神域にて
昨日は更新出来なくてすみません。
期末進行とかあまりないハズだったのになあ。
〈ハイ〉をポチってから向こうに連絡するのを忘れてる事に気が付いた。
――やべ。 でもさっきのメッセージも分体ちゃんから発せられた筈だから、気付いてると思うんだけど……
――んん!
どうやら、神域の分体ちゃんと接続出来たようだが、白いはずの部屋(?)なのに視界が暗く、おまけに何か柔らかいもので押し潰されてるような圧迫感がある。
――視覚、聴覚に加えて触覚もシンクロしてるのか? いや!
ひょっとしてと思ったが、どうやら身体が動かせる――みたいだが、やはり物理的に押し潰されてるようで、もぞもぞと身じろぎするのが精いっぱいだ。
「いーくん?」
頭の上の方から声が聞こえた。
「しーちゃん? 悪いけど、分体ちゃんがいつもの場所で押し潰されてるみたいなんだ。 解放してくれるとありがたいんだけど――」
「ダメですぅ!」
まさかのダメ出し?
「り、理由を聞かせてもらっても?」
「ごめんなさいですぅ。 今の部屋はちょっと見せられなくて……」
「いや、見るも何も神域って真っ白にしか見えない――」
「いーくん!」
「――はい」
「今、いーくんは神域の住人である女神の分体ちゃんを通して視てるですぅ」
「つまり……」
「普段のボクと同じ様に見えるはずなのですぅ」
――そういう事か。
「それは分かったんだけど、なぜこんな状況に?」
「……なんとか見られる様に部屋の模様替えをしようと、頑張ってたですぅ」
「で、終わらない内に俺が来ちゃったと?」
「いきなりだったので、とっさに目を塞ぐにはこうするしかなかったですぅ」
――バタバタしてる最中にいきなり〈神域にアクセスしますか〉のメッセージを分体ちゃんがしゃべったから、その場で出来る最速の目隠しを選択したんだな。 それはそうと……
「しーちゃん?」
「なんですぅ?」
「なんでノーブラなんだ?」
「!! あははは……やっぱり分かりますぅ?」
「予備も要るだろうと数着渡したと思うんだけど?」
「いーくんがくれたものですぅ。 どうしても普段使いには出来ないですぅ」
「普段使わずにいつ使うんだよ!」
竜王もそうだけど、この世界の住人って、貰い物はまず保存用なのか?
「そ、それは…… ……」
――いや、この状況って普通は勝負中なんじゃね?
「取り敢えず、状況は理解した。 信用してもらうしかないけど、眼を瞑ってる――いや、視覚を切るから、解放してくれないかな?」
「そ、それなんですけどぉ……出来ればこのままでお願いしたいですぅ」
「え!? いや、なんで?」
「……そのですね、ボクの気分的には好きな人と抱き合ってるようなものなんですぅ」
「…………」
「あっちで本当のいーくんとなんて、今はまだ、とてもじゃないけど出来そうにもないんですぅ」
「なあ?」
「……それは訊いちゃダメですよぅ。 ボクは落ちたんですぅ」
「…………」
「こっちだと少しは大胆になれるですぅ。 なので、もう少しこのままで……」
――あーもう!
「分かったよ。 だからせめてもうちょっと緩めてくれないか?」
「はいですぅ……だけど、そのぅ、あまりもぞもぞ動かないで欲しいですぅ。 ……」
「ご、ごめん」
「ボクの方こそ、わがまま言ってごめんなさいですぅ」
 ̄l ̄
「なるほど……思ってたよりも深刻なんだな……」
「ですぅ」
しーちゃんから、この世界、とりわけ聖教国周辺の事情を聞くことが出来た。
Σの様な形をした大陸――>部分のちょっと右側にこの島がある――の中央部に竜王の棲む山があり、北の大陸に聖教国とエルフの森、南の大陸に王国と獣人族の支配する密林地帯が位置しているらしい。
この星――この世界でも球形の天体のようだ――の裏側にはもう一つ巨大な大陸があるのだが、全域が砂漠化しており、人の住めない「死の大地」として認識されているらしい。
神様なのに実態を把握出来ないのかと、疑問に思ったんだが、人のいない地域は、神様――というより神族か――が糧としている人の信仰等から生まれる精神エネルギーが無いために、神様も近づけないのだそうだ。
――この世界を神様が創った訳ではないようだな。 むしろ神様もこの世界の住人なのか?
元々、北の大陸の小国だった聖教国が強大な力を持つに至ったのは18年前。 大陸中央部から拡大する、迷宮を始めとした魔の領域に対抗する為、神授されたという召喚の儀によって異世界から「聖女」が召喚されたことに始まる。
時を同じくして王国に現れた「勇者」と共に幾多の迷宮を討伐し、魔の山の竜王をも退け、魔王を封印したという。 ただ、「聖女」「勇者」共にその後消息を絶ってしまう。
勇者の未帰還を受け、守りに入った王国とは逆に、聖教国はその後も討伐隊を組織しては送り出すことを繰り返し、周辺の人々から頼られると共に、その信者を増やしていったのだ。
ただ、聖教国は人族至上主義的な意識が強く、獣人やエルフ、ドワーフなどの亜人を見下す風潮があったが、ここ数年その風潮が強くなり、今や人族でない者はほぼ奴隷扱いにまでなっているらしい。
――聖女を道具扱いする事を考え出したのもこの頃からだろう。 裏で糸を引いてるのが何者かって事になるんだが……
「けど、聖教国って神様の誰かを信仰してるんだろ? その神様は現状をどう理解してるんだ?」
「それなんですぅ。 その神様――大層なお爺様なんですぅ――は既に信仰神は引退しちゃってるんですぅ」
「なんだそりゃ? じゃあ、その後を継いだ奴が怪しいんじゃないのか?」
「なんですけどぉ、誰も知らないんですぅ」
「少なくともしーちゃんが訊ける範囲の一般の神様は欺ける立場に居るってことか」
「そうみたいですぅ。 肝心なところで役立たずですぅ」
「身動き一つ取れない身で恰好つかないけど、気にするなよ」
「いーくん……」
「わ! ちょ、力を込めないで! く、苦しい……」
「あ! ご、ごめんなさいですぅ」
――ホントは頭の一つでもポンと叩きたいところだったんだけど、胸に押し当てられてる状態じゃ、恰好つかないよなあ。




