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シン世界-日本最強の九二歳が全てを斬り伏せる-  作者: のっぽ童子


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シン撼

『中国最強』が離脱したことによって、進世界は更に盛り上がってきていた。


武術大国の一角が落ち、日本に白羽の矢が立つようになっていた。


そんな中、轟道は道場で考え事をしている、


(インドか......死合ってみたい)


と。

しかし、もう次の死合が決まっているのだ。

その対戦相手はフランスである。


そして、もう一つの闘いが決定していた。


「今までの修行の成果を解放する時!」


ルウェットがパルチザンをきれいな布で拭く。

デンマークVSカナダである。


師弟同士が二日に分けて闘うのだ。

これほど、胸に来る展開はないだろう。


「ルウェット......あまり、俺の技術を過信するなよ。お前のは、まだ未完成なのだから」


「いや、違う、この闘いで完成させるんだよ。だから、問題はない!」


おちゃらけたところは現存しているようだ。


「俺は二人とも、勝てるって信じてますよ!」


神橋は道場の片付けをしながら、そう言う。


「神橋先輩〜良いこと言うじゃねぇの」


「アハハ......」


轟道に技術を習い始めたのが早かったからか、ルウェットは神橋を先輩と呼んでいた。

ただ、それが神橋にとってはむず痒くて堪らなかった。


この二人の闘いはどうなるのだろか......


------一方その頃。


『カナダ最強』エス・F・テータがバーで呑んでいた。

エスは大人びた顔に雪のように白い長髪を靡かせている。

隣に座るのはオドオドとした赤髪の女性審判だ。

周りには客はおらず、バーテンダーがいるだけであった。


「今回の相手......決して油断出来ないわ」


「どうして、そう思うんですか.......? まだ、一目すら見てないですよ」


「いや、1回だけ合同訓練の時に会ったことがあるのよ。あの時はどっちも若手だったら、意識はしてなかったけど、思い返してると凄かったわね」


「え......?」


「脚のバネがえぐいのよ。世界陸上に出れるレベルでね」


そうだ、ルウェットの強みはその速度にある。


「そんな相手に......勝てるんですか......?」


「勿論よ。じゃなきゃ、上に申し立てする必要ないもの」


そう言うと、エスは紙タバコを出そうとしたが、周りを気にして電子タバコを取り出した。


「紙でも別に構いませんよ......? 私は気になりませんから」


「私はな、私の周りにいる奴らには長生きして欲しいんだよ」


「私はエスさんだって、長生きしてほ......」


その空気を掻き消すかのように、男の集団がエスらを囲む。


「ねえ、お姉さん。俺らと呑まない?」


「これほどまでの技術があるってのに、治安がなってないわね......」

(しかも、軍人......酔っ払ったのかしら)


「なんか言ったか?」


「お断りよ」


その言葉とともにエスが拳を鳴らすと、その男たち

は下がり気味に戦闘態勢へ入った。


「どうなっへも、知んねぇふぁらな!」


元々悪い呂律が回らなくなる。


「お前ら、今から相手にするのは......雪原の天変地異よ」


それと同じくして、六人の酔客が策略も持たず、殴り掛かる。



(エスさん......武器は今持っていないはずなのに、なんで立ち向かうんだろう......?)


審判はバーテンダーと一緒にカウンターの裏へ隠れて、その様子を見守る。



(武器はないけど、武器になる物はあるわ!)


エスはさっきまで吸っていた電子タバコを掴み、それを一人の側頭部へぶつけると、その衝撃で欠けた歯を手に取り、もう一人の眼球目掛けて投げつけた。


二人は回避することが出来ず、地面を転がり回る。


それでも、残りの奴らは止まらない。

もう軽い仕置きでは済まない領域だ。


「お前らは酒という娯楽のために軍人としての誇り、プライドを捨て去った......よし、歯あ喰いしばれ」


エスが懐から警棒のような黒いものを取り出すと、体を一気に回転させて、四人の顎を撃ち抜いた。


その一撃は意識を昏倒させるには十分だった。


彼女は一歩も動かずして、軍人六人を倒したのだ。


エスは意識のある一人に近づく。


「なんなんらぁ!」


すると、目が見えず、音だけが拾える状態で恐怖した奴が発砲しようとした。


「いくら酔っているとはいえ、恐怖しているとはいえ、人にはね、越えちゃ行けない一線があるの」


引き金が引かれるより(さき)に懐から短くも閃光のような刃が走り、一瞬で男の右手の五指を刈り取った。


「ぎあぁぁぁぁ」


男が痛みでのたうち回っている間、エスは銃を奪って、奴の頭に振り下ろした。


バーの酔客事件はこれで幕を閉じる。


エス・F・テータは武器の扱いが長けている、いや......長けすぎているとしか言いようがない。


速度に武器は勝てるのか。

武器に速度は勝てるのか。


これはそういう闘いなのである。












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