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キノコの森  作者: テツ
2/6

おっさん

「うわあああ、やっぱり毒キノコだったんだあ」

 103号室の大学生がパニくっている。


「しー子ちゃん、どうして、こんな……」

 泣き崩れる204号室のお姉さん。

 さりげなく肩に手をのせる学者っぽいおっさん。


 阿玉岡 椎子の死。

 それは、俺たちに、この状況が絶望的であることを、改めて痛感させた。

 死は、自分のすぐ傍にいる。その恐怖が、俺たちに否応なくのしかかってくる。


 そんな絶望の時間がどれくらいすぎた頃だろうか、学者っぽいおっさんがこう言った。


「100%死ぬとは、限らないのではないか?」


「はい?」

 俺が聞き返すと、おっさんは


「しー子君が、キノコアレルギーだった可能性もある。それならば、他のみんなは食べられる。このまま飢えれば100%我々は死亡する。だが、これが可食ならば、死亡率は1/6にすぎない」


「そうね。私たち5人が生き残るには……キノコ以外に食べるものはないし……」

 お姉さんが、しー子の死体をちらちら見ながら、おっさんに賛同した。


「見ていたまえ、諸君!まずは100%を50%にしてみせよう!」

 おっさんがキノコにかじりついた。





 おっさんが死んだ。

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