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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第6章〜魔五国連合蹂躙
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〜第16話〜魔五国連合蹂躙(第6章完)

 天井が抜けた玉座の間。

 頭上から差し込む明かりは、太陽ではなく月明かりだった。

 ここでパチパチという音が響いた。

 それは玉座に座るグルスの王、ナダの者だった。


「見事だ。魔王レオンよ」


 玉座の間、そこには大の字で横たわるダックワース。そして、ぼんやりと立つレオンがいた。

 レオンは目をパチクリさせた。


「あのお、これは……」


 レオンは何がなんだかわからなかった。ダックワースの攻撃を受け意識を失ってから自分が何をしたか覚えていない。ただただ身体が痛い。

 目の前の地面に、自らの師が持っていた聖剣ギャラクゲンジがささっており、さらにダックワースが横たわっており……


「大丈夫ですか!?ダックワースさん」


 レオンは彼を抱き起こすが、彼に意識はない。彼の身体を袈裟斬りする焦げ跡がついている。

 息はあるようだが、ゆすっても反応はなかった。


「さて、魔王レオン」


 ナダがゆっくりと言う。


「お前は我が最強の右腕であるダックワースを倒した。ダックワースが始めたゲームのルールに従うならば、この玉座を守るため、横のウシマか、はたまた我が戦わなくてはならないが……」


 ナダはゆっくりと立つ。


「……残念ながら、ウシマも我もお前に勝つことはできん。よって、このゲームはお前の勝ちだ」


 ナダはあっけらかんと言った。

 そして、横のウシマにダックワースの身体を抱きかかえるように目で指示を送る。


「我ら連合軍はゾゾリマに降伏する。あとは好きにするといい」


「…………」


 レオンはぽかんとしたままだった。そのとき、彼の目に倒れたオーティズが入ったため、彼は慌てて駆け寄った。


「大丈夫ですか、オーティズさん!?」


 その様を、ペロスを膝に抱えてうずくまったビョンキが見て言う。


「全く、全然わからないわ、あのレオンって男……」


 少し呆れたようだった。


「ふふ、とびきりの大物っていうのは、俺ら凡人にはよくわかんないもんさ」


 そう口を挟んだのはオチョアだった。

 彼に『凡人』呼ばわりされたことを不服に思いつつも、何やらを彼のことばで納得し、ビョンキはふぅと息をついた。



◇◇◇



 グルス、オリクサ、ホーハム、インボイの四カ国連合はゾゾリマに降伏した。

 ゾゾリマの魔王レオンがこの四カ国に要求したことはただ一つ、「皆で仲良くすること」。

 四カ国の魔族たちは国を滅ぼされることがないことには安堵したが、実質自分たちの国がゾゾリマの属国となったことは認めざるを得なかった。

 こうして、クヤフを除く魔の六国は統一された。そして……すべて統一されるのも時間の問題であることは明らかであった……。



◇◇◇



「美しいですね……」


 まだ、ところどころ壊れたままのゾゾリマの城。その中庭、花園の中のテーブルにティーポットとカップを置き、レオンはハーブティーを飲んでいた。

 城はこの間の戦いでぼろぼろになったが、幸い花園は大きな被害を受けることもなくその美しさを誇っていた。


「あっ、オーティズさん」


 花園にオーティズがやって来た。レオンはにっこりと笑い彼を手招きした。しかしオーティズの顔色は優れない。


「レオン様、先の戦いでは本当に不甲斐ない真似を、申し訳ございませんでした」


 オーティズは頭を下げた。


「敵のくだらない奸計にまんまとはまってしまい到着が遅れた上、到着をしてからはあっさりとやられてしまったこと、誠に恥ずべきことです。申し訳ございません。レオン様がお望みでしたらすぐにでも首をお切り下さい」


「……いやあ、オーティズさん。そんな、オーティズさんは必死に駆けつけてくれたじゃないですか。それにその……、オーティズさん、あれからもう3日も経っているのに、会うたびにそう謝られても……もう数十回そう謝られていますし、僕は全く怒っていないので……」


 そうやってレオンになだめられて数分後に、ようやくオーティズは頭を上げた。


「……レオン様、失礼を重ねるようで悪いのですが、今日はひとつお頼み申し上げたいことがあります」


「なんでしょう?」


「ひとり、ゾゾリマの城で召し抱えたい人物がいるのです」


 オーティズは少しためらいながら言う。


「マヤという娘で、元々はグルスの奥地にいたのですが、なかなか聡明な娘で今後ゾゾリマの役に立つと考えております。本人も、今後も是非『オーティズさんの』……いえ、私のお役に立ちたいと申しましたので……。はじめは簡単な城の雑事をやらせようと思うのですが」


 レオンはきょとんとした顔をする。


「申し訳ございませんレオン様。今の話はお忘れください」


「いや、もちろん構いませんよ。急な話でびっくりしただけです。オーティズさんが人を、それも女の子を連れてこようなんてはじめてのことですし……、あ」


 レオンは誰かの姿を見つけたようで明るい表情となった。


「ラミアさん。また、このゾゾリマのお城に楽しい仲間がふえるかもしれません」


 レオンがそうやって話しかけたのは、水色のワンピースを着て麦わら帽子を被った少女だった。

 彼女の両腕には包帯が巻かれていたが、その足取りは軽やかだった。

 レオンの言葉にラミアはにっこりと笑った。

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