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キノコの森  作者: テツ
3/6

八木間 翔子

「焼いてみたらいいんじゃないかしら」

 204号室のお姉さん、八木間 翔子が提案した。


「なるほど、焼けば無毒化する食べ物ってけっこうありますしね」

 大学生がうなずく。


「でしょう?あなた、ライターもってない?」

 お姉さんは、大学生にしなだれかかる。

 学者っぽいおっさんから乗り換えたらしい。


「あ、はい。ライター、あります」

 大学生は真っ赤になって、ポケットからライターを出した。

 昨晩は飲んだ帰りで着替えずに眠ったらしい。


  ※※※


 キノコの焼ける香りが漂う。

 焼いてみると、キノコの毒々しい色合いは薄れ、うす茶のおいしそうな色になった。


「なんか、おいしそうだな」

「これは、食べられるんじゃないか」

 俺たちの期待は高まっていく。


「じゃあ、私が食べてみるわね」

 お姉さんが、キノコにかぶりつく。


「うはぁ、おいしぃぃ~~~」

 お姉さんは恍惚の表情を浮かべた。相当美味しかったらしい。空腹だし。






 八木間 翔子が死んだ。

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