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今回は短めです。

落ちる。

落ちる。

どこまでも落ちていく。


(こ、こは?)

朽野が眼を開けるとそこに広がるのは暗闇だった。

どちらが上か下か、広いのか、狭いのか。

黒に塗りつぶされたこの空間、それさえも解らない。


朽野は虚ろになりつつある意識の中、何があったか思い出す。

(ああ、死んだのか)


身体の内部から食い荒らされ、首をちぎられた。

あの状態で生き残れる生き物がいたら見てみたいものだ。

そう笑い飛ばそうとするが、無いはずの身体は恐怖に震える。


朽野伸也は死を誰よりも恐れる。

未知であるがゆえの恐怖ではない。その先に待つものを理解しているからだ。

落下していく身体。その底には何も無い。

ただの無。そこには痛みも、苦しみもない。

完全に溶けて、その無と一体化していく。

指先から感覚が薄れていく。自分自身が霧散していくような感覚。


朽野は思う。

恐ろしい、と。このまま自身が霧散しきったらこの感情さえも消え失せてしまうのだから。

この感覚は何度も味わったことがあるが未だ慣れない。


自我が希薄になる。

恐ろしいと感じる心さえ、消え失せそうな事実が余計に朽野の中に恐怖心がかき立てられる。

死んだらどうなるか?

誰もが考えるこの疑問に対し、朽野は誰よりもはっきりと答えることが出来る。

死の先、そこにあるのはどこまでも広がる無でしかない。


ふと、落下が止まる。

霧散しつつある意識が、目の前の気配を感じ取る。

視界は暗闇の中、黒以外の何も朽野の眼には映し出さない。

しかし、朽野はそこにいるのが何なのか、理解している。

だから、『それ』に向かって笑いかける。


「たっく、迎えに来るのが遅すぎだぞ。運営」


朽野に取って、後悔の象徴とも言えるその存在に手を伸ばし、そして意識は一気に反転した。



◇◆◇◆


ダラスはその光景をはっきりと目撃していた。

ぐちゃぐちゃ、と触手の群れが朽野の身体を咀嚼する。

どうしようも無い死。もはやそれは疑いようもない。


しかし、何故か嫌な予感が脳裏に残る。

肝心な何かを見落としたかのような感覚。


ダラスは嫌な予感を追い払うように首を振る。

すでに、朽野の身体は触手に食い荒らされ、残された痕跡は、周囲に残る血溜まりのみ。

剣で切られたとか、そんなのとは比べものにならないレベルの消滅。


この状況から復活出来るなど、まず人間では無い。

だが、最後の瞬間、あの男はなんと言っていた?

声は聞こえない。しかし、その口の動きからある程度想像がつく。

あの時、朽野が呟いた言葉、あれは……


≪深刻なエラーを確認≫


突然流れ出すアナウンス。


ユ■ドラシル(■ステム)へのハッ■■グを確認。輪■の理に異■が発生。警告します。このスキ■の使用は、ゲームのルール上禁■され■■されており、ゲーム規■を大いに逸■してお■ます。スキ■■使用をた■■に中止し■■ださい。くり■し、警告、しま…し■、しま■■■ま、しし■しししししししし■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■≫

狂ったかのように鳴り響くアナウンスと共に触手の一体が一体がびくり、と跳ね上がる。

胴体部分が膨れあがる。まるで、突如そこ巨大な何かが生まれたかのよう。

くちゅり、と一本の手がその胴体を突き破る。

血で濡れた黒い手甲。そして、もう一本、手甲がその胴体に生える。


「■■■■■■■■■■■ッッッ!!!!」


その触手の中から響き渡る『何か』の咆哮。

それと同時に、触手の身体が爆ぜる。


地面に降り注ぐ、血と肉の雨。

その中心ににいるのは、一体の甲冑。

血に染まった黒い甲冑。無駄を剃り落とした鋭角な鎧。

それはまるで一本の剣のよう。

(いや、それよりも……)


その甲冑、一見黒色に見えるが光の具合によっては緑にも見える。

黒に近い緑。しかし、いくら黒に近かろうと緑は緑だ。

そして、その右手には突剣、左手には銃が握られている。

その武器には見覚えがあった。

そして、この武器を持っていた者は最後の瞬間、こう言ったのだ。


『条件は整った』と


「あは、あはははは、そうか、そうかまんまと騙された。お前が、お前こそがっ!!」


『フィールドモンスター:緑の騎士が出現しました』


「緑の騎士っ!!」



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