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【魔王達と運命】

 ある物語は突然に始まりを告げた。その時代は魔物と人間の間には争いが起こる事がなく共存していた平和な時代だった。魔族のゼルスと人間のパレットは、魔族と人間で仲良く一緒に暮らしていた。二人は、その時は幸せな生活がずっと続くと思っていた。そんな思いとは裏腹に人間の中で異変が起こっていた。フードを被った集団が少しずつ現れるようになっていた。そのフードを被った集団は、表立って姿を現すことはなかったが人間の中に浸透し始めていた。二人は幸せな暮らしを過ごしていた時、急にその幸せを壊すことが起きてしまった。二人が過ごしていた魔王城にフードを被った集団が現れた。フードを被った集団は、パレットを連れて行こうとした。ゼルスはパレットを連れて行こうとしているフードを被った集団の手を振り解こうと必死に抵抗したが、今のゼルスとフードを被った集団の間には圧倒的な力の差があった。振り解こうとする手を集団はあっさり解いた。ゼルスは、集団がパレットを連れて行くのをただ茫然と見ているしかなかった。ゼルスはショックだったのかその後意識をしばらく失っていた。二日以上たった後、ゼルスは、魔王城の自分の部屋のベッドで目が覚めた。パレットが連れて行かれた後、ゼルスは、何かをするという気力は完全になくなって心の中がパレットを失った喪失感とパレットを連れて行った謎のフードを被った集団に対する憎しみが占めていた。そんな状態がその後二年も続いていた。そんな時、魔王から次の魔王になる為の修行をするように言われてその教育係の人間を紹介された。紹介されてから五年間その教育係の修行を受ける事になった。ゼルスは、その修行でパレットを失った喪失感を和らげばいいとそう思いながら修行を続けた。

 【やめろ!!返せ・・・・・・返せ!!】と叫ぶ声が部屋中に山彦のように響き渡って共鳴していた。ゼルスは、自分の叫び声とともに夢から目覚めた。あれからゼルスは、魔王になる為の修行を続けていた。今日もまたあの時の夢を見て、うなされて辺りに響くほどの叫び声で夢から覚めていた。悪夢を見なくなる日がいつか来るのだろうが・・・・・・あの時のあいつらと対峙する事を考えながら修行を始める為に修行所に向かう事にした。

 ゼルスは、悪夢を見ていた場所から魔王になる為に魔王城にある修行所へと向かっていた。毎日毎日悪夢を見た後に進む道だった。ゼルスの心の中はあの時からぽっかり穴が開いたまま歩き続け修行所にたどり着いた。修行所の中に入ると、そこにはある人間がどっしりと仁王立ちして待ち受けていた。どっしりと仁王立ちしていた人間はサタスンと言って少し前からゼルスの教育係に魔王から指名された人間だった。サタスンは、ゼルスが修行所に見えるとこちらに話しかけてきた。【ようやく来たな】とサタスンは一言いうとゼルスに修行の準備をするように指示をしてきた。ゼルスは、気持ちを切り替えてサタスンの指示通りに修行の準備を始めた。準備が終わるとサタスンは、ゼルスに攻撃を仕掛けてきた。ゼルスは、サタスンの動きに合わせて攻撃を受け止めていた。実践的な修行は厳しいものだった。修行が始まって数時間後には疲労が溜まっていき体力の限界になると修行が終わった。厳しい修行が終わり修行所を後にしたゼルスは、修行終わりにいつも行っている景色のいい場所へと向かう事にした。

 修行所からいつもの景色のいい場所に向かっていると魔王城にいた魔物達が挨拶をしてきた。ゼルスは、その魔物達に挨拶をしながらも景色のいい場所にたどり着いた。たどり着いた景色のいい場所には先客がいた。景色がいい場所にあった木の陰に幼馴染のタリスタが座っていた。タリスタは、ゼルスが来ると笑顔になってこっちに向かって歩いてきた。タリスタは、ゼルスが魔王になった時に片腕になれるための教育を先ほどまで受けた後この場所に来ていた。ゼルスとタリスタは、厳しい修行が終わった後の時間をこの景色のいい場所で過ごしていた。今日の修行は終わって時間があったので、少し魔王城から出て近くにある人間の町に行く為に人間に姿を変えて用意をしっかりと準備して魔王城の入口に向かって歩き出した。

 ゼルス達は、一緒に魔王城の入口から、一番近くにある人間の町へと歩き出した。歩いていたゼルス達は、周りからは魔族だと言う事がわからないように人間の姿に変わっていた。魔王城からしばらく歩いていると、アースリーの町へとやって来た。アースリーの町は、少しだけ大きく町の中に入るとにぎわっていた。ゼルス達は、町の中を歩きながら見回っているとある一角でどこかに雇われている女性が雇用主から責められていた。ゼルスがその光景を見たとき、なぜか七年前から夢に出てくるあの出来事を思ってしまった。ゼルスは、あの出来事のトラウマから体が震え、胸が苦しく気分が悪くなっていった。その様子を静かに見ていたタリスタが、ゼルスの苦しみを思い町で楽しむことをやめ魔王城へと帰る事にした。

 謎の二人は、何処かへと向かっていた。その謎の二人が向かった先は魔王城だった。魔王城の見張りが仕事をしていると遠くから二人組の人間が向かってきていた。見張りは、遠くから近づいてくる二人組に最大限の警戒をしていた。謎の二人組がさらに門の近くにやってくると見張りはさらに警戒をしていた。だが謎の二人は、パレット様の名前を出してきた。見張りは、謎の二人組がパレット様の名前を出したことに驚きしばらく固まってしまった。謎の二人は、見張りの戸惑いを感じつつも洞窟の情報をゼルスに伝えるように見張りに言ってきて紙を渡してきた。見張りは、紙を受け取るとゼルスに報告をしにいった。謎の二人は魔王城を後にしていった。

 ゼルスは、アースリーの町で気分が悪くなって魔王城に戻って来てからしばらく部屋でゆっくりと過ごしていた。あれからしばらく穏やかな時間だった。その穏やかな時間が終わりを告げる事が起こった。部屋に近づく足音が聞こえてきた。そして部屋の扉が開くとタリスタが慌てながら入ってきた。入ってきたタリスタの手には紙が握られていた。タリスタは、手に握っていた紙をゼルスに渡してきて謎の二人が見張りにこの紙を渡してきたことも伝えてきた。ゼルスは、手渡された手紙に書いてある文書をみた。そこには、七年間ずっと探していた情報でパレットの情報が書かれていた。ゼルスは、この情報に書かれている場所に一刻も早く向かいたいと思ってゼルス達は、その場所へと急ぐことにした。

