目次 次へ PR 1/5 プロローグ 「いかないで。側にいてくれれば、何もいらない」 少年の胸にすがり付いて、大きな瞳から涙を流す少女を少年は強く抱きしめる。 「絶対無事に帰ってくるよ。帰ってきたら結婚しよう」 少年は腕の中の少女が涙を止めてポツリとこぼした言葉を拾えなかった。 「殿下を困らせて申し訳ありません。いってらっしゃいませ。失礼いたします」 少女は少年の腕から抜け出し、少年の顔を見ることなく部屋を出て行った。 少年は出発の時間が迫っているので少女を追うことはできなかった。