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新魔王がいい人すぎたせいで世界秩序が崩壊しだす  作者: 進藤尚典
〜第1章〜新魔王誕生、そして即蹂躙
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〜第10話〜魔王蹂躙(第1章完)

 コロッセオの空気が震える。

 オレステスの頭上に巨大な黄金の気が溜まっていく。

 その気は巨大な獅子の口となった。


「なんだこりゃ」


 インボイの獣人たちもこれははじめて見るようで、驚嘆の声が漏れていた。

 オレステスは飛び上がり獅子の口に突っ込む。


「さらばだ。ゾゾリマの若き魔王よ」


 レオンを見下ろして静かに言う。そして叫んだ。


「獅子王流弾」


 獅子の口から巨大の気の塊が発射された。

 それはレオンに直撃した。それだけでは済まず、その気の塊はコロッセオの地面をえぐり、巨大な底の見えないクレーターをつくった。


「レオン様!!」


 オーティズが叫ぶ。アグバはくくくと笑う。

 獅子王流弾炸裂の衝撃の揺れが収まると、インボイの獣人たちが大喝采した。

 オレステスは満足げに笑みを見せた。


「ふぅ」


 それはずいぶんと落ち着いたため息だった。

 そのため息が、クレーターから現れた人影から漏れたものだとわかると、オレステスの笑みが消えた。

 黒い気のバリアを張った無傷のレオンが、空中浮遊をしていた。

 レオンはそっとオレステスに近づき、言った。


「オレステスさん、もうちょっと威力強めにして大丈夫ですよ」


「……は?」


「あの、さっきから僕が痛くないようにわざと弱めにして技を撃ってくれてるんですよね。でも全然僕大丈夫ですよ」


 何を言っているんだコイツは……?オレステスの口が震えだす。


「ちょうど皆さんも盛り上がってきたみたいなんで、もっと派手に技を炸裂させましょう」


 俺が出した渾身の技が……威力が足りない……?


「いやあ、えんたーていめんとって楽しいですね」


 コイツは俺の全力を、児戯としか感じていない。


「少しは反撃した方がいいですかね。オレステスさんがあまり痛くないように、今の技も真似て出してみます」


 レオンの頭上に漆黒の口が現れる。

 それを見た瞬間、オレステスは地面に降り立ち、そして平伏した。


「俺の負けだ」


「「……」」


 コロッセオ中が静まり返った。

 インボイの獣人のひとりが呟く。


「……どういうことなんだ」


「どういうことも何も、オレステス様は負けたのだ」


 オレステスはきょとんとしているレオンに言う。


「ゾゾリマの魔王よ、私の負けだ。この私の首は差し出す。インボイを好きにせよ」


「待ってください何を言ってるんですか」


 レオンは続けていう。


「まだまだ戦いを続けましょうよ」


「は?」


「まだ僕全然疲れていないんで、気を使わないで大丈夫ですよ。そうしないとせっかく集まってくださった皆様に悪いですよ」


 オレステスはただ口を開けて青ざめるしかなかった。

 インボイの獣人が言う。


「あいつ、オレステス様が敗北を認めているのに、まだ戦う気でいやがる」


「物足りないんだよあれだけやって……悪魔だ……戦闘狂だ」


「逃げろ」


「え?」


「はやく逃げろ。あいつきっと俺らも皆殺しにしようとするに決まってる」


 この言葉がきっかけだった。インボイの獣人たちはパニックになり、一目散にコロッセオから阿鼻叫喚に逃げ出した。

 レオンはその様子を訳もわからずきょろきょろと見ていた。


 その後、ゾゾリマとインボイの間に和平条約が結ばれた。

 しかしそれを『和平条約』だと思っているのはレオンだけで、インボイはゾゾリマの支配下におかれたと皆が思っていた。


 ゾゾリマの魔王レオンは、生まれたその日に、数百年征服できなかったインボイを征服した。

 この出来事は世界をおおいに震撼させた。

 だがしかし、これは、大魔王レオンがおりなす伝説の、ささいな1ページ目でしかなかった。

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