 ゼルス達は、手渡された紙に書かれていた場所へと向かっていた。その場所は、魔王城からかなり遠く何日もかかる場所だった。だがゼルスにはそんなことは関係がなかった。【会いたい】その一つの思いの方が強かった。ゼルス達は、もう少しでその場所に着く所までやって来ていた。エリザレス山脈を越えた後、目的の場所のメイロー樹海までやって来た。パレットは、この樹海の中の洞窟にいるはずだ。メイロー樹海に出ている霧の中ゼルス達は、パレットのいる洞窟を探し続けた。しばらく探し続けてようやく洞窟を見つけ出した。ゼルス達は、洞窟の中に入り奥へと進んだ。しかし洞窟の中にいるはずのパレットの姿が見当たらなかった。つい最近までいた痕跡はある。ゼルス達が来ることをあの集団が察知して移動させたようだった。ようやく会えるそう思っていたのに悔しかった。ゼルス達は、洞窟の中を探し何か痕跡がないか探したが見つからず戻ることにした。

 パレットと会えなかったゼルス達は、魔王城の近くまで帰って来ていた。もうすぐ魔王城だという所で魔王城から出ていく人影を見かけた。ゼルス達は、その人影を見るとサタスンだった。ゼルス達はサタスンに近づいた。するとサタスンは、ゼルス達に気づき話しかけてきた。サタスンはある任務に行くので着いてくるように言ってきた。サタスンが行く任務とは、魔物が何者かによって操られているようなので調査するらしい。ゼルス達は、サタスンと一緒に調査に行く事を決め、操られた魔物が向かう場所へと歩き出した。その場所は、ここから北にあるという神殿で普通は魔物が寄り付かない場所だった。サタスンと一緒に歩き出して二日ほど歩いて神殿へと辿り着いた。

 神殿にたどり着いた三人は、少し様子を見ることにした。たどり着いた神殿は、遠目から見るとそこに神殿があるという事が分からないようになっていた。しばらくすると魔物の群れが神殿に向かっていった。サタスンは、遠目から神殿に向かう魔物の状況を見ていた。サタスンが見た魔物には普通の状況ではない事だけ分かった。魔物の目は、赤く変色していた。三人は、その場で考えた。魔物を操っている人間は、どんな方法で魔物を操っているのか?そのヒントがあの神殿にあると思い内部へと入っていった。

 三人は、操られている魔物の後を追って神殿の内部へと入って行くと、中はとても複雑な構造になっていた。ゼルスは、その複雑な構造をしている神殿の内部を調べながら奥へと進んで行った。奥へと進んでいると下に大きく開けた場所が見えてきた。上からその場所を除いてみるとそこには、操られた魔物とそれを操っている集団がいた。魔物の集団とあの時パレットを連れて行ったフードを被った集団がたくさんいた。その集団が何か叫んでいた。耳を澄まして聞いてみると、コントンと絶望を世界にもたらせと何回も叫んでいた。その叫びに魔物の集団も同調していた。フードを被った集団が叫んでいたその叫び声はその場所を覆い包んでいた。三人は、その叫び声が鳴り響く中、集団の中に突っ込んでいった。

 三人が集団に突っ込んでいくと、集団は突然現れた三人に一瞬驚きを示していたがフードを被った集団は、操っている魔物の集団に対して突っ込んできた三を攻撃するように指示をした。操られた魔物の集団は、三人に攻撃を仕掛けてきた。魔物の集団は、普段以上の力を出していて強かった。ゼルス達の力だけでは勝てないほどで勝てる可能性も低くなっていた。ゼルス達が魔物の集団と戦っているうちにフードを被った集団は姿を消していた。魔物の攻撃を躱しながらも追い詰められた三人は魔物の攻撃を少しずつ受けて行った。この状況がまずいと思ったサタスンは、ゼルスとタリスタに逃げるように指示をした。だが、ゼルスとタリスタは、その指示には従う事ができず拒否し続けた。サタスンは、その様子を見て何かの術の詠唱を始めた。しばらくして詠唱が終わったと同時にサタスンはゼルス達に向けてお前達だけでも逃げ延びろと叫び術の効果が発動しゼルスとタリスタは、神殿の外まで飛ばされた。神殿の外に飛ばされたゼルス達は、サタスンが戻ってくるのをしばらく待ち続けた。だがサタスンは戻って来なかった。

 ゼルスとタリスタがいなくなったアルカット神殿の内部では、サタスンが魔物とまだ戦っていた。複数の魔物達とサタスンの戦いは明らかにサタスンが不利な状況だった。だが、サタスンは体力が続く限り魔物と戦っていた。ゼルス達が逃げきれる時間を少しでも作ろうとして・・・・・・圧倒的不利な状況で戦うサタスンも数の多さには勝てなかった。体力が尽きて魔物達の攻撃を受け続けて意識が無くなってしまった。動けなくなったサタスンを魔物達は、神殿にある隠し部屋へと運んで行った。

 ゼルス達は、しばらくアルカット神殿の外でサタスンが戻ってくるのを待っていた。だが、サタスンが戻ってくることはなかった。ゼルス達、その状況にサタスンの死を感じ取って神殿の片隅に墓標を建てた。時間はすっかり陽が落ちようとしていた。陽が落ちてきたその色とゼルスの体から溢れてきた漆黒のオーラが混じり会っていたが徐々にゼルスのオーラが漆黒から暗黒へと変わっていく。一緒にいたタリスタは、そのオーラの変化に気づいた。その時、暗黒のオーラが見えたのは一瞬だった。ゼルス達は、今の魔王にサタスンの事を報告しなければならないと思い魔王城へと帰ることにした。暗黒のオーラが見えなくなった背中をみていたタリスタは、ゼルスの体から出るオーラの強さから少し離れてついてくる事しかできなかった。

