女子会②
また終わらなかった。
「本命、いるわよね」
「いますですぅ」
こう言っては何ですが、いーくんに好かれてる自信は あるですぅ。 それでも「親友」として「保留」されてるのは……
「自分ではばれてないと思ってそうなんだけど……」
「どう見てもクルちゃんが本命ですぅ」
『ん?』
おかわりのお菓子――ボク達だけ話し込んでるのも悪いかなとお子様組に出してあげた――を頬張ったクルちゃんが、自分の名前に反応してこっちを向きます。
「あ~、何でもないわ。 気にしないでゆっくり食べててね」
『ふぁ~い』
「可愛いですよねぇ」
「加えてあの凶悪なナイスバディ……」
――キリンちゃん……そこに触れるとボク達にダメージが入るですぅ。 でもキリンちゃん、元は大きかったから、成長すれば種族補正も入ってきっと大きくなるですぅ。 ダメージが入ったのはボクだけだったですぅ……
「あ、あんなのが真っ裸で、ばいんばいんで、すぐ傍にいたんですぅ。 」
「ちょ? 何動揺してるのよ? しかも本人が『およめさん』になりたがってるのよね」
「ふつーの男の人だったら、これ幸いと手を付けちゃいそうなんだけど…… ある意味人間じゃなかったからこそ理性を保ってるんでしょうね」
「生まれてしばらくの間、灰色1色の視界だって聞いたですぅ」
「テクスチャ無しの3DCGや彩色前のフィギュアみたいな感じだったのね……」
――何か謎の単語が出てきたですぅ。
「それって、何なんですぅ?」
「ああ、ごめんなさい。 私たちが元いた世界で、架空の人や物、風景なんかを本物みたいに見せる技術――これが3DCGね――と、そのための機械があったの。 で、その架空のモノを本物らしくするために質感に合わせた色を付けるんだけど、それを「テクスチャ」っていうのよ」
「つまり、その「てくすちゃ」が無いってことは……」
「無機質な単色の世界――イクルさんが見てたような――になるって訳」
「よくわかったですぅ。 もう一つの「ふぃぎゅあ」ってのは何ですぅ?」
「人形の事よ。 主に映像作品の主人公やヒロインを立体化した物で、そうね……ちょうどしーしーちゃんぐらいの大きさかしら」
「呼んだですかー?」
同じく名前に反応したシー・シーがこっちに来たですぅ。
「いえ、違うのよ。 ちょうど貴女みたいな大きさの人形の話をしてたの」
「ほえー、そんなのがあるですかー」
「その人形にも本物らしく色を付けるんだけど、その前は――」
「単色の人の形をした物体なのですぅ」
「そういうこと」
「しーしーちゃん、ごめんね」
「いえいえー」
シー・シーはクルちゃんの応援に戻っていったですぅ。 どうやらクルちゃんとぷーちゃんとが、最近教えてもらったあやとりをして遊んでるみたいですぅ。
ぷーちゃん、短い指の代わりに髪の毛を使ってるですが、時々こっそり増やしてるですぅ。
「クルちゃんが本当に大人になった時どういう選択を――まあ、「およめさん」一択だと思うけど――するか、その時まで彼はクルちゃんの「おとーさん」で居続けるでしょうね」
「本命さんがその状況だとボク達に手は……」
「出さないでしょうね」
――はうぅ。
「それと、私の事なんだけど……」
「はいですぅ」
「イクルさんは私が人間――厳密には違うかもだけど――に戻れたら、元の世界に帰そうと考えてるんだと思う」
「ボクもなんとなくそんな気がしてたですぅ」
「元の世界の夢を何度か見たりして、朝になって涙の跡に気付くことがあったりしたから……」
――寝言なんかで「帰りたい」とか「パパ」「ママ」なんてのを聞いちゃったら、いーくんは絶対に帰してあげようとするですぅ。
「確かに、妹を亡くして私まで居なくなっちゃったパパやママの事は心配で、あのまま死んじゃうのが悔しくて、帰りたいと思ってたわ」
――思ってた、なのですね。
「でも、三度彼と出会って、一緒に生活して、彼を好きだと自覚して、今ではもう離れたくないの」
「ボクもホンネを言うと、このままずっとここに居たいですぅ。 神域に戻りたくないですぅ」
「そうだったわね。 しーちゃんに比べたら私ってかなり恵まれてるんだわね」
「ああ、気にしないで下さいですぅ。 だから、ボクが上げた恩恵の事、まだ言ってないですね」
「ええ、やっぱりお互いの気持ちを確認したいから……」
「女の子にとっては、人間になることよりずっと大事だと思うですぅ」
 ̄l ̄
「3人ともごめんね。 私たちだけで話し込んじゃって」
「いえいえー、お気になさらずですよー」
『おねーちゃんもあそぼー』
((クルおねーちゃんが、あそんでくれたー))
お子様組もまだまだ元気ですぅ
「しーちゃん、ぷーちゃんとしーしーちゃんをお願い。 クルちゃん、ちょっといい?」
『なーに? おねーちゃん』
キリンちゃんがクルちゃんを呼び寄せて、何か囁いてるですぅ。
((しーちゃんのそば、きもちいー))
「そうなんですぅ?」
――そういえば、ぷーちゃんとはあまりお話してなかったですぅ。
((ぷるのからだのなか、しーちゃんとおなじー))
「神気のことですぅ? 確かボクの抜け殻が核になってるですよね?」
((そーなのー。 ちかくにいると、ほかほかー))
――言われてみれば、この子が近くにいると神気の消耗が抑えられてるような気がするですぅ。
((あっ!))
「どうしたですぅ?」
珍しくぷーちゃんが驚いてるですぅ。
((ぷるがふえた!!))
「え? えっ?」
――ど、どういう事ですぅ~?




