事の顛末(裏)1
短いです。今日中にこの章の終わりまで行きたいところ。
ハァハァ、と獣じみた呼吸が聞こえる。
迫る触手。右手を振るうとそれだけで、触手の群れは肉片へとなり果てる。
体は前へ。回避は考えず、持ち前の防御力と腕力で無理矢理道をこじ開けていく。
前に進むほど、触手の抵抗は強くなっていく。
右手の剣と左手の銃、その二つだけでは処理しきれなくなっていく。
その鎧に突き刺さろうと、触手の先端を突き立てるが、膨大なHPの壁に阻まれ弾かれる。
肉の壁を突き破り、触手の大樹の前に立つ。
木の枝に生えた眼が一斉にこちらを見る。そこに浮かぶのは恐れの感情。
それらを一切無視し『それ』は両手をその幹に突き刺し、そしてその両手を広げる。
『■■■■■■■■ッッッ!!!!!!!!』
この世のものと思えない悲鳴と共に、両手に伝わってくるのはブチブチ、と肉を割く感覚。青い液体が噴き出し、その鎧を青く染めていく。
そんなことを気にせず『それ』は、両手を使って幹をかき分ける。
そして、終点へとたどり着く。
巨大な木の幹の中央。そこにあるのは一段と大きな赤い目玉。
それがこの木の核なのだと、『それ』の本能は悟る。
『それ』は剣を構え、核に向けて剣を振り下ろす。
その剣が突き刺さるまでの一瞬の間。その恐怖に歪んだ瞳と目が合う。
重なり合うその視線。その瞳に映る『それ』の姿はまさに異形。
黒に近い緑の甲冑。その姿はそこまで変なものではない。しかし、発せられる狂気に満ちたその空気は人間が発せられるようなものではない。
その最も異様な空気を発するのはその瞳、その感情を現すように歪みに歪み切ったその瞳。
眼はまさしく、朽野の眼、そのものだった。
■□■□
気が付くと視界に映るのは、テーブルの木目。
どうやら、飲み過ぎて意識が飛んだらしい。テーブルの冷たさが不必要に熱くなった体を冷やしてくれる。
気分は最悪。冷や汗が頬を伝い、口の中には僅かな酸味が残っている。
飲み過ぎに続き、気分が悪くなる夢を見たのが悪かったらしい。ズキズキと痛む頭を押さえて起き上がる。
そこは居酒屋。月歌以外の男衆は酔いつぶれ起きる様子はない。その月歌もつまらなそうに女性陣の席を見ている。
そして、正面を座る女性の席。そこに目を向けると朽野の視線は一瞬鋭くなり、そして次の瞬間、気だるげなものに切り替わる。
「はぁ、何というか、なんでこんな辺境まできていいのかよ。お前」
「うん、随分な態度だね。先輩に対する経緯が足りないな。君は」
「あー、先輩だったのは遠い昔のことだ。年齢的には俺のほうが上なんだから俺を敬え」
そこにいるはずの女達は大きく様変わりしていた。
5人から3人に。そして、前の女性陣より存在感は断然増している。
変わらずにいるのは左側に座る都子のみ、しかし、彼女はテーブルに体を預け、気持ちよさそうな寝息を立てている。
右側に座るのは、金髪碧眼の夜の蝶である百合。ひらひらとこちらに向かって手を振っている。
そして、その中央にいるのは、20代前半と思わしき女性。黒髪をショートに纏めた女性。黒のサングラスに目を隠し口元にはにやり、とした笑みを浮かべている。
女性にしては長身。黒のスーツに身を包んでおり、その脇には特徴的な剣が置かれている。
金色に輝く、目がチカチカする剣。こんな悪趣味な剣を使っているのはこの神奈川では一人しかいない。
「あーあー、酷いね。君はこの国の王に向かってこの言い草。不敬罪で死刑ね」
にやにや、と笑いながらいう女に朽野は大げさに肩を竦める。
「昔馴染みが暴君と化してしまった。こりゃ、また反乱軍でも作るしかないなぁ」
その言葉に店内の空気は一瞬緊張に包まれる。
どうやら、この店内には『案山子』としての朽野を知っている者が紛れ込んでいるようだ。
店内を見渡す。
店内目が虚ろな客達と、お酒には一切手を付けない無言な客の2種類。
目が虚ろな客は百合によって催眠術でもかけられたのだろう。都子や阿部達三人が寝ているのも恐らくは催眠術かなにか。
ここで話される内容を聞かれない為の処置だろう。
そして、無言の客達。彼らはこちらには一切目を向けないが、しかし意識は確実にこちらを向いている。
恐らく、中央の騎士達。高レベルであり尚且つ実践も多く積んだ猛者達だ。
見覚えのある者が多い。怯えのような感情を向ける者もいれば、怒りのような感情を向ける者。或いは憧れに似た感情を向ける者もいる。
朽野が見覚えがあるということは、動乱時、円卓の中枢、もしくは最前線にいた者達ということだ。
彼らは護衛。そんな猛者共をほいほいと護衛に使える者など目の前の女ぐらいだ。
「ともあれ、久しぶり、朝倉涼葉。それとも、神奈川国王閣下とお呼びしたほうがよろしいですかね?」
最近、テンション低下で執筆速度低下中
……褒めてくれてもええのよ?(ぇ?




