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再会

またまた遅くなりました。


〈クル、もう少し高く飛んでくれるか?〉

(はーい!)


 俺はもう少し上空から、この「大陸」の全容を見たかった。


 ――なるほど……な。

 大陸中央に位置する魔の山の勢力圏が、海岸線まで及んでいることが不思議だったが、どうやら南北に大きな大陸の中央部が括れている形になっており、そこに「魔の山」が位置しているようだ。

 岬の周辺は荒野だったが、疎らな草原や森を経てすぐに鬱蒼と生い茂る密林へと変わり、その広大な密林の中央に岩肌を剥きだしにした巨大な「魔の山」の山塊が聳え立っていた。


 その山の頂に向かって真っすぐに飛ぶ。 山に近づくにつれ、その山体の陰に隠れていた大陸の反対側がちらと見えた。

 ――砂漠か……

 山の反対側は見渡す限りの砂の海だった。


 ――おっと。

 気が付くと、周りに鳥や鳥っぽいもの(・・・・・・)が遠巻きに集まって来ていた。

 ――クルが気にしてないようだから大丈夫だろう。


 山に近づくにつれ、徐々に高度を下げていく。 麓の方に入口があるんだろうか?

 そして、眼前に「魔の山」の山肌が迫ってきた時、山肌の裾から大きな影が飛び出してきた。

 ――飛龍か。


 その飛龍は革で作られた馬具のようなものを身に着けている。 そして、その背には人影があった。

 まず、褐色の肌が目を引いた。 次いで尖った長い耳。

 ――ダークエルフ、しかも女性っぽいな。 そういやこの世界の種族はざっと“(あいつ)”に聞いてたけど、ダークエルフとかは挙がってなかったな……一括りで「魔族」ってしてるっぽかった。


 その人影は、怯えているのか中々近寄ってこない飛龍をなんとか宥めようとしているように見える。

 しばらくして、ようやく飛龍が近づいてきた。


「本当に嬢なのか? その姿は……」


 人影が確認するように問い、クルが頷いた。 まあ、今の姿は前とすっかり変わってるからなあ。

 竜王(おかーさん)がある程度説明はしたかも知れないけど、すぐには納得出来ないかもしれないな。


「案内する。 着いてきて下さい」


 そう告げると、飛龍は向きを変え、山の更に上の方へと登っていく。 他にも入口があるようだ。


(まおーちゃんのおせわしてるひとなの)

〈へ~、 こっちから話しかけないのは、言葉が分からないからかな?〉

(うん。【じんか】してないときはあたしのいってることわかんないみたいなの)


 そんな話をしつつ、山をぐるっと回っていく。 普通に飛ぶと、案内を置き去りにしそうになるので、苦労しながらクルはゆっくりと飛んで着いていく。

 やがて、山の反対側に口を開けた洞窟が見え、その前の少し開けた場所――断崖絶壁の上だが――に着地する。


 ――うわ!

 目の前が真っ白に光ったかと思うと、再び全身を撫でまわされるような感覚に襲われる。

 光が晴れたとき、目を丸くして驚いているダークエルフのお姉さんの姿が目に映った。


「あの、本当に嬢なの? というか……なんて立派な……」

『うん! おかーさんにあいにきたんだよ』


〈クル、裸ん坊だぞ?〉

(でも、おうちではいつもはだかんぼだったよ?)

〈それはクルがまだちっちゃかったから……って、ひょっとして、おかーさんもなのか?〉

(ん?)

〈おかーさんが【人化】した時って、いつも裸だったの?〉

(そーだよ)


 ――まあ、ある程度予想の付く話ではある。 それに、娘の実家(変な表現だが)の流儀に――ましてや竜王(おかーさん)相手に――口出しする理由も勇気も無いわけで……


「と、とにかくこっちへ」


 ダークエルフのお姉さんはそういって洞窟の中へ入っていった。 クルが裸なのは仕方がないと分かっているようだ。

 クルもすぐ後ろを着いていく。


 最初こそ洞窟だが、すぐに岩肌は石壁になり、枝分かれした通路の先にはいくつかの扉が見える。 竜王の棲み家だけあって、この迷宮は長い年月をかけて大きくしていったのだろう。

 途中広間を抜けたりしながら、石壁の通路を進み、一際大きな扉の前で、案内のお姉さんが振り返った。


「この中でお待ちです」

『わかったー ありがとー』


 クルは返事と共に扉に手を掛け、押し開いていく。


『おかえりなさい、クルちゃん。 びっくりするほど大きくなったわね。 うふふ』


 部屋の奥で待っていたのは巨大なドラゴン――ではなく人影だった。 クルに良く似た銀の髪が後頭部で一房に纏められている。 長さはやはり腰まで届くくらいだ。 しかし、それよりも――。


『イクルさんでしたわね。 初めましてでいいかしら。 私がこの子の母親です』

〈は、初めまして。 娘さんに名前を付けたらこんな事になってしまって……〉

『かまいませんわ。 むしろこんなに立派にしてもらえるなんて感謝いたしますわ』

〈そんな……〉


 会話しながらも、今一つ集中出来ない。 目の前の光景が邪魔をする。


『あなたが元人間のようでしたので、裸では失礼かと思って、私も久しぶりにあの人(・・・)に貰った服を着てみたんですけど、どうかしら?』

〈す、すごくお似合いだと思います〉


『おかーさーん!』


 クルが待ちきれなくなったのか、竜王(おかーさん)の下へ走り出した。 胸は左手で押さえているのでぶるんぶるんは無い。

 ――ちょ? 今のおかーさんに近づくのは非常に困る! ――とはいっても母娘の再会を邪魔する訳にもいかない。

 目の前に迫ってくる竜王(おかーさん)とその身に纏ったピンクの布。




 ああもう! ――なんで裸エプロンなんだよ~~~~!?


もうやだ! この母娘!


∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽

クルに良く似た銀の髪が~ から描写が抜けていたのを修正。

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