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シン世界-日本最強の九二歳が全てを斬り伏せる-  作者: のっぽ童子


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トウソウの権化

今回のバブエVSファグルの試合も監獄(ネオ・ゲート)内で話題となっていた。


ファグルは前の二試合とも、怪我一つなく勝利し、『最強たち』からは一流の戦闘者という評価を受けていた。


しかし、そんなファグルを相手にバブエは腹部への軽い刺し傷だけで試合を終わらせたのだ。


一部の者たちからは恐怖の対象となるだろう。

そんなバブエはいつも通りにアショクと一緒に道を歩いている。


「今回の戦闘で思い知ったよ、世界の厚みというものをな。私もまだまだ研鑽の余地があるようだ」


「そもそも、バブエさんに勝てる人っているんですかね?」


「そりゃあ沢山いるだろう。ファグルは天才だが、まだまだ経験が浅い。もしも、順当に経験を積み、あの知能とより高度な独自の戦闘法を使える奴ならば厄介極まる。そうであれば、負けていたさ」


「それでも......俺はバブエさんが勝つと思いますけどね」


アショクははぶてるようにそう言った。


「ハッハッハッ......アショクは私は神格化しているところがある。私だって人間なのだよ、絶対というのは存在しないんだ」


「バブエさんは......いや、なんでもないです。とりあえず、なんか美味しい店行きましょ、もう一時過ぎなんで」


「それなら、カレーだな。チーズナン付きの」


バブエは眩しいほど笑顔だった。


一方、ファグルの方では。

二人はいつものように自分たちの部屋で仕事をこなしていた。


「社長、そんな気に病まないでください。あれは環境が悪すぎました」


ラフマンが机に俯いているファグルに寄り添う。


「環境? いや、関係ない。現にあいつは最後まで手加減をしていた......! その上、あそこまで攻撃して目に見える損傷が一つだけ? おかしいにもほどがある!」


ファグルが両手で机を叩く。


「言いたいことは分かりますが、それでも......」


「ラフマン、ありがとうな......俺はブルネイを救うためにここにいると思っていた、だが......こうなったら、逃げるわけにはいかないよなぁ!」


「ファグル社長......!!!」


「では、まず! 打倒バブエですね!!!」


「え、やだ」


「だめだこりゃ」


ラフマンが呆れていると、ファグルのスマホから着信音が鳴る。


「知らん番号だ、まぁいい。Hello(もしもし)?」


ファグルが通話ボタンを押して、スマホを耳に近づける。


Hi(はい)


「ん? もしかして......リテロか?」


「イエース」


「まーた、懲りずに実験データ用のスマホで掛けてきたな? ......というか、国際電話の番号が付いてないんだが、どういうことだ?」


「ファグルには言い忘れていたんだが、私は今、『最強』なんだ」


リテロはサラッとそう言った。


「はぁ〜!? いや、おかしいだろ、前提として! お前、医者だろうが!」


「なんか、ファグルが参戦するって聞いて、興味が湧いちゃってさ。今までの知識を駆使してやったら、なれちゃった」


「お前、そんな理由じゃないだろ」


「分かっちゃう? 本当の理由は......『最強たち』の肉体を研究したいから!!!!!」


「やっぱ、そんなことだと思ったよ」


ファグルは安堵したようにため息をつく。


「それでね、明日に興味深い試合が控えてるんだ」


「相手はどこなんだ?」


「日本だよ、あのリアル侍がいる......ね。急に現れた九二歳の老人にして、『日本最強』......これは(そそ)るものがあるよー」


「日本はとんでもない奴に目をつけられたな......試合、頑張れよ」


ファグルは最後の言葉をポツリと呟きながら、通話を斬った。


「社長、あの通話相手って......」


「ああ。奴はリテロ・ダズビー、世界最高の医者だ」


「ファグル社長、そのリテロさん......は強いんですか?」


ラフマンが疑問を問いかける。


「強いっていうか、闘ったことも技術を習ったこともないだろう」


「てことは、なにかしらの能力があるとかですか? 医者なら.....知能とか?」


「確かに知能は高いだろうが、俺の方がもっと高いだろうな。リテロの武器はな、その知識量だ。生物学、運動学、解剖学......色々あるが、それらを全て網羅してると言っていい」


「となると、戦闘素人でも相当強いですね」


「だろうな。急所を知ってるのに加え、人間としての動き方まで理解してるし、心理戦もいける口だ」


「ひっ」


瞬間、ラフマンは恐怖する。


(目標の為なら自分自身までも実験台にするような奴だ。一度、食い付いたら老骨だろうと絶対に離さない......結果が楽しみだ)


リテロ・ダズビー......はっきり言って、油断出来るような相手ではない。


その一方、轟道たちの方では。

二人......いや、三人が道場にいた。


「打ち込みが足りてないんじゃないか? 俺のような奴でも防げるじゃないか」


轟道が木の槍で落ちてきたルウェットの剣撃を受けた。


「いや、技術は力だけで破れるほど単純じゃないぞ? 出来ても、ほんの一握りだ! だけど......」


突如、ルウェットが横に飛び、木の槍を轟道へ振りかぶる。


「ふっ」


すかさず、轟道が刃部分を下にして防ぎにかかる。


「こういう闘いなら破れるぜ」


すると、轟道の構えた槍が吹き飛ぶ。


(うおっ、えげつな!)


神橋は眺めることしか出来ない。


このままでは危険と判断し、轟道が拳を突き出そうとしたが、


「そうだ、今日はここまでにしよう。明日、試合があることだしな」


急に模擬試合を止めた。


「ミスター轟道、いつも以上に元気だな」


「そりゃもちろん。強者と斬り合えるのだから、これ以上に楽しいことはないだろう?」


「確か、闘うところってスイス......でしたよね?」


神橋が訊く。


「ああ、そうだ。どんな相手なのか、本当に楽しみで仕方がない」


「あ、そういえば、スイスの『最強』って妙な噂を聞いたことがあるぜ。例えば、ホラー映画に出てくるような見た目とか、笑顔が怖いとか......」


「えぇ......そんぐらいしかないんですか?」


「っふ、面白い。ますます、興味が湧いてきた」


「えっ、嘘!?」


(相手が誰であろうと道は一つだ。全てを斬り伏せるのみ)


この二人の闘いの狼煙が上がろうとしていた。

世界最高峰の医者 リテロ・ダズビーVS宝蔵院流槍術を極めし男 叉都 轟道、いざ始まる!!!



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