リビングにて
もはや不定期……
今月中はウィークデーの更新無理かも知れません。
――〈降臨〉!
3度目ともなると慣れたものである。 お互いの権限レベルが上がっている所為か、顕現に要する時間もかなり短縮されているようだ。
「来ちゃった……ですぅ」
「いや、俺が呼んだんだからね? まあ降臨時間に余裕が出来たなら、ゆっくりしていってよ」
「お泊りしようって相手に、ゆっくりしていってもないでしょうに……」
「泊まってけって言った本人が言う台詞でもないわな」
「「ぐぬぬ」」
「シー・シー、ちょっと来るですぅ」
「なんですかー? しー姉」
――?
しーちゃんがしーしーちゃんを呼び寄せたけど、2人とも黙って頷き合っているだけの様に見える。
「じゃあ、私はご飯の支度に掛かるわ。 クルちゃん、手伝ってくれる?」
『おりょーり? てつだうー』
((あじみするー))
「ぷーちゃんもお願いね」
そのまま3人連れ立ってキッチンへ向かうキリン。
「俺は手伝わなくてもいいのか?」
「つもる話もあるでしょ? しーちゃんとゆっくりお話ししてなさいよ」
「つもる話って昨日神域におじゃまして話してきたばっかだし」
「直接じゃないんでしょ? ちゃんと顔を見せてあげなさいよ」
「あ、ああ」
リビングに入ると、しーしーちゃんに案内されたのか、しーちゃんがソファに座って待っていた。 少し落ち着かないのか、キョロキョロと周りを見渡している。
「あれ? しーしーちゃんは?」
「なんか、『お邪魔したら悪いですよー』とか言って、キッチンに行っちゃったですぅ」
「そういえば、改装してからは初めてだったかな」
「間取りや広さが違っててびっくりしたですぅ」
ソファに向かいながら声をかけると、そんな返事が返って来た
「まあ、ちょっとした“気付き”でね。 DPほとんど減らさずに色々出来ることが増えたんだよ」
「その身体もですぅ?」
「やっぱり分かるのか?」
「動きがスムーズですし、その……表情も柔らかくて自然ですぅ」
そう言って少し熱を帯びた眼差しで見上げてくるしーちゃん。 なんとなく落ち着かなくて、慌てて向かいに座る。
俺は足元から繋がる糸を浮かせ、しーちゃんに見せる。
「まあ、こうして紐付きだけど、材料は全部迷宮だしね。 ところで、しーしーちゃんの眼で少しは見てたんじゃないのか?」
「うーん、何て言えばいいのか……変異してからのあの子の送ってくれる画って、いつもふわふわと揺れてるんですぅ」
「まあ、普段から飛んでるからなあ……って、ひょっとして視てると気分が悪くなってくるとか?」
「そ、そうなんですぅ! 見たいのにじっと見てられないってジレンマが……」
――それ、乗り物酔いと同じだよ。 というか神様にもそういうのがあるのな。
「飛び回ってる視点からじゃ、全体像も把握しづらいか……」
「ですぅ。 なので改めて関心してるですぅ」
「さっき、しーしーちゃんと何をしてたんだ?」
「えっとですねぇ、元分体ちゃんだからうやむやにしてたですけど、あの子はちゃんとした意思を持った別の存在ですぅ」
「だな」
「なのであの子の意思を確認したうえで、改めてボクの使徒として契約したですぅ」
「へー、じゃあ使徒としては俺の後輩になるわけか」
「使徒同士も繋がるですぅ。 あの子の居場所とか、分からないですぅ?」
言われて俺は眼を使わずに意識してみる。 確かに、方角と距離がだいたい掴める感じだ。
「眼を使わなくても、方角と距離がだいたい分かるようになってるな」
「ココだとあまり意味ないですけど、外だと便利ですぅ」
「外での連絡方法は俺も考えてたんだ」
「どんなですぅ?」
「ぷーちゃんの分体というか、髪を分けてもらってさ、各自で指に結ぶとかして中継してもらおうとかね」
「そんな事まで出来るですぅ?」
「ああ、ぷーちゃん同士だと距離は関係ないからな。 活動するのに必要な魔力も、本体から異空間を通して渡せるみたいだしな」
「ホントに便利な子ですぅ」
「以前、冗談めかして俺としーちゃんの子供みたいだって言ってたけど……」
「はうぅ」
思い出したのか、頬に手を当てていやんいやんし始めるしーちゃん。
「今じゃ本当にそうなんじゃないかって思ってる」
「!!」
驚いた顔でこちらを向くしーちゃん。 俺は今どんな顔をしてるんだろう……
「今は迷宮の眷属として、マスターである俺の事を((ごしゅじん))って慕ってくれてるけど、ああして気に入られようとしてるのか、頑張って人化を身に着けようと頑張ってるし――」
「愛玩枠として見れなくなったですぅ?」
「そうなんだよなあ。 ごめんな『愛の結晶』の方じゃなくて……」
「今更その程度でがっかりするボクじゃないですぅ」
――いや、いやんいやんしてるから気にしてるんじゃないか。
「クルちゃんの妹になりますね」
「あいつ喜ぶかなあ? キリンが来た時、『いもーとだー』って言ってたし」
「きっと喜ぶですぅ。 って事は、この話はまだ――」
「しーちゃんが最初だよ。 悪いけど今夜の女子会とやらで、それとなく話を振ってみてくれないかな?」
「正直ボクの事でいっぱいいっぱいなのですぅ。 なので、それとなくは無理かもですぅ」
「そうだよな。 ごめん! 今のは忘れてくれ」
キリンが何を考えて「女子会」なんてのをやろうと言い出したのかは分からないが、しーちゃんを呼んだのなら間違いなく恋愛がらみだろう。 そうなったらしーちゃんは根掘り葉掘り訊かれる立場になる訳で、気が気じゃないってのが本音かも知れない。
「あ、そこまでナーバスじゃないですぅ。 出来ればって事なら引き受けるですぅ」
「どのみち、キリンには釘を刺しておくよ」
「どんな釘を刺してくれるのかしら?」
「お?」
「ご飯の用意が出来たから、呼びに来たわよ」
「てっきりクルが来るもんだと思ってたよ。 まあ、なんだ。 女子会とやらであまりしーちゃんを虐めないでくれってな」
「人聞きの悪い事言わないでよ! そんな事しないわ」
「信じるぞ」
「当然よ」
「それじゃ、ご馳走にありつくとしますかね」
「ちょっと、ハードル上げないでくれる?」
――実際楽しみにしてるんだぜ?
さて、女神に何をご馳走するんだろうか?




