2026年7月6日 AM その3
自宅にたどり着く。
軍手を外して、鍵を開けて、ドアを開ける。
玄関をくぐって、
「ただいまぁー。」
ドアを閉めて、鍵を閉めて、衣服についた土を払う。
土をいじっていたのだから当たり前なのだけれど、結構汚れてしまった。
やはり、作業用の衣類は確保しないといけないなと思う。
靴を脱いで、リビングに入る。
"ゴミを捨てるだけ"と思って、エアコンを付けていかなかったことを後悔した。
とりあえず、エアコンのスイッチを入れる。
冷蔵庫からお茶を取り出して、カップに注いで、一息で飲み干す。
冷たいお茶が美味しい。
「すぐに終わるからいいやと思ってたけど、少しでも力仕事をするなら、飲み物は必須だ…」
数日前の反省が活かされていなかったと、改めて反省する。
洗面所に向かって、顔を洗う。
まとわりついていた汗が流れて、気持ちいい。
新しいフェイスタオルを一枚取り出して、首にかける。
リビングに戻ると、エアコンが効き始めていて、涼しい。
ようやく、汗が引いてきた気がする。
キッチンのゴミ箱から、ゴミ袋を取り出す。
一週間分の可燃ごみにしては少ないなと思った。
「…一人分だしね。」
それ以外に、ネット通販の包装とか、投げ込みチラシとか、そういったものが全くないというのも、従前よりもゴミが少ない要因だろうか。
「さて、ゴミ袋ごとまとめて埋めてしまって良いものか。」
これは、倫理観の問題だけではなくて、長い目で見たときの、生活環境の保全にかかわる問題だろう。
本来であれば、土に埋めてよいものと、そうでないものは、分けた方がよい。
けれど、今日まではなし崩し的に、従来基準で可燃ごみとされていたものを、この一袋にとりあえずまとめてしまっていたことに、改めて思い至った。
食品くずや、紙や天然素材の布は、埋めてしまっても多分問題ないと思う。
電池のような、従来から特に厳密に区分されていた、適当に埋めたら明らかに不味いものは分けておくのが良いこともわかる。
鍋とかネジみたいな金属についても、腐食はしても腐敗はしないから、あえて埋める必要はないだろう。
問題は、プラスチックなどの合成素材の類をどうするかで、ごみ袋自体もそのカテゴリに含まれるということだ。
とはいえ、
「どこまで厳密に分ければいいのか、わからないからなぁ。」
ゴミ袋だけでなくて、例えば、なんとなく生ゴミ入れに使ってしまった小さなポリ袋とか、合成繊維でできている衣類とか、これまでならひとまとめに燃えるゴミだったものをきちんと分別したとする。
そして、それらのゴミは埋めないという判断をしたとして、ではどう処分したらよいのか?という問題には答えがないように思われる。
土に埋めずに、仮にどこかの倉庫とかに保管していっても、長い目で見ればいずれは風化して、どこかに流出していくことには変わりがないとも思うからだ。
プラスチックの類を、専用の設備を使わずに燃やすのも問題だ、という話も聞いたことがある。
「⋯考えても仕方ないかぁ。」
今の私の手元には、理想的な選択肢は、おそらくない。
そうであれば、少なくとも今日は、労力を最小化して、
「自分のことを労おう。」
ということで、今日の可燃ごみについてはゴミ袋のまま埋めることにする。
同時に、今日からは、従来基準の可燃かどうかではなくて、生ゴミ、紙や天然繊維などの自然由来のもの、ビニールや合成繊維などの合成素材くらいには分けておこうと思う。
とはいえ、例えばポリ袋を使わずにゴミを管理するのは、それはそれで、より直接的な衛生環境の悪化を招くような気もする。
あくまでも努力目標として、多少の混合には目を瞑るくらいの気持ちで行こう。
そして、土に埋めるべきでないものは、どこかの倉庫を保管場所として、そこにまとめて置かせてもらおう。
少なくとも私が生きている間という意味では、土に埋めたり、野ざらしで風雨に晒すよりは良いはずだ。
「よし!」
そうと決めたら、後は持っていくだけだ。
出かける前にもう一杯お茶を飲んでおく。
ゴミ袋の口を縛って、持ち上げる。
靴を履いて、鍵を開けて、ゴミ袋を持って玄関をくぐる。
時間が進んで、さっきよりも更に気温が上がっている気がする。
冷房の効いた部屋にいたから、よりそう感じるのかもしれない。
ドアを閉めて、鍵を閉めて、軍手をはめる。
ゴミ袋を持ち上げて、夏の日差しの下を、歩き出した。