 ゼルス達は、アルカット神殿から魔王城へと帰って来た。魔王城へと帰って来たゼルス達は、今の魔王の元へと向かっていき、たどり着くと今の魔王にサタスンの事を報告した。魔王は、ただ一言【分かった】と言うとゼルスを下がらせた。ゼルスはその場所から自分の部屋に戻ろうとすると微かにすすり泣く声が聞こえていた。部屋に戻ったゼルスは、タリスタと共にサタスンの事を探るように他の者に伝えた。サタスンの情報を探し続けて数年がたったがサタスンに関する情報は入って来なかった。さらにメイロー樹海にいたはずのパレットの情報は、あのアルカット神殿で見た混沌と絶望を叫んでいたフードを被った集団が連れていったことまではわかった。だがその後の消息はわからなくなっていた。あの時一瞬見せた暗黒のオーラは強くなっていき、魔王として世界中を暗黒のオーラで包んでいった。

 世界は完全に暗黒のオーラに包まれていた。空は暗黒のオーラによって明るさを失い暗い状態が続いていた。人間達は、あまりにも強い暗黒のオーラに絶望と悲しみに溢れてしまっていた。そんな暗黒のオーラに包まれた状態は数十年続いていた。暗黒のオーラが続いていた世界で人間達による異変が起こり始めていた。その出来事の裏にあの時のフードを被った集団が関与していることは、まだ誰も知るよしもなかった。動き出したフードを被った集団の目的とは一体どんなことなのか・・・・・・

 世界は、ゼルスの暗黒のオーラによって包まれていたが、ある一部の場所においてゼルスの暗黒のオーラが弱まり始めていた。ゼルスもその異変を少しだけだが感じてはいた。その異変が何なのかが気になって知る為に、ゼルスはタリスタにその異変があったその場所を部下に調べさせるように指示をだした。異変を感じてから数日後・・・・・・異変があった場所を調べてきた部下からの報告をゼルスは聞いた。その報告とは、ある王が魔王を倒す為に人を集めているという事だった。その報告を聞いてゼルスは人間がどんな事をしてきても帰り討ちにしてみせるという格好を取っていた。だが少し不安にもかられていた念のためにその後の動向も探るように再度指示を出した。その後特に情報が来ることはなかった。人間達は王の思いとは違い、ゼルスの出す暗黒のオーラに怯え震えていた。

 それからしばらく何の情報も入って来なかったゼルス達の元に新たな情報がもたらされた。動向を探らせていた部下から情報が届いた。それは、パルという人間が、魔王を討伐する為に人を集めていた王と会って三人の仲間と向かって来るという情報を伝えてきた。さらにパルという人間は、ゼルスが探していたパレットに似ているとも伝えてきた。ゼルスは、その情報を聞いて驚きを隠せなかった。ゼルスは、そのパルという人間の情報を集めるように指示を出して自分の部屋へと戻った。ゼルスの中ではしばらくパルという人間とパレットの事でいっぱいになった。

 自分の部屋に戻ったゼルスは、静かな部屋で頭に浮かんでいる疑問を一つ一つ自分なりに考えていった。なぜパレットとパルという人間の顔が似ているのか?考えてみたが今の所はまだわからない。パレットは今も生きているのか?もしそうならなぜ会いに来ない?会いに来られないままなのか?次々と考えてみたがわからない事が多すぎて部下が何か情報を持ってくるまでゆっくりとすることにした。それからしばらくしてパルの情報が色々と入ってくる事が多くなっていった。

 タリスタは、パレット様に似たパルという人間に興味を持っていた。パレット様はあの出来事から行方は分からなくなっていた。それが似た人間がいる事に何かあると考えていた。しばらく自分の部屋で考えていると部下からゼルスが呼んでいると報告があった。どんなことを言われるのかと思いながらゼルスのも元へと向かった。そしてゼルスからある事を命じられることになった。タリスタはその命によってある場所に向かう事になった。その向かう場所とは・・・・・・

 ゼルスは、パル達の情報が次々に入ってくるのを少し恐怖に感じていた。そこで、ゼルスは、タリスタにパル達に対抗する為に魔王城にいる魔物を引き連れてカルスの町まで行ってパル達を行動不能にするように命じた。命令を受けたタリスタは、魔物を引き連れて魔王城を後にしてカルスの町へと向かった。ゼルスは向かって行くタリスタの後ろ姿を見つつも心の中で、【タリスタもあの出来事から強くなっている・・・・・・強くなっている】そう思っていたのだが・・・・・・

 そのゼルスの思いは打ち砕かれる事になってしまう事に・・・・・・タリスタは、魔王ゼルスの命を受けて魔物を引き連れてカルスの町へと急いでいた。すると向こうから何やら魔物がやって来た。

 すると向こうから、何やら魔物がやってきた。タリスタは、不思議に思って足を止めた。ついてきた魔物以外は来るはずがないと不思議に思った。向こうからきた魔物が近づいてくると魔物の目は赤色に変わっていた。少し前にアルカット神殿でみたあの目に・・・・・・タリスタは、向かってくる魔物に突撃していった。前に戦った時は歯が立たなかったが、今回は少しましになっていた。互角の戦いをしていたが、遠くから何か飛んできた。タリスタは、遠くから飛んできたものを避けた。操られた魔物は、その一瞬の隙を見逃さなかった。タリスタに攻撃を仕掛けてきた。防戦一方になった。タリスタは劣勢になったのを見るとその場を立ち去った

 タリスタは、謎の集団によってカルスの町に行く事を防がれた後、魔王城へと戻っていた。戦った謎の集団が追いかけてくると思っていたタリスタは、後ろを気にしながら魔王城へと辿り着いた。ゼルスは、タリスタが戻って来たと部下から報告を受けてタリスタの元に急いだ。自分の部屋から魔王城の入口まで向かった。魔王城の入口でタリスタに会ったゼルスは、起こった出来事について話を聞いた。そして戻って来たタリスタに少し休むように言った後、また自分の部屋へと戻った。魔王城に戻って来たタリスタは魔王城にやって来る者に対して警戒をするように部下に指示をして自分達の部屋に戻った。それからしばらくたってしまった。しばらくゆっくりしていると見張りからこの魔王城に怪しい四人組が向かってくると報告を受けた。タリスタはその報告を受けると見張りの所に急いだ。見張りが報告をした怪しい四人組は、魔王城にやってきて見張りとやり取りをし始めた。タリスタは見張りの所にたどり着くと、四人組と見張りが殴り会いになる寸前だった。四人組と見張りは、タリスタの登場に殴り会おうとしていたのをやめた。タリスタは、殴り会うのをやめようとした四人組の顔を見た。そして、その四人組の一人の顔を見えた時、タリスタは驚いてしまった。タリスタはその一人に向かって【パレット様に似ている】と呟いた。向こうもタリスタの顔を見て何かを思っているようだった。タリスタは、パレットに似ている顔をしている人間がいる四人組を警戒態勢中の魔王城の中へと案内した。四人組は、タリスタの案内で魔王城に入っていった。その時四人組の一人の懐から紙切れが落ちていたが、その場にいた者は気づいていなかった。

