エピローグ
数日経ってその剣をアルナイルはガイアに渡したが事情を話してガイアはアルタイルに渡そうとした。アルタイルの方が星海を飛び回り、様々な星雲や星団を旅すると考えたのだが。
麗かな昼下がりセプテント家の2階のテラスで、紅茶をシーリスと楽しんでいるアルタイルは静かにカップを置きガイアに言った。
「ガイアちん
あんたが助けたんだから
最後まで責任取りなさいよ
人としていれるのは
ほんのちょっとなんだから
その間にセプテントリオの綺麗な所に
沢山連れてってあげれば良いじゃん
アルタイルがそう言いシーリスが言った。
「そうよ
星海なんてあなたが
また転生すれば
幾らでも見れるんだから
今しか無い時をその子と大切にしなさい」
シーリスが紫から教わったことと重ねて言った。
「おまえら……」
ガイアがアルタイルとシーリスが他人事の様に言った事を、睨みながら言ったがステラがエントリアとお茶菓子を持って来て言った。
「いいじゃない
また出かけようよ
色んな所に私も行きたいし」
「ステラ……」
ガイアがステラの姿を見て驚いている、あれだけ嫌がっていた、メイド服を着ている他のメイド服とは違い、サラスが買ってきた特注品なのが一眼で解る。
アルタイルはあまりの姿にポカンとしている。
シーリスは、へぇ似合うじゃない、と言う顔をしている。
屋敷の庭ではアルナイルが剣の中から現れたコネクトと仲良くお喋りをしている。
コネクトはアルナイルの記憶を一つ食べてしまっているが、それをアルナイルは聞こうとしなかった。
「結局アルナイルは
聞こうとしないのだな」
ステラの後ろからアル・スハイルがステラとお揃いのメイド服を着て現れた。
その姿を見てシーリスはぷっと吹きそうになり、アル・スハイルが嫌な顔をする。
アルタイルは信じられない物を見たかの様な顔をしている。
アル・スハイルは言うまでもなくステラがメイド服を勧めて来たことを、全力で拒否したが、結局着せられたのだ。
アル・スハイルがくるっと振り返り、着替える為にその場を離れようとするがステラがアル・スハイルを捕まえる。
「だから嫌じゃと言ったのだ」
アル・スハイルが言いステラが言った。
「たまにはいいじゃない
お姉ちゃんだって
可愛い服も似合うんだからさ」
笑顔でステラが言いサラスの声が聞こえてきた。
「おぉぉぉぉ
可愛い我が……」
ベキッ‼︎
サラスが可愛らしい姿に変わった二人にを抱きしめようとしたが、ステラとアル・スハイルの二人がサラスの顔に両側からハイキックを入れ、サラスは白目を向いて倒れる。
「……」
アルタイルはベキッと言う音で目が飛び出る様に驚いたがシーリスが静かに言う。
「大丈夫よ
大大星があの位で……」
シーリスは大大星が簡単に死ぬ筈ないと、そう言うつもりであったが驚いた顔をして言葉が止まる。
「あなた
私も着てあげますから
娘に飛びつくのはやめて下さい」
ミアプラが現れ少し困った顔で言い、命を送っている、どうやら死にかけた様だ。
そしてミアプラが傷を癒し、気を失ったサラスをメイド達が連れて行く。
そんな穏やかな?時をガイア達は過ごしていた。
「ねぇアルナイル?
私が食べちゃった記憶……
知りたくないの?」
コネクトがアルナイルに聞いた。
「うん……
それを知っちゃったら
なんか
戻れない気がするんだぁ……」
アルナイルは広がる青空を見上げながら優しく微笑んで言った。
「そう…でも……」
コネクトは知るべきだと思って更に聞こうとしたが、アルナイルが言った。
「ありがとう
私達を守ってくれて
今が楽しいから
このまま皆んなが
仲良くなってくれたらいいなぁって
私はそう思うの
だから気にしないでいいよ」
アルナイルはステラとの勝負も忘れてはいなかった、だけどその食べられてしまった記憶を思い出したら、その勝負は出来ない気がしていた。
そして何よりも今のみんなとの関係が変わってしまう、そんな気がしていたのだ。
その記憶は自分の星のカケラからアル・スハイルとアル・ムーリフを生み出し、アル・カストルに預けた記憶であった。
アルナイルが今のみんなとの関係を、とても大切にしているのをコネクトは解っていて、それ以上それを聞こうとはしなかった。
「今度南の方に行こうよっ!
