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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第3章〜淫魔姫蹂躙
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〜第7話〜鏡の世界の淫魔姫

「……ここは?」


 クリヤは目を覚ました。

 ここはどこ?私は一体どうしたのか?頭を押さえながら思い出してみる。

 まず、魔王レオンに会い、常に犯されそうな視線に耐えながら必死に誘惑をしていた。

 めちゃくちゃ頑張った。

 が、限界が起きた。

 元々、父親以外の男の人とふたりきりになったこともなければ、身体が触れあったこともない。

 鼻に液体がついていることに気づき、「あ、鼻水が出てしまった」と焦ってハンカチを取り出してぬぐった。

 白いハンカチは真っピンクに染まっていた。


「きゃあああああ!!!!!!!!」


 大声を出すクリヤ。


「大丈夫ですかクリヤさん」


 気づかうレオンを尻目に焦るクリヤ。

 緊張と興奮のあまり鼻血がどばどば出ていることに気づく。

 パニックになりながら、部屋の隅に掛かっている鏡の前へ走る。

 その際にも床にぽたぽたと鼻血が滴る。

 恥ずかしさのあまり赤面しながら、鏡を見る。

 顔の下半分は血で真ピンクになっていた。

 どうしようとハンカチで拭うが、次の鼻血がどんどん出てくる。

 後ろから聞こえる「ティッシュ持ってきましょうか?」の声がさらに恥ずかしさを後押しする。

 どうしよう……と思って、もう一度鏡を見た。


 男が映っていた。


 それも魔王レオンではない赤髪の男。


「だ……誰…………?」


 鏡の中の赤髪の男は笑う。そして世界がぐにゃっと曲がった。



◇◇◇



「……それで、どうしたんだっけ?」


 改めてまわりを見てみる。

 そこはゾゾリマの城の応接間。自分が鼻血を出した場所だ。


「大丈夫ですか、クリヤさん」


 不意に聞こえた男の声に、「ひぃ」と身をよじらせるクリヤ。

 恐々と見ると、心配そうにこちらを見つめる魔王レオンの姿があった。

 めちゃくちゃ恐ろしい顔のはずなのに、クリヤはとても安心した。


「よかった。やっと目を覚ましてくれました。鼻血はどうですか?」


 レオンが聞く。


「はなぢ……?」


「倒れた後も流れ続けていたので、服を汚さないように応急処置はして起きましたが」


 クリヤは、鼻を触る。両方の鼻の穴に丸めたティッシュが詰められていた。


「っ!!!!!!!!!」


 顔を真っ赤にして身をよじるクリヤ。


「どうでしょうか?」


「な、何てことをしてくれるんですかっ!!」


 クリヤは怒る。


「え、あの……いけませんでしたか?」


「女子の穴の中に勝手にモノを突っ込むなんて……その……大胆過ぎますっ!!」


「え?」


「今度こそ、赤ちゃんができちゃってるかもしれないですっ!!」


「あ……その……ごめんなさい……。どうしよう……」


 あたふたするレオン。

 うつむき、涙目になるクリヤ。

 元々、そのために来ていたはずなのに、いざ男の人にコトをされてしまったことに、ひどくショックを受けていた。


「……ごめんなさい。僕……その……、もし赤ちゃんが出来ていたらちゃんと責任とって、クリヤさんと結婚しますから」


「……え?」


 顔をあげるクリヤ。


「今の……本当ですか?」


「はい。結婚します」


「ほ、本当ですか!?」


 急に顔が華やかになるクリヤ。


「はい。それは」


「本当ですか」


「あ、そんな何度も聞かなくても……。それはちゃんとします」


 クリヤは嬉しくてたまらなかった。

 やはりプロポーズをされるのは、女の子の夢であり、大きな喜びだ。


「よろしくお願いします。レオン様ぁ」


 そう言って自分からレオンの手を握ってしまう。

 レオンの「……あの……赤ちゃんが出来ていた場合ですからね……」という声は聞こえていないようだ。



◇◇◇



「……それはそうと、ここはどこなのでしょう?」


 少し落ち着いたクリヤが聞いた。

 それは、その場所のおかしさに気がついたからだ。

 見た目はゾゾリマの城の応接室であるのに、ゾゾリマの城の応接室ではない。

 床に自分が垂らしたはずの鼻血の跡もないし、静かすぎる。


「僕にもわかりません」


「え?」


「クリヤさんが鏡に近づいたとき、クリヤさんが鏡に吸い込まれました。それを助けようとしたら、僕まで吸い込まれてしまって……」


 頭を掻くレオン。

 ここで、クリヤは鏡に映っていた赤髪の男のことが思い浮かび、嫌な予感が背中を伝う。

 そして次の瞬間だった。


 部屋の鏡が煌めいた。


 そして、そこから現れた。

 2メートル以上の体躯を持ち、灰色の皮膚を持った半裸の男が。

 ずしんと床に降り立つ男。

 その眼がクリヤとレオンを捉える。


「ごおおおぉおおおう!!!!」


 その男は吠えた。

 クリヤは、すがるようにレオンの方を見る。

 レオンの身構えた様子を見ると、残念ながら彼の知り合いではなさそうだった。

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