 タリスタは四人組に魔王城の内部を案内しながら魔王ゼルスのいる場所へ案内していた。魔王ゼルスのいる場所に着くとゼルスは、タリスタに四人組の事を聞いてきた。タリスタは、入口の事を話すと四人組の一人を近くに呼んだ。魔王ゼルスは、呼んだ人間の顔を見ると【パレット・・・・・・パレットに似ている】そう言った。近くに呼んだ人間は、ここまでの事や謎の二人組からパレットの事の話を聞くと魔王ゼルスは、昔を懐かしんだ。それと同時にここにやってくるパル達の対応をしなければならなかった。魔王ゼルスは、すぐさま奥の部屋へと向かう事にした。四人組も魔王ゼルスの後について奥の部屋へと着いてきた。

 魔王ゼルスは奥の部屋でパルを迎え撃とうと立っているとパル達がこの部屋に入ってきた。広い部屋にゼルスとパルがお互いに向かい合っていた。その部屋にはゼルスが放った暗黒のオーラとパル達が放つ信頼のオーラが部屋の中の空気を支配していた。二つのオーラは混ざり合う事もないぐらい拮抗を保ち続けていた。その拮抗を破るようにパルが攻撃してきた。ゼルスもパルに攻撃した。何回も剣がぶつかり、音が激しく響いていた。剣のぶつかり合いが続く中パルの仲間達が参戦して来た。こちら側はタリスタが参戦したパルの仲間達の攻撃を防いでいた。さらにパル達の仲間の一人がサポートに回っていて、攻撃の応酬は数時間にわたっていた。勝敗がつくような気配がなくどうしようか考えていた時どこかから炎がとんできてゼルスに当たった。パルはその隙をついて攻撃してきた。だがゼルスの後をついて来ていた四人組が出てきてパル達の攻撃を防いでくれた。タリスタもパル達の攻撃を防いてその一点に集中が集まった時、炎か現れた方角からフードを被った集団が現れた。四人組とゼルスは、その集団の風貌に見た事のある顔をしていた。【あの時の・・・・・・】ゼルスは心の中で思った。集団は何かの術を詠唱し始めていた。タリスタはこの集団に気づきこのフードを被った集団に向かっていた。フードを被った集団は、迫ってくるタリスタに、術を詠唱している人物とは別の人間が、タリスタに向かって術を放ち距離を取らせると、金縛りにする術をさらにかけてきた。タリスタは、術の効果によって行動することができない。ゼルスが孤立していた。ゼルスは、フードを被った集団に向かおうとした。術を詠唱している人物は、ゼルスにめがけて術を放った。ゼルスは避けようと試みたが、運悪く避けきれなかった。ゼルスは術の効果によって封印され始めていた。そんな時、【いつかお前たちを必ず倒してやる・・・・・・】と言葉を残して封印されてしまった。ゼルスが封印されると、フードを被った集団は使命を終えて去っていった。ゼルスの封印を間近に見たタリスタはただ傍で立ち尽くすしかできなかった。ゼルスは意識があるものの声が出せずその様子を封印された所で見ていた。

 ゼルスは封印されて意識が薄れていく中、フードを被った集団が目的を達成して去っていく様子を見つめていた。さらにゼルスを討伐しに来たパル達や四人組も去って行ってしまった。片腕だったタリスタは、目の前で立ち尽していたタリスタがいた。しかしタリスタは、封印を解く方法を探す為、ゼルスの前から去って行った。そして誰もいなくなった魔王城にある人物が現れた。ゼルスは、薄れゆく意識の中で目の前に現れた人間を見ようとしたが、意識が朦朧としていて姿はぼんやりしていた。だが声は聞こえたので聞いてみると【封印は必ず解ける時がやって来る。それまで待っていて】と呟いていた。姿が消えた後、呟いていた声の主を考えていると懐かしい感じがした。ゼルスは、その声の通りに封印が解けるのを待つ事にした。

 タリスタは、フードを被った集団に封印されたゼルスの封印を解く方法があるはずだと考えてある情報を元に魔王城を出て旅に出た。タリスタが当てにした情報は、パレット様に関する情報だった。パレット様は不思議な能力を持っていて魔王城より北にある国の方からやって来ていたというものだった。パレット様のいた場所には封印を解く方法があるはずだ!!そう思ってさらなる情報を集める為にアルカット神殿の北にあるアルカリアの町へと向かった。数日度、アルカリアの町にたどり着いたタリスタは町の人間に話を聞き始めた。

 タリスタは、町で封印を解く術の情報を集める為に町の人間に聞いて回っていた。町の人間は、封印を解く術の事は知らなかったがもしかしたら知っているかも知れない鍛冶屋にいるゼルという人間の情報を教えてくれた。タリスタは、ゼルと言う人間の情報を手に入れてすぐさまアルカリアの鍛冶屋を探し回った。しばらくして鍛冶屋にたどり着くとゼルという人物を探した。タリスタが探していると鍛冶屋の奥からある人物が現れた。鍛冶屋の奥から出てきた人間の顔を見たタリスタは、その人間がパレット様の顔に似ていた事に驚いた。そして、タリスタはその人間に名前を聞いた。するとその人間はゼルと名乗った。タリスタの目の前に町の人間から聞いたゼルがいる。そのゼルに色々な事を聞いてみた。するとゼルはある集落から来た事が分かって、ゼルにその集落の場所を聞いて行ってみる事にした。

