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「リオル、君の教え方はうまいんだね。」
寮で飯を食べている時に、アルルがそんなことを言ってきた。ちなみに今日のメニューは和風の煮魚だ。不味くはないが、ミレイの料理に比べたらやはり見劣りしてしまう。
「そんなことはないだろ。教え方がうまいんじゃなくて、皆才能が有るだけだよ。俺なんて今日覚えたボール系の魔法は3日かけてやっと習得出来たんだぜ。」
「それは先生が悪かったんじゃないのか?とゆうかそもそもリオルの場合は全属性なんだから遅くなるのは必然的でしょ?」
「まあ、そうなんだがな。それより急に何でそんなこと言い出したんだ?」
「それはリオルが教えた人達は全員が技を習得してるからだよ。」
「うん?エバンスの方は覚えられないやつがいたのか?」
「そう。それも全員ね。」
「はぁ!?どゆこと?」
「えっとね、最初は皆順調に出来てたんだけど、魔術の放出ができなかったんだよ。」
「放出って、1番簡単なやつじゃないか。ま、確かに相手に当ててその後どうなるかまでイメージ出来ないと使えないけど、それくらいエバンスが教えてくれただろ?」
「そう!それだよ。エバンスは必死に教えようとしてくれたんだけどな、なんてゆうのかな?彼女、感覚派なんだろうね。いまいち要点を掴めた言い方ができてなかったんだよ。確か、「出したボールをビューっとやってダンッ!て感じです。」とか言ってたかな。」
「なんだよそれ。ま、しっかりとイメージができた奴に言えば分かるとは思うが、初心者にそれはないぜ。そういえばクルーナ先生も説明よりも、身体で覚えろ!って教育方針だったな。さすがは親子ってところか。」
「はは、言えてるね。」
「うん?でもそれならアルルが教えてやれば良かったんじゃないのか?」
「それは難しいな。僕の天属性は放出が無いからね。イメージして、詠唱までは一緒なんだけどね、その次は干渉なんだよ。」
「干渉?」
「そう。僕の魔法は超広範囲だからいちいち相手を選べないんだよ。例えば、今日やった地震の場合は地面に干渉、正確には土属性の精霊に訴えかけて、地震を起こしてもらうんだよ。」
「精霊ってエルフが召喚出来るやつか?」
「うーん、間違ってはいないけど、少し違うかな。エルフが呼び出せるのは契約精霊っていって肉体がある者なんだ。でも僕が干渉するのは肉体の無い、言わば魔法の素みたいなやつなんだよ。」
もとの世界でゆうところの、元素みたいなものだろうか。水素が火の勢いを強めるみたいな。
「そういえば詠唱の中でも妖精だの精霊だのって出てくるな。」
「そうそう。普通属性では詠唱の中で精霊に干渉してるんだよ。」
「それならアルルも詠唱をするんだから必要無いんじゃないのか?」
「さっきも言ったけど超広範囲魔法だから、詠唱の中だけだったら、現象を起こせるほどの精霊がいないんだ。だから直接干渉することで、より上位の精霊に力を貸してもらうんだ。」
「へぇー。妖精にも強さの序列が有るんだな。」
「強さとゆうよりは年齢かな。精霊は常に産まれ続けていてね、産まれたばかりの精霊にはあまり高い能力がないんだ。で、歳をとるほどに能力が上がっていく。その能力が最高に高まった精霊が魔法の素質を強く持つエルフ族と契約することで、さっき言った契約精霊として肉体を持てるんだよ。」
「なるほどな。全然知らなかった。」
「ま、精霊について学ぶのは、天属性みたいな強力な幻血属性持ちだったり、エルフ族だったり、身近に精霊の力を必要とする人たちだけだからね。知らなくて当然だよ。」
「ま、知ってて損することは無いから覚えとくよ。」
「君は何もしなくても話を聞いただけで覚えられるだろ?」
「ま、それもそうだけどな。っと、もうこんな時間だ。そろそろ寝るか。」
「そうだね。」
「明日はちゃんと起こせよ!バイクが出来た時に乗せてやらんぞ。」
「わ、分かってるから。乗せてよね。」
「それはアルル次第だな。てことでお休み。」
「うん、お休みなさい。」
こうして1日が終わって行くのだった。にしても普通の魔法で上位の精霊に干渉するとどうなるんだろうな。今度やってみるか。面白そうだし(黒笑)