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ステータス


『うにゅ……』


 クルが眠そうに眼をこすっている。


 晩御飯?はハンバーグステーキにしてみたら、大層お気に入りで、「毎日これがいい~!」とか言い出すくらい喜んでくれたのは何よりだった。

 どうせ食事をするならと、イスとテーブルを用意し、ナイフ――は怖いから無しで、フォークだけ用意して食べさせたんだけど……


 ――うん、イメージで力加減を伝えるのって難しいよね。


 俺は、割れた皿を片付け――といっても吸収するだけだが――ながら、テーブルに穿たれたフォークの跡を見つめ、クルが学習出来る子で良かったとしみじみ思い返していた。

 床に落ちたハンバーグをそのまま手で掴んで食べようとするのを押し止めたり、ようやくハンバーグを口に運んだ時はそのままフォークごと噛み砕きそうなのに気付いて慌てて止めたら、涙を浮かべて『食べちゃダメなの~』って言われて宥めるのに苦労したり――。


上着は汚れちゃったので着替えさせた。 テーブルに胸が乗っかっちゃってたのも一因だろう――テーブル少し低くするかな……


 そもそも床を引き摺った生肉の塊を食ってたんだから今更という感もあるが、進化した今は “人”として扱おうと俺は決めている。

 ともかく、悪戦苦闘の食事で時間も結構経っていたし、疲れたのとお腹が膨れたのとで眠くなっちゃったんだろう。


〈クル、おねむかい?〉

『うん……』

〈じゃあ、向こうへ行って寝るかい?〉

『ううん、おとーさんのそばがいい』

〈変身したまま寝てても大丈夫? いきなりドラゴンに戻ったりしないのかな?〉


 この狭い部屋で、あの巨体に戻られるとヤバイ――というか俺が砕けてしまう可能性がある。


『んとね、いまはこっちのほうがらくなの』


 へー、進化して人型の方がメインになったのかな? というより、進化時に人型でいたことが影響したのかも知れないな。


〈ちょっとだけ待ってなさい〉


 俺は「DP交換」で、天蓋――というか周囲を覆う天幕(間仕切り)――の付いたベッドを出す。

 今更ながら、ダンジョン内ならどこにでも出せることに気が付いたので、入口の反対側の壁際に設置する。


〈そこで横になりなさい。 人間用の寝床だから、今のクルなら気持ちよく寝られると思うよ〉

『ふく……』

〈ん?〉

『ぬいでもいい?』


 ああ! 寝るには窮屈なのか! ええっと、ちょっと待ってて――って、わあっ!

 クルは返事も待たずにぽんぽん脱ぎだしている。


〈いいから、せめてパンツは穿いて寝なさい!〉

『ふぁ~い……ふぁ……』


 半分下し掛けていたパンツを穿き直すと、クルはそのままベッドの上に倒れ込んだ。


『むぎゅ……わぁ……ふかふかだぁ……むにゃ』

〈ちゃんと布団に入って寝なさい〉

『ふぁーい……おやしゅみ……おとーしゃん……』


 クルはごそごそと布団に潜り込むとすぐにすやすやと寝息を立て始めた。

 俺は心のメモ帳にパジャマの用意と人前で裸にならないよう教える事をメモするのだった。


   ̄l ̄(__∞__)

       ̄l ̄(__∞__)


 クルが寝入った後、色々片付けやらアレコレしてたんだが……


〈えーと、「天の声」のお姉さん?〉

 ―〈……なんで管理Ⅱまで持ってて、自分の体形ぐらい管理出来ないのか――〉―


 頭の隅でずっとコレやってたんですよ?


〈おーい。 帰ってこーい。〉

 ―〈――ハッ! 「ブラ」は、ボクの「ブラ」はどうなったです?〉―


 ――もうその話は終わりました。 てか「ボクの」とか言うなし!


 ―〈……もう少し神に対する敬いとか労りとかあってもいいと思うです〉―

〈ちょっと質問なんですけど、いいでしょうか?〉

 ―〈あっさりスルーされたです!? まー、質問の内容にもよるです〉―

〈えっとですねー、さっきから何かする度にスキルが生えたり進化したり、娘に名付けたら大きくなったり、娘がパンツ被ったりブラ被ったりするんですが、何故なんでしょう?〉

 ―〈それ、最後のは全然関係なくないです?〉―


 ――ちっ!


 ―〈ともかく、それは君んとこでボクが呼び出される回数が異常に多い事と関係あるような気がするです〉―

〈ですよねー〉

 ―〈じゃあ、ステータスを確認させるです。 呼び出すだけでいいです〉―


 あれ? そうだ、【意思疎通】の効果で使えるハズなのに、色々ありすぎてすっかり忘れてたよ。

〈ステータス〉っと。


 ん? 何も出てこない? 人間側の種族にしか使えないとかだったらどうしよう…… ん? いや、なんか凄い速さで画面っぽいものがが出たり消えたりしてる。


 ―〈スキル【自己鑑定】【メニュー】の視覚情報を調整中…………完了〉―

 ―〈熟練度が規定値に到達――スキル【自己鑑定】が【鑑定Ⅰ】に進化しました〉―

 ―〈スキル【鑑定Ⅰ】【メニュー】【領域支配】―【マッピング】【マーキング】の視覚情報を統合中…………〉―


 ――長! って――

 突然、俺の視界が真っ暗になった。 そういや俺の“眼”は脳内3D映像(マッピング)だったな。


 ―〈…………完了〉―


 と同時に脳裏の視界が戻る。 んで肝心のステータス表示はまだかいのう?


 ―〈熟練度が規定値に達しました――スキル【鑑定Ⅰ】より【知ノ深淵】を派生〉―

 ―〈領域との接続を確保――視覚情報に任意の割り込み(インタラクティブ)情報(ウィンドウ)として設定…………完了〉―


 ――今度はブラックアウト無しか。


 ―〈スキル【鑑定Ⅰ】が【鑑定Ⅱ】に進化〉―

 ―〈称号『星ノ賢者』を獲得――スキル【念動】を取得〉―


 ――もう何が何やら……


 そしてようやく目の前に――というか「マップ画面」に被さるように――ステータス画面が表示された。


 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

 名前:石動 生(イスルギ イクル)

 種族: 星胚(エンブリヨ)

 年齢:――

 クラス: 迷宮核(ダンジョンコア) / 迷宮主(ダンジョンマスター)


 HP: ―― / ――

 MP: 4011 / 99999


 STR:――

 AGI:――

 VIT:――

 INT:99

 DEX:――

 MIN:99

 LUK:10


 SP:4714


 保有スキル:

 【意思疎通】【鑑定Ⅱ】【知ノ深淵】【異空間収納(アイテムボックス)

 【ゴーレムマスター          】【振動感知】

 【龍眼】【念動】

 【迷宮化】【領域支配】【メニュー】【DP変換】


 称号:

 『イレギュラー』『迷宮ノ心臓』『迷宮ノ頭脳』

 『星ノ賢者』『亜神ノ保護者(おとーさん)

 ∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽


 ―〈……このタイミングで「お仕事」するとは思わなかったです〉―


 ――あ、すみません。


視えないモノが視えてた矛盾を修正。

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