからだ。
ボクはマミカの額に置いている水で濡らしたタオルをどけて、マミカの額に手を置いた。熱い。ボクは、タオルを水につけて冷やし、水気をしぼってからマミカの額に戻した。
マミカが、つらそうな目でボクを見ていた。
「ゆきお様、ごめんなさい」
「おかゆを作ってきたよ。食べる元気はあるかな?」
「無理かも、果物が食べたいわ」
「リンゴを一口サイズに切ってきたよ」
ボクは、りんご一切れに爪楊枝をさして、マミカのくちに運んだ。
「おいしいわ」
「良かった。食べられそうなら、もっと用意するよ」
「のどが渇いたわ」
「麦茶があるよ。自然冷ましだから、飲みやすいと思う。ストローも用意したよ」
マミカの口元にストローを運ぶと、ごくごくと飲んでくれた。
「ありがとう。わたし、ゆきお様の愛情奴隷で良かった」
「そう言ってくれると、報われるよ。元気になるまで、無理しないでね」
「うん、うれしい。わたし、どうしちゃったんだろう?」
ボクは、少し考えた。思い当たることは1つしかない。
「はじめて、強力なスキルをつかった反動かもしれないね」
「そうね、あれは、強力だったわ」
「うん、だからね、ゆっくり休んでね。マミカが元気になるまで、そばにいるからね」
「ダンジョンで稼がなくて良いの?」
マミカは不安そうに聞いてきた。
「貯金があるから、5日くらいは大丈夫だよ」
「じゃあ、あまえさせてね」
マミカが手を出してきたので、握り返した。
「おかゆも食べたくなったら、あーんして食べさせてあげるからね」
「うふふ、病気のときみたいに、しんどいけれど、幸せね」
マミカが眠って、ボクの手を握る力がなくなってから、ボクは部屋を出た。
ボクまで倒れたら、マミカの看病ができなくなっちゃう。
だから、ちゃんと食べて、歯を磨いて、早めに寝よう。
ボクは、マミカが眠るベッドの近くに椅子を持ってきて、寝ることにした。
◇
2日目、マミカは少し食欲が出たので、あーんして、おかゆを食べてもらった。
汗をかいていたので、マミカに断ってから、身体を拭いて、パジャマを着替えるのを手伝った。マミカとは愛情交換したことがあるから、マミカの裸を見たことがあるけれど、熱が出てつらそうなマミカを見たら、優しく抱きしめて、背中を優しくなでることしかする気になれなかった。
「少し、マシになった気がするわ」
「うん、目にチカラが戻ってきたね」
◇
3日目、マミカは、ベッドに座って、おかゆを食べるくらいまで回復した。
「もう大丈夫な気がする」
「良かった。でも、病気は治りたてが一番ヤバいんだ。無理したら駄目だよ」
「やさしいのね、おかゆ、おかわり」
「うん、もってくるよ」
ボクは涙が出てきた。
「ゆきお様、どこか痛いの?」
「ううん、マミカが元気になってきたことが嬉しくて、涙が出ちゃった」
「ありがとう、愛されているわね、わたし」
マミカがニヤッと笑って、うれしそうにニコニコ笑顔を向けてくれて、うれしかった。
◇
4日目、マミカは、元気になった。
「ゆきお様、お待たせ、元気になったわ。
ダンジョンに行きましょう?」
ボクは嫌な予感がしたんだ。
でも、それが何かは分からない。
マミカは、ボクにとって初めての愛情奴隷だから、分からないことだらけだ。
「もう1日、ゆっくり休んだ方がいいよ」
「えー、もう元気よ」
「それなら、ボクと愛情交換して欲しいな。だって、マミカが寝込んでいた3日間、お預けだったからさ。ねっ、ダンジョンに行く元気があるならさ」
マミカは笑顔で首を振った。
「ダンジョンで身体を動かした後にしましょう。ねっ」
こうなったら、マミカは絶対ゆずらない。
「わかったよ。準備してくる。でも、無理しないでね。
少しでも、気分が悪いと感じたら、すぐに帰ろうね」
「はあい、そうするわ。ゆきお様、愛してる!」
ボクたちは朝ごはんを食べてから、ダンジョンに行くことにした。




