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第一章 金は天下の回りモノ

『金は天下の回りもの』なんてこの世の掟。歪みきった廃墟のこの世界に通用しないような嘘寒い言葉は俺には一切関係ない。だって、それは有るところには有るし、無い所にはどう探したって無いんだもの。だから奪い取るのみ。そう、俺は今を騒がすお尋ね者のしがない大泥棒なのさ。

 名前はスカイ=アル=グレイ

 この名前を知らない者はいないはずだろう。専門は宝石泥棒。で、今日も荒稼ぎの為に盗みに入ろうと思い、世間に名高い宝石が管理されている、ここ時空管理鉱物取り締まり研究所と言う場所に侵入しているのさ。

 しかし、音に聞こえしこの研究所の、何と警備が厳重なこと?潜り込むのがこんなに困難だなんて思いもよらなかった。そこらの宝石店に侵入する方がどれだけ簡単であろう事か?赤外線は張り巡らされているは、監視カメラに、指紋コードのパスワード。でもそれをクリアーしてこそ本当のプロって言う者。しかし!それはこの俺様の抜かりない所。事前に指紋コードを盗んでいるし、監視カメラ、赤外線は俺の開発した高度なセンサーが反応してくれるから問題は無い。後はこれらに対し着実に対応するだけ。だからどんなに山積みにされた難関も逆に簡単。全く『盗んでください』って言っている様なモノな訳さ。此処まで徹底されていても、何だかやる気が失せる。人って、困難だから、余計に燃えるって言葉、知らないかな?これって俺が天才だから言える言葉なのかも知れないけどね?

 最後の監視カメラに画像妨害装置を取り付けて視界を工作するだけで、いとも簡単に宝物の宝石室に潜入完了。

 中は赤外線警報装置も無い。そこは覆いかぶさる様な透明ドームで天窓の有るただの個室。その部屋中にガラス張りに整理されたお宝発見!どれもこれもかなりの値打ち品!

「うひょー!スンゲーお宝ジャン☆」

 小躍りしたくなる俺は、心躍るそれを抑えつつすかさず、左手に嵌めているリングの赤いボタンを『ポツッ』と押す。すると、大型のアタッシュケースが飛び出したのをこの目で確認した。俺はこれをいつも愛用している。盗んだ宝石を入れるための所謂宝箱。これなくしてこの仕事は成り立たない。

「噂には聞いてたけどこんなに有るとは思ってなかったぜ。これは盗み甲斐があるというものさ〜泥棒冥利に尽きるとはこのことだね!」

 俺は片っ端から質の良いのを選びそのケースに入るだけの宝石を選び抜き、そして収納した。

「さてと、これで今日の仕事は終わり〜!」

 後はこの宝石を金に換えるだけ!そんな事をのんきに思って一息入れる。しかし、何だってこの部屋はこんなに緊張感が無いんだ?ここに入る方がどれだけ大変であったか?

 一息入れていると、不思議に他に興味の無いこの部屋の内装がハッキリ断片化した。

「何だ?あれは……」

 そう、自分の仕事にかかりっきりですっかり見落としていたのだ。この部屋の中央に、石煉瓦の階段がある。そして、その上から鈍い赤色をした仄かな光が放たれていることに……

 俺は、その光が何なのか?それが無性に気になって、取り敢えずアタッシュケースをリングに収納し階段に足を掛け上り始めた。淡く揺らめくその光は、上るに連れて濃く色づいている。そして、最後の一段を踏み上った。

「何だよ……この赤い宝石は?」

 透明ケースに収納されてあるだけではなく、その石からは無数のコードが天井に延びていた。俺は気になってその石を取り出すために、ケースの中に手を差し入れた。すると、

「何だ、お前は?」

 突如耳にそんな言葉が響いてきた。

 周りを見回すが、人らしい気配など無い。

「お前も、儂の力を目当てに奪いに来たのか?にしては、周りの宝石にしか目をくれてない様子だが?」

 俺は、この石が喋っていることにやっとのことで気がつき、

「石が意志持って喋った!」

 動転して、思わず階段を転げ落ちてしまった。

「痛て〜!なんだそりゃ?俺は大泥棒スカイ=アル=グレイ様だ!宝石漁りに来たんだ。知るかよテメーの事なんか!」

 腰は痛いし、この人を見下ろしているような言葉遣いが気に入らないし、訳が分からないし思わず当り散らした。

「儂が何なのか分かってないらしいな?面白い奴だ。どうれ、儂もこんなところで繋がれているのにも飽きた。お前と一緒に行くとしようか!」

「へ?」

 石がそう言うと、階段上から突然まばゆい赤い光が眼光に人束のラインとなって飛び込んできたんだ。

「痛――――!」

 俺は思わず大声を上げてしまった。とてつも無い苦痛が右目を襲った。すると、何がどうなったのか?痛みで押さえている俺の右目から滴る赤い血が掌にべっとりと付いていた。

そして、それをきっかけとして非常警報装置が鳴り始めたのである。

「やっべー!逃げなきゃ!」

 腰を上げる姿勢になった俺は、背後でカシャカシャと写真でも撮られているかのような音を聞いた後、次の瞬間、グニャっとした空間に放り込まれた。背後から『クルッピー』という鳴き声らしき声が聞こえる。そして気がついたときは何処かの村山に迷い込んでいたのであった。


かなり短いお話です。章に区切るのも面倒だけど、区切ってみました。

読みやすいお話なので、是非目を通してくださいませ。

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