 アルカリアでゼルという人間から集落の場所を聞いてその場所の近くまでやって来ていた。ゼルから聞いた場所はこの辺で間違いないはずだった。だが周りには集落は見当たらなかった。しばらくその場で立ち止まっていた。そんな時、タリスタは周りに気配を感じて見ると周りから大人数の人間達が現れていきなり攻撃を仕掛けてきた。タリスタは、突然現れた人間達の攻撃を躱し続けた。だが、現れた人間達は、なかなかの手練れだったがタリスタには勝てなかった。タリスタは、余裕の表情で戦いながら現れた集団に集落の事を聞いた。集団は自分達が集落の人間だと言ってきた。タリスタは、集落の人間に集落に連れて行ってほしいと頼んだ。集落の人間は戦いをやめた。それと同時にタリスタも戦いをやめた。集落の人間はタリスタを集落へと連れて行った。

 タリスタは、集落の人間と一緒に集落へと向かった。集落に着くとそのまま集落の中を進んで長老のいる場所へと向かっていた。長老の家に着くとタリスタはドアを開けて中に入った。中に入るとタリスタの目の前に長老と思われる人間が立っていた。長老は、なんとも言えないオーラが漂っていた。タリスタは、長老のオーラに戸惑いながら長老に挨拶をした。長老は、タリスタに挨拶を返すと同時にここに来た目的を聞いてきた。タリスタは、この場所に来た目的を答えた。長老は、タリスタにこの場所にタリスタの目的の物はないと伝えた。タリスタは、ここに目的の物が無いことを知ると何処に行けば分かるのかを聞いてみた。長老は、封印を解く事が出来る方法が分かりそうな場所に在処をタリスタに伝えた。その場所は、集落からかなり遠い場所だった。タリスタは、長老からその場所を貰うと長老にお礼の言葉を述べて集落の入口へと向かっていった。

 タリスタは、集落の入口に着くと長老から貰った在処の地図を見て場所までの道を歩き始めた。歩き始めて近い町は一週間ほどかかる場所にあった。タリスタは目的の為に一歩一歩進んでいった。しばらく行くと雨が降り出してきた。タリスタは雨宿りできる場所を探した。振ってきた雨の音は次第に強くなっていき土砂降りになってしまった。近くに森が見えてタリスタは土砂降りの中森へと入った。森の中を進んで行くと洞窟らしきものが見えてきた。タリスタは、必死に走って洞窟へと急いだ。洞窟に入るとタリスタは雨で濡れた服を乾かした。タリスタは、服を乾かしている間に休憩を取った。そして歩き続けた事と雨に濡れた事で疲労が溜まってしばらく眠ってしまった。

 タリスタは、眠りについてしばらくして頭の中に夢が現れた。その夢の中では、今もあの魔王城で封印された状態のゼルスがいた。そのゼルスの前に一人の人間が現れていた。その人間は、封印されたゼルスに向かって何か話しかけているような様子だった。タリスタは、見ていた夢が現実か夢か判別ができないぐらい鮮明な出来事に待ってくれとうめき声を上げていた。うめき声をあげたすぐ直後にタリスタは意識を取り戻した。タリスタは、意識を取り戻した後に辺りを見回した。周りは休憩をとった洞窟だった。それを見て夢を見ていたと確信したがあの現実のような夢は一体何だったのかと思いながら乾いた服を着た。雨はすでに止んでいてタリスタは、また目的の場所に向かって歩き出した。

 あの現実と見間違う夢を見てからどれくらいの時間が過ぎただろうか?ようやく近くの町までやって来た。マスタリアという町で、今まで見て来た町とは風景と町の人間の服装が違っていた。タリスタは、その違いに遠くまでやって来た事を実感していた。マスタリアで目的の場所の情報をさらに聞き込んでみた。聞き込んだ情報によるとその場所には、昔からある遺跡の跡が残っているだけだと・・・・・・その情報を聞いてタリスタは少し考えた。集落の長老はなぜ遺跡の跡しかない場所の地図を渡してきたのか?頭の中がこんがらがっていたがその答えを知ろうとマスタリアの町を出て遺跡の跡が残っている場所へと向かった。

 ゼルスは、封印されて意識が無くなっていたはずだった。魔王城に体だけは残っていた。ゼルスの意識は別の場所で覚醒していた。その場所は周りを白色に囲まれている場所で音がなく静かな場所だった。ゼルスの意識は、封印が解かれるまでその場所で留まっていた。

 タリスタは、封印を解く方法が分かるかもしれない在処の地図の場所へとやってきた。タリスタは寂れかけている古代文明の遺跡らしき建物の中に入っていった。中は時間が経ちすぎているのか崩れまくっていて微かにその痕跡が見えるだけだった。タリスタは、封印を解く方法がないか遺跡の奥へと進んで行くと一か所だけ太陽の光が当たっている場所があった。【なぜあそこだけ太陽の光が当たっているのか?】そう思ったタリスタは、その光が当たっている場所へと向かった。タリスタがその場所に行くと光がタリスタを包み込んだ。タリスタを包んでいた光が消えたその時、タリスタの姿はその場から消えていた。

 光に包まれた後、タリスタは意識が薄れていくのを感じていた。光が消えてタリスタの意識がはっきりしてきた時、今までいた遺跡ではなく全く見覚えのない場所に倒れていた。タリスタが覚えているのは寂れかけていた古代文明の遺跡で光が当たっている場所にいた事は覚えていた。タリスタは今の状況に訳が分からず少し離れて近くに町が無いか探そうと歩き出した。歩き続けてしばらく歩いたが全く見た事のない風景だった。さらに歩くと何か見えてきた。タリスタは、見えてきた物をさらに見ようと近くに行くとタリスタは驚いた。タリスタが見た物は今まで自分が見た光景とは全く違っていて建物が金属で覆われている建物が並んでいた。タリスタはそこへと進んで行った。