ずっとあったかい所で
海が綺麗な所に遊びにいかない⁉︎」
アルナイルがコネクトを旅に誘った。
「はいっ!」
コネクトが元気に返事をした。
「まったくあいつら
俺たちの苦労を知らないで
何やってんだか……」
ガイアが2階のテラスから二人を見て言った。
「そちが何を苦労したのじゃ?」
メイド姿のアル・スハイルが言った。
「なんもしてねぇな」
ガイアもあの時一番必死になっていたアル・スハイルに言われ、そう小さく笑って言った。
「ならば良い…今夜話がある……
ちと余の部屋に来るが良い」
「はぁ?なんだよ話って」
アル・スハイルがガイアを自分の部屋に呼び出して来てガイアは聞いた。
「つべこべ言わずに来るが良い……」
アル・スハイルはそう言い、服を着替えにテラスから去って行った。
「ステラはなんか知ってるのか?」
ガイアが聞きステラが言った。
「さぁ?」
ステラは知っているがそう答えた。
その夜、ガイアは頭をかきながらアル・スハイルの部屋の前まで来て何かを考えていた、アル・スハイルに絡まれる事は何も身に覚えが無く困惑しながら扉をノックした。
コンコンッ。
「来たぞ入っていいか?」
「構わぬ入るが良い」
静かな声でアル・スハイルが返事をした。
ガイアは扉を開け部屋に入る、明かりは無く暗い部屋の中、窓から入る月明かりが美しく、部屋は静かであった。
「なんだよまったく
あかりくらい付けろよ」
ガイアがそう言いながら部屋の奥に入り、窓の脇にある燭台に近づいた。
すると背後の扉が音を立てて誰かに閉じられた。
ガイアは慌てて振り返るとそこにアル・スハイルがいた。
「ガイア……
話と言うのは他でもない……」
アル・スハイルがそう言い、暗い部屋の中静かに歩みよって来る。
「余のことをどう思っている?」
アル・スハイルが聞いて来た、暗闇に紛れその部屋に隠れているステラが、アル・スハイルがからかいながら聞こうとしているのに気付いて鼻で小さく笑う。
「はぁ?
なんとも思ってねぇよ
わりぃけど
そんな話はパスっじゃぁな」
ガイアは当然ステラのことがある為、そう言い部屋を出ようとし、入り口に向かうが、入り口の方から向かって来るアル・スハイルが、静かにとサーベルを抜いてガイアに向けて突きつけて来る。
「戻れ……
余の話は終わっていない」
アル・スハイルが静かに言った。
「ちょっちょっとまてっ!
何マジになってんだよっ‼︎‼︎」
ガイアが言うが闇の奥からもう一人の気配がし、剣を抜いて歩み寄って来るのをガイアは感じた、間違いなくそれはステラだった。
「わたしも聞きたいのよ
私達のことをどう思ってるのよ」
ステラもアル・スハイルに合わせてガイアをからかうが、鈍感なガイアは二人が何を聞きたいのか、あらぬ方向に考える、本気で焦っている。
ガイアは一歩一歩後ろに下がる、昼間のサラスがのされた姿が頭によぎり迂闊な事は言えない。
(これ……
詰んでねぇか……)
ガイアはそう思った。
この部屋にテラスはない、よって窓も小さい、ただ月明かりが優しく入り雰囲気はいいが、そう言う話ではない。
ガイアには選択肢が思い浮かばずただ後ろに下がるしかなかった。
それを追い詰める様にアル・スハイルが言った。
「我ら姉妹をどう思っておる?」
「どうって……」
ガイアが言いステラが助け舟を出すように聞いた。
「私達のお父さんなの?」
それを聞いてガイアはやっとアル・スハイルが聞きたいことを察した。
「はぁっ⁉︎⁉︎」
何を言ってんだと言う様にガイアは反応した。
「ベガであった時
スピカと恋仲であったのだろう?」
アル・スハイルが冷たく聞いた、だがサーベルを突きつけたまま歩み寄ってくる。
ステラもその先は聞きたくてサーベルをガイアに突きつけて来た。
「そこまで進んでねぇよっ!」
ガイアが思わず叫んだ。
「まことか?」
アル・スハイルはそれを聞いて、ガイアならあり得ると思った様に小さく笑いながら聞いた。
ガイアはそれを聞いて馬鹿にされた様に感じ、二人を掴もうとした。
「おまえ…ら……」
その瞬間、ステラとアル・スハイルのサーベルの刃が息を合わせたかの様にガイアの喉に触れ、ガイアは息を呑み止まった。
「おぬしも
この場で我らを襲おうとな
その度胸は
ステラだけに見せるが良い」
アル・スハイルがそう微笑んで言った、彼女はステラとガイアを応援していた、そして何よりも気がかりな、アル・スハイルとアル・ムーリフの姉妹が、スピカとガイアの間に生まれたのかを知りたかったのだ。
「おっおう……」
