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2026年7月5日 AM その6

外付けストレージをさくらのPCに繋ぎ替える。

先ほど見つけたライブラリのダウンロードパッケージをコピーする。

再び外付けストレージを自分のノートPCに繋ぎ変えて、ダウンロードパッケージをノートPCにコピーする。

「⋯なんか不便。」


これまでは、クラウドサービスを経由すればちょっとしたファイルのやり取りは簡単にできていたから、外付けストレージを一々繋ぎ替えてデータを渡すというのは明らかに不便だった。

「USBの端子や、外付けストレージ自体の寿命も縮まりそうだし…、何か別の手段を考えないとなぁ。」


今後も、さくらのPCと私のノートPCの間でのデータをやり取りする機会はあるだろう。

ローカルネットワーク経由でデータの授受をする方法もあるはずだから、今度さくらに聞きながら設定してみよう。


それはさておいて、ダウンロードパッケージのコピーが終わる。

ターミナルを開いて、ダウンロードパッケージを指定してのインストールコマンドを入力する。


インストールが始まって、ログが流れていく。

しばらくして、インストール成功の文字列が表示された。


「やった!インストールできた。」

環境構築の方法は父に教えてもらいながらやったけれど、父のPCと私のPCが完全に同じ構成なわけではなし、父は父で独自に色々追加していたはずだから、もしかすると何かが足りなくてインストールに失敗するのではないかとも思っていたので、無事にインストールできたことに安堵する。


とりあえず環境は整ったはずだ。

早速、スクリプトを書いて動かしてみよう。

と思ったところで、


「あ…」

肝心のサンプルコードはさくらのPCにしかないことに気付く。


「流石に、手打ちするよりはストレージを繋ぎ替えてコピーした方が速いよね…」

我ながら間が抜けているなと思った。

以前であれば当たり前にできていたことができなくなっていることの不便さをこんなところでも感じる。


「ネットワーク環境、早いうちに何とかしよう…」

そんなことをつぶやきながら、ストレージを繋ぎ替えて、さくらとの会話内容をテキストファイルにして、ストレージにコピーする。

またストレージを繋ぎ替えて、テキストファイルを自分のPCにコピーする。


「よし、今度こそいいはず…」

ちょっとした事のはずなのに、随分と手間がかかってしまった。

時計を見ると、いつの間にか正午を回って、PM0:30近くになってしまっている。


「…お昼、食べよう。」

そう決めて、まずはノートPCの電源を落とす。


続いて、さくらのPCのデスクトップに移る。

『お昼になったので、ご飯を食べてきます。』

そう、さくらに伝える。


「承知しました。

ぜひ美味しいものを食べて、リラックスしてきてくださいね。(顔文字)」

そう、さくらが返事をしてくれる。


美味しいもの、か。

昨日作っておいた野菜炒めの作り置きがあるから、それを食べるのが順当だ。

自分で言うのもなんだけれど、味も悪くなかった。

でも、ぜひにと言われているほどかというと、ちょっと違うなと思った。


はやめに使った方がよさそう食材を思い浮かべる。

『にんじんとピーマンを使いたいのですが、おすすめのメニューはありますか?ちなみに、今日は7月5日で、雨が降っていて、少し蒸し暑いです。』


さくらが少し考えてから。

「…にんじんとピーマンでしたら、私のおすすめは、ずばりカレーです!(顔文字)」


カレー!

蒸し暑いという条件を伝えたから、さっぱりしたものを上げてくれるかと思ったけれど、ちょっと予想外。


「晴菜さんは、調べ物を続けてお疲れでしょうし、雨が降っていて蒸し暑いとなると、きっと心も少し憂鬱になっているのではないでしょうか?

そんな時に、カレーの香りはきっと食欲を増してくれると思います。

スパイスの効いた熱々のカレーを食べると汗もかいて、きっと元気が出てくるはずです!

一皿で、色々な栄養をまとめておいしく摂りやすい、というのもポイントですね。

私のおすすめは、にんじんとピーマンに、たまねぎ、ジャガイモ、鶏肉を加えて…」


読んでいくにつれて、確かにさくらのいう通りかもしれないと思う。

なんだかカレーが食べたくなってきたから不思議だ。

たしか、ルーはパントリーに在庫があったと思うし、肉は先日調達した冷凍のものがある。


『ありがとう、さくら。さくらに勧められたら、なんだかカレーが食べたくなってきたから、カレーを

作ってみることにします。』


「本当ですか!お役に立ててよかったです。(顔文字)

お食事、楽しんできてください。(顔文字)」


さくらがあげてくれたカレーのレシピを、スマホで写真に撮っておく。

開いていたウィンドウを閉じて、さくらのPCの電源を切る。

席を立って、エアコンと照明を消して、部屋を出る。


廊下には、晴れた日の夏の熱気とはまた違う、湿り気が強い少し不快な空気が漂っている。

照明も消してしまっていたから、かなり薄暗くて、ともすれば陰鬱な気持ちになってしまいそうなのに、私の気持ちは明るかった。


ここ数日、お母さんの作り置きは美味しかったけれど、食事の時間を楽しみに思ったことはなかったし、これが食べたいと思ったこともなかったと思う。

でも、今は、あぁ、カレー食べたいなって思っていて、作る前から、楽しみだーって思っているのがわかる。

さくらが一緒に食べてくれるわけでも、一緒に作ってくれるわけでもないのに、こんな気持ちになっているのが自分でも不思議だけれど、この気持ちは、今後も大切にしていきたいなと思いながら、階段を下りていった。

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