 タリスタは、見た事のない建物を横目にまっすぐ歩いていた。しばらく歩き続けある場所を通った時に自分でも分からない感覚を肌で感じてそこにあった建物の扉を開けて中へと入った。タリスタが入った建物には、先に何者かが訪れていた。タリスタは、その人間に気づかれないようにその人間に近づいた。気づかれないように近づいたはずだった。だがその人間は何かの気配を感じてこっちを振り向いた。そして振り向き様にタリスタに向かって尖った物を出してきた。タリスタは、尖った物を出してきた事に驚いてそれ以上前に出るのを止めた。とがった物を出してきた人間は、タリスタに【お前はあいつらと同じ人間か】と聞いてきた。タリスタは、その人間が聞いてきた言葉の意味が分からなかったので問い返した。すると相手は、タリスタにある話をした。タリスタはその話の内容を聞いて名前を伝えた。その人間は、タリスタの言動からあいつらとは違うとわかったようだった。タリスタは、その人間に封印を解く方法を尋ねた。するとその人間は知っていると答えた。

 封印を解く方法を知っていると言った人間はその方法をタリスタに伝えた。その方法とは封印を解く薬を使う方法だった。タリスタはその薬がどういう物なのかと聞いたがその人間は、今は手元にその薬がないと言ってきた。タリスタは、その人間にその薬を作ってくれと頼んだ。その人間は少し悩んだ後に決心してタリスタにまず薬の材料を取ってきてくれと言った。タリスタは、封印を解く為に必要があった為に分かったと言ってその人間に薬の材料がある場所を聞いた。するとその人間は薬の材料がある場所n情報を伝えて必要な物を書いた紙を渡してきた。タリスタは、その紙を受け取ると薬の材料がある場所へと向かった

 薬の材料がある場所へと向かうタリスタをつけている人間がいた。タリスタは、その人間の気配を感じ取っていた。付いてくる気配をうまく躱しながら薬の材料のある場所にたどり着いた。たどり着いたタリスタは、薬の材料に必要な物をその部屋で探し続けた。しばらくして必要な物を全て探し終わると薬を作ってくれる人間の元に戻ろうとした。そんな時、躱したはずの気配をまた感じた。だが気配を感じ取るのが遅かった。その気配は、タリスタに近づいて来ていた。振り返るとそこには怪しいオーラを放つ人間が立っていた。その人間は、タリスタに向かって攻撃を仕掛けてきた。タリスタは、その人間の攻撃を何回かは躱し続けた。だがその人間は強かった。タリスタは、少しずつ押され始めこのままではやばいと感じたタリスタはその人間から一目散に逃げだした。

 逃げ出したタリスタは、追って来るかも知れないと思い後ろを気にしながら急いで薬を作ってくれる人間の元に走った。襲ってきた人間は追ってくることはなかった。

 強すぎる人間から逃げ延びた後も走り続けるタリスタは、しばらくして薬を作ってくれる人間がいる場所にたどり着いてその人間に持ってきた薬の材料を渡した。作ってくれる人間はタリスタが持ってきた薬の材料で封印を解く薬を作り出した。薬の完成までに三日かかった。その間、タリスタは薬が出来るまでその部屋で待ち続けた。そして・・・・・・

 薬が完成して薬を作った人間は、タリスタに完成した薬を渡してきた。薬を作った人間はタリスタに名前を名乗ってきた。名前はメイトスと言った。メイトスは、タリスタに向かって【時を越えて来たか?】と言った。タリスタは、その言葉に驚いた。時を越えた?疑問に思っているとメイトスは、タリスタに向かって【お前の時代に戻ってやらないといけないことをしろ】と励ました。タリスタはその言葉を聞いてメイトスに別れを告げて光が消えていた場所に向かうことにした。

 タリスタは封印を解く薬を持って光が現れて消えた時にいた場所に着いた。その場所にある一部分だけ光が強く当たっていた。タリスタはその様子を見ると光が当たっている場所に行くとまたあの出来事が起こるのではと思い近づいた。するとあの時のようにタリスタは光に包まれた。光に包まれた後、しばらくして光に包まれていたタリスタの光が消えていくとあの遺跡の跡に倒れ込んでいた。タリスタは一瞬だけ夢か?と思って渡された薬を探した。すると手の近くに作って貰った薬が落ちていた。それを見たタリスタは、夢ではなかったと安堵して落ちていた薬を取っていったん在処の地図を貰った集落に戻る事にした。長い道のりを集落まで戻ってくる間に時間がかなり経っている事を知った。集落に戻ってきたタリスタは、向こうの方に二人組の人影が見えた。タリスタは、人影が見えた方向に歩いて行くとそこには見た事のある顔が現れた。見た事のある顔は、行方不明になっていたはずのパレットとサタスンだった。その二人が現れた事にタリスタは驚いた。タリスタは、二人に今までの事となぜこの場所にいるのかを聞いてみた。パレットとサタスンは、今までの事を話してくれた。タリスタは、二人の話を真剣に聞いて聞き終わると涙を流した。パレットはその涙を見ていてタリスタにあるアドバイスをしてきた。そのアドバイスは、この集落に伝わる術を習得するともっと強くなるというものだった。タリスタは、パレットのアドバイスを受け入れた。しばらくするとパレットとサタスンの元に誰かが来て二人は向かった。タリスタも二人の後を少し離れて付いて行った。

 パレットとサタスンの後を付いていくタリスタは、付いて行った場所で集落の人間が集まっていて何やら術の詠唱を何人かで行っているのを見た。パレットとサタスンは術の詠唱が終わるのをその近くで待っているようだった。術の詠唱が終わるとパレットと後三人が詠唱で出来た魔法陣の上に立った。すると光が魔法陣を覆い始めた。光が消えると魔法陣の中に入っていた四人の姿は消えていた。タリスタは、その光景を少し前に体験していた。タリスタはこの出来事の後、集落の長老に再び会ってパレットのアドバイス通り集落に伝わる術を教えてほしいと長老に頼み込んだ

 術に習得を頼み込んだタリスタに長老はわかったとだけ言ってきた。そう言われたタリスタは、次の日から集落に留まり術の習得に修行を受けた。術を受ける時に一緒にジェームズという人間も修行を受けていた。ジェームズという人間は、あの時にパレットと一緒に魔法陣の上に乗った三人の仲間だった人間だ。タリスタは、一緒に術を学ぶジェームズとお互いに高めながら修行の日々を続けた。最初に修行を受けた日から数十年の時が過ぎた。集落に伝わる術を全て習得したタリスタは、長老にお礼を言って集落に残るジェームズに別れを言うと本来の目的であったゼルスの封印を解く為に集落を出て魔王城へと歩き出した。