ガイアはアル・スハイルの見せた優しい微笑みに先程の勢いは消え、ステラは僅かに顔を赤く染めていた。
そしてアル・スハイルとステラが持つサーベルを見て、ガイアは静かに微笑んだ。
二人が持つサーベルが星鉄塊で出来た新しいサーベルで、アル・スハイルのサーベルの刀身はほのかな紫色をしていて、ステラが持つサーベルの刀身もほのかに赤い色をしている。
二人がこの星海の平和と安寧を願い送りあったサーベルであった。
「まったく……
こんな事で
そのサーベルを使うんじゃねぇよ」
ガイアが笑いながら言った。
「良いではないか
そなたらの事は余の願いでもある
では……
余は星海でそなたらの帰りを
待つとすかのぉ」
アル・スハイルはそう言い、サーベルを鞘に収め部屋から出て行こうとした時、ふと立ち止まりガイアに言った。
「そうじゃ……
ステラのアルナイルとの勝負が
どうなろうと
余は知らぬが……
ステラを泣かすでないぞ
その時はどうなるか
解っておるな……」
アル・スハイルが冷たい殺気を放ち静かにガイアに言った。
「あぁ解ってるさ」
ガイアがそう答え、アル・スハイルは微笑んで部屋から静かに出て行ったが、ステラが呟いた。
「お姉ちゃんそれ……」
ステラはアル・スハイルの殺気でガイアに選択肢が無く、勝負にならない様な気がしていた。
そんな事はよそにアル・スハイルはアルタイルに星海に帰ることを伝え、その晩のうちにアトリアロフに向かって飛び立って行った。
一方星海では。
「ネプチューンさまぁ
今日の夕飯は外食にしませんか?」
ヴィーナスがネプチューンに聞いた、ヴィーナスはネプチューンと二人でアトリアロフの被害の修繕の為にアトリアロフに滞在していたのだ。
「あぁそうしようか何処に行く?」
ネプチューンが応えた。
ヴィーナスはネプチューンの優しさに惹かれハダルでは無く、今度はネプチューンを想い始めていた、ネプチューンも傷が癒えたヴィーナスの美しさに惹かれ、恋心を寄せ始めていた。
性格に難があるヴィーナスだが、ネプチューンはヴィーナスを立てることを忘れず、周りも気配り出来て、意外と上手くやっていけそうであった。
星海に平穏な時が流れ、メビウスはこれからの星海を考えスピカの想いを汲んだ方法をまとめた巻物を作り、自らの星から飛び立ちセプテントリオに向かおうとしたが、アトリアロフに行く事にした。
「最初はやっぱり
アル・スハイルに見せた方がいいわね
あの子頭がいいし
意見もあったら聞きたいわね」
それはメビウスが大大星でない者に、初めて意見を求めた時であった。
「初めてですね
あなたが
私の屋敷を訪ねてくれるのは」
アル・スハイルがメビウスが来たのに気付いて屋敷から出て来て、優しく微笑んで言った、いつもの赤いラインの入ったコートは着ていなく、白いワンピースを着ている、身のこなしもおしとやかで、清楚な空気を放っている。
「アル…スハイル……なの?」
メビウスが聞いた。
メビウスは驚かされた、今までのアル・スハイルでは無い、だがそれが本当の姿、あの日に奪われた自然な一人の少女の姿であった。
「えぇ……
わたしが剣を振ることもないかなって
それにやっとゆっくり出来るんです
色んな服もきてみたいし……
似合いませんか?」
アル・スハイルが言い、メビウスも優しい目で静かにその少女を見ていた。
「ほんとに……
何を着ても似合うんじゃない?
せっかくだから
後で街にお茶しに行きましょ」
メビウスがやっと平和が訪れたことを実感していた、今まで普通に過ごしたかったが戦い続けた一人の少女がそこにいたのだ。
「はい」
アル・スハイルが可愛らしく返事をし、メビウスが微笑んで言った。
「ちょっとこれを見てくれないかしら?」
メビウスがそう言い屋敷の庭師にあるテーブルに、持って来た巻物を広げた。
二人はその巻物をみながら、互いに初めて自分の考えてることを話しあっていた。
「さっ出発しようぜっ!」
数日後、セプテントリオでガイアが明るく勢いよく言った。
ガイア、ステラ、アルナイル、そしてガイアは背中にコネクトの剣を背負っている。
新しく楽しむだけの旅に四人は旅だって行った。
ねぇねぇなんで旅にでたの?ねぇねぇどおして旅に出たの? 完
こんにちは〜神歌〜です。
つたない作品ですが最後まで御愛読していただき誠に感謝しております。
本当にありがとうございます。
また今後も作品を書いていきますので、また新しい作品を御愛読頂ければ幸せに思います。
ではまた宜しくお願いいたしますm(_ _)m