 タリスタは、ただまっすぐに魔王城に向かっている。ゼルスの封印を解く為に・・・・・・あの時の薬を持って必死になって歩き続けた。歩き続けて封印されたゼルスがいる魔王城にたどり着いた。魔王城は、あの時のままの姿で変わらず残っていた。タリスタは、ゼルスの元に急いだ。ゼルスの元にたどり着くとその姿も変わっていなかった。タリスタは、一言【またせたな】と言って封印を解く薬を封印されたゼルスに振りかけた。だが長い間、封印されていた為か薬の効果はすぐには出てこなかった。【そんなばかな!!】タリスタからそんな言葉が溢れた。タリスタは、封印されたゼルスの前で封印が解かれるのを待ち続けた。次の日も次の日も・・・・・・

 ゼルスの意識は周りを白色に囲まれた場所で長い間留まっていた。そんな時タリスタの声が聞こえたような感覚があった。聞こえた声は【そんなばかな!!】という言葉だった。その言葉に引き寄せられるように、ゼルスの意識は封印された肉体へと少しずつ少しずつ戻り始めていた。

 何日も待ち続けたある日タリスタは、封印されたゼルスの前で待っていると封印されていたゼルスの様子に異変が起きた。修行を受け強くなっていたタリスタは、気配を感じた。あの懐かしいあの気配を・・・・・・タリスタは、ゼルスを見た。すると封印が解かれ始めていた。それからさらに何日か待ち続けた。ゼルスの様子に異変から数日後ゼルスの封印が完全に解かれゼルスは動き出した。タリスタはゼルスに近づいた。ゼルスは長年の封印によって体力が弱っていてタリスタの方に倒れ込んだ。タリスタはゼルスを担いで休めるようにゼルスの部屋に連れて行った。

 ゼルスは、封印に弱っていた体力を魔王城にある自分の部屋でゆっくりと回復させていた。回復をさせていた間タリスタは、ゼルスの世話をしていた。ゼルスは、封印されていた間に時が進んでいて昔にみた光景とは少し変わっていると感じた。タリスタの様子が変わっていた封印された時よりオーラが強くなっていた。ゼルスとタリスタは、タリスタが一緒に術の習得の修行をしていたジェームズからフードを被った集団の情報を聞いていた。その情報を元に集団の行方を捜していたがわからなかった。ゼルスとタリスタは引き続きフードを被った集団の手がかりになる情報を探すとともに、この後登場するテールという人間の事も調べ始めた。

 それから5000年の時が過ぎ去っていった。あれからもテールという人間を探していた時にテリアという町にテールという人物がいてその近くにジェームズという人間がいる事が分かった。ゼルスは、その情報を知るとテールという人間に手紙を書いた。その内容は、【アースで待つ】という一言が書かれていた文書でその手紙をタリスタに渡してテリアという町に行かせた。タリスタに手紙を渡した後ゼルスは、少し前にフードを被った集団が近くまで来たのを見ていた為にまたフードを被った集団が来るのを恐れて近くの町で少しの間隠れて待つ事にした。

 タリスタは、ゼルスの手紙を持ってテリアの町まで急いだ。魔王城からテリアの町までは何日もかかっていた。タリスタがようやくテリアの町に着くとテリアの町には魔物が暴れ回っていた。タリスタは、魔物の目を見ると魔物の目は赤い色をしていた。タリスタは、その魔物を見てこの魔物は操られていると直感で感じていた。タリスタは、ゼルスの手紙をテールの家に入れるとその場所を去ろうとしていた。そんな時に三人組が現れて魔物と戦い出した。タリスタはその様子を遠くから見ていたが、目的が終わったタリスタはゼルスに赤い目の魔物が町を襲っていた事を報告する為に魔王城へと戻って行った。魔王城に戻るといるはずのゼルスがいなかった。何かあったのではと思ったタリスタは近くの町を探す事にした。

 タリスタは、近くのアースリーに行くとゼルスが建物に寄りかかって立っていた。ゼルスが寄りかかっていた場所に見覚えがあったがその事について顔に出さず寄りかかっているゼルスに話しかけテリアの町の事を報告した。その後二人で魔王城へと戻ってきてしばらくはテールが来るのを何日も待ち続けた。だがテールは、まだ来なかった。フードを被った集団が動き出したこともあっていつまでも待っているわけにはいかなかった。どうしたらいいのかをゼルスは考えていた。少しの沈黙が流れたがタリスタが集落で習得したある術を使おうと提案してきた。ゼルスはタリスタの提案を聞いて受け入れる事にした。

 タリスタが提案した術は、分身を作る術だった。タリスタは、その分身を作る術を詠唱し始めた。ゼルスは、タリスタが術の詠唱をしているのを隣で見守っていた。タリスタは術の詠唱を続けていき、二人の目の前にゼルスとタリスタの精巧な分身が出来始めていた。出来始めてからしばらくして二人の分身が完成した。完成した分身を見たゼルスは、言葉が出ないまま立っていた。完成した分身は、自立した意思を持ち姿や能力もそっくりな分身だった。ゼルスとタリスタはその完成した分身をこの場所に置いたまま分身が見える位置で様子を見ていた。数時間後に置いていた分身に話しかけてくる三人組が現れた。

 精巧な分身は、反しかけてきた三人組と会話をしていた。その様子を少し離れた場所で見ていた二人は、分身が話をしている場所に近づく集団の影が見えた。その集団を見たゼルス達は、見覚えがある集団だと気づいた。あの時のフードを被った集団だった。フードを被った集団は分身と三人組に攻撃を仕掛けていった。ゼルスは、フードを被った集団に向かって行こうとしたが、タリスタが分身と三人組に向かって行った集団とは別の集団がいる事に気が付いて向かって行こうとしていたゼルスを制止させた。ゼルスは、いきなりタリスタに止められたが、周りの状況を見ると別の集団が来ているのを確認すると向かうのを止めた。分身と三人組は、向かって来る集団と戦っていたが別の集団の姿が見えてなかった。ゼルス達は、【危ない!!】という言葉を発するのをやめて事の成り行きを見守っていた。分身と三人組が安心しきった所にフードを被った集団の別の集団が姿を現した。その集団は、ゼルスの分身目掛けて攻撃をしていった。ゼルスは、分身とはいえ自分がやられているのを悔しく思いながらもあの集団の拠点を探る為に我慢した。分身がやられた後、フードを被った集団は二手に分かれて逃げたが、アルカット神殿の方に逃げた集団とは違う集団に狙いを定めて後を追った。拠点へと向かうと考えたからだった。

 後を追ったゼルスとタリスタは、フードを被った集団に気づかれないようにオーラを抑えて集団の後を追ってフードを被った集団の拠点を見つけようとしていた。オーラは気づかれていないと思っていたゼルス達だったが、そうではなかった。フードを被った集団は、ゼルス達が抑え込んでいたオーラを感じ取っていた。フードを被った集団は、ゼルス達をあの手この手で振り切って拠点へと帰ってしまった。ゼルス達は、フードを被った集団の行動に揺さぶられあと少しの所で見失ってしまった。ゼルス達は、近くの町で情報を探そうと向かった。

 フードを被った集団を見失ったゼルス達は、近くの町まで歩き出した。集団を見失ってから近くの町まで行くと辺りは暗くなり始めていた。町には灯りが灯っていた。ゼルス達は、酒場でフードを被った集団について情報を集めようとした。だが、フードを被った集団は表立って姿を現すことがない為に情報は集まらなかった。ゼルス達は、あきらめずにフードを被った集団の情報を集めようと何日も何日も頑張っていた。しばらく経ったある日、この町に二人組の旅人が現れた。ゼルス達は、町に来た二人組の旅人の顔が見えたその時二人は驚いた。その旅人達の顔は、5000年前にパルという人間と一緒に自分を倒しに来た人間の顔に似ていた。もうその人間はいないはずがなぜ似ているのか?そんな疑問を持ちながらゼルス達は、二人に見つからないようにその旅人達の話を聞いていた。その旅人達とは少し離れていて詳しくは聞こえなかったがカオス教の拠点という言葉だけは聞き取れた。【カオス教の拠点?】ゼルス達は何の事?フードを被った集団の事か?そう思っていると二人組の旅人は、話が終わって何処かに向かおうとしていた。だが旅人は来た方向とは違う方向に行こうとしていたので、誰かに伝えようとしに行こうとしていると考えてまた戻ってくるのを待つ事にした。

 二人組の旅人が、ゼルス達がいた町を去ってからしばらくすると、去って行った旅人が戻って来た。その旅人はさらに二人の人間を連れてきていた。ゼルス達には、その二人の人間の一人には確実に見覚えがあった。あの時のパルだった。ゼルスは、何がなんだかわからなくなっていたが、タリスタは、何か思い出したかのように【そうか】と呟いた。四人はそのままある場所に向かおうとしていた。ゼルス達は、その四人組の後を急いで追った。その四人組の後を追って行くと拠点というより要塞という言葉がピッタリ合う建物が現れた。その建物は、警戒が厳重にされていて侵入が難しそうだった。先に来ていた四人組はそのカオス教の拠点周りをくまなく探していた。ゼルス達も何かないか探し始めた。

 ゼルス達は、カオス教の拠点の周りを調べていると四人組が不思議なくらい隠されていた洞窟を見つけていた。四人組は見つけたその洞窟に入っていった。ゼルス達も四人組を追って洞窟の中へと入った。洞窟の中は、そこが洞窟だと思わないほど整備されていて大きな部屋にたどり着いた。ゼルス達は周りをよく見ると見張りの人間が倒れていた。四人組が倒したのだろう・・・・・・ゼルス達は、四人組を追ってその場所をまっすぐ進んで行った。すると明かりが見えてきた。出口が見えてきて洞窟を抜けるとカオス教の拠点の中へとやって来た。先に進んでいた四人組は、もうさらに内部に入っていったようだった。ゼルス達は、四人組の後を追い続けた。四人組が進んだ先は目に見えてわかってしまった。なぜか?・・・・・・四人が進んだ先には拠点にいた人間が倒れていた。その倒れている人間がいる方向に進んで行った。ゼルス達が進み続けるとある部屋にたどり着いた。

 ゼルス達がたどり着いた部屋に入ると部屋の奥でカオス教の教祖らしい人間が術の詠唱をしていたが術の詠唱を止めた。教祖らしい人間が扉の前にいるゼルス達を見た。その一瞬の隙を教祖と戦っていた四人組の一人が見逃さずカオス教の教祖に攻撃をした。カオス教の教祖は、倒れ込んで【お前達パレットの末裔に倒されるとは・・・・・・】と言った。ゼルス達は、その言葉に言葉を失った。ゼルス達が言葉に失っている間に四人組の一人がカオス教の教祖に最後の一撃を与えた。カオス教の教祖は眠りについた。その様子を見ると四人組は、カオス教の拠点を去って行った。

 ゼルス達は、四人組がカオス教の拠点を去った後もカオス教の拠点に留まっていた。ゼルス達は、カオス教の教祖が言っていたパレットの末裔という言葉が気になっていた。タリスタは、その言葉について詳しく聞こうと集落で学んだ術を使って眠りについたカオス教の教祖を生き返らせた。カオス教の教祖は、タリスタの術のおかげで生き返ったが、体力が回復するまで時間が掛かりそうだった。タリスタは、さらに分身を作る術でカオス教の教祖の分身を作って死を偽装した。ゼルス達は、念の為に隠れてカオス教の教祖の体力が回復するまで待ち続けた。教祖の体力が回復するのを待ってしばらくした時、その部屋に入ってくる人間達が現れた。その人間達は、作った分身のカオス教の教祖の体をゆすっていた。その人間はしばらくその場に留まっていたが、後から来た拠点の人間に連れて行かれてその場を離れた。

 ゼルス達は、その人間達が去った後に少し体力を回復させたカオス教の教祖を連れてカオス教の拠点を離れた。カオス教の教祖を連れて魔王城まで戻って来たゼルス達は、魔王城の自分の部屋にカオス教の教祖を寝かせ体力が完全に回復するまでそのままにした。しばらくして体力が完全に回復したカオス教の教祖が起き上がった。その様子をタリスタが見ていてゼルスに伝えた。ぜるすは、カオス教の教祖に気になっていたパレットの末裔について尋ねた。カオス教の教祖は、パレットの末裔について語り出